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プロローグ
01 傲慢な老人
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「陛下!成功です!しかも…2名です!2名の勇者様の召喚に成功しました!」
再び俺が意識を取り戻した時目の前で大勢の人間が歓声をあげていた。
「本当に異世界に来たのか…?」
目の前で歓声を上げている人々はいかにもファンタジー映画やゲームに出てくるような姿をしている。
「おぉ勇者殿がた、よくぞ召喚に応じて下さいました」
高価そうな服を着た男が俺に歩み寄ってくる。
「これは…?どういう事なの?私は一体?それにここはどこ?」
隣を見ると女性が茫然と立ち尽くしていた、綺麗な人だ、紅く燃えるような髪、透き通る白い肌、気が強そうだがどこか儚げな顔をしている。
「今回の勇者殿はお2人とも随分と見目美しい!兵の士気も上がる事でしょう!」
隣の女性はともかく俺の見た目が良いだって?この人視力が悪いのか?
そこで俺は先程神様に渡された資料を思い出した、転生の際若返って全くの別人になると云う内容だった筈だ、確かに転生後と資料に載っていた顔は中々の男前だった。
「混乱されるのも無理ありません、まずは陛下のお話をお聞き下さい、さぁこちらへどうぞ」
身なりの良い男は俺達を冠を頭に乗せ豪華な椅子に座った老人の前に案内した。
「この度は我が国の召喚に応じて頂き感謝する、余はカイゼン=ゼファール=コンファル、このゼファール帝国の皇帝だ、して其方らの名は?」
なんか偉そうな爺さんだな、皇帝だから仕方ないのか?
「私はアンナです、ゼファール帝国?聞いた事ありません」
「うむ、それも仕方なかろう、勇者殿は皆こことは異なる世界より召喚されると聞いておる、もう一方の勇者殿も名を教えてくれぬか?」
「ナカム…、ヨーグです、姓は有りません」
危うく前世の名を言いそうになった、別に言っても構わなかったが神様の資料によると新しい人生ではヨーグと云う名で年齢は19歳って事になっていた筈だ、とりあえず資料の内容に合わせよう。
「あの、私達は何の為に呼び出されたんですか?」
「この世界には魔物と呼ばれる怪物がおっての、ヤツらは強く狡猾だ、我が国は魔物の脅威に晒されておる、其方らには魔物どもと戦って頂きたい」
なんと勝手な話だ事、勝手に呼び出して化け物と戦えか、先に資料を見てなかったらここでキレてたな。
「そんな!私戦うなんて出来ません!なんで私なんですか!?元の世界に帰して下さい!」
アンナちゃんが怒ってる、まぁそれが普通の反応だろう。
「すまぬが帰す手段は知らぬのだ、国の総力をあげて研究しておるが魔物どもに滅ぼされればそれも叶わぬ、その為にも戦ってはくれぬか?それと戦いについて心配には及ばぬ、異世界から来た勇者殿は総じて魔力が非常に高い、例の物を持て!」
カイゼン皇帝の命令で兵士が水晶玉の様な物を持って来た、これが資料にあった魔力測定器だな。
「これは魔力量を測定出来る魔導具だ、手に取って貰いたい」
アンナちゃんが水晶玉を手に取る、すると眩い光が辺りに溢れた。
「これは何と…歴代の勇者殿の中でも最高レベルの魔力量だ、素晴らしい!」
知ってるぞ、それで勇者をランク付けし強い魔力を持つ者は鍛えて最前線へ、ダメな勇者は捨て駒みたいな扱いをするんだろ?今までに何人もの勇者がこの国に殺されてきたって話だ。
「ささっ、それではヨーグ殿も」
そう言うと俺に水晶玉を手渡す、いいだろう、どれほどの魔力が有るのかはわからないが俺は無駄死にはしない、生き残ってやる。
「これは…どう云う事だ?」
俺の手に乗った水晶玉はアンナちゃんの時と違い全く反応しない、どうなっている?故障か?
「誰か!予備を持って参れ!申し訳ないヨーグ殿、こちらの不手際だ」
そうだろう、全く反応しないなんて故障に違いない、不安になるじゃないか。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「まさか…ヨーグ殿、いやヨーグは魔力が無い、平民と同じだと云うのか!?」
あれからいくつもの水晶玉を交換して試したが結果は同じ、俺には魔力が一切無かったのだ、アンナちゃんは心配そうに俺を見ていたがやがて何処かへと連れて行かれた。
「もう良い、お前は要らん、呼び出した手前迷惑料として幾らかの金をくれてやるから何処へいくなり好きにするがいい」
困った、まさかこの展開は予想していなかった、これからどうするべきか、異世界で完全に路頭に迷う事になってしまう。
「あの…一般の兵士扱いでも構わないんで置いてもらえませんかね?そちらの都合で呼び出された訳ですし?」
「知らん、魔力を持たん者を鍛えても時間と金のムダだ、さっさと城から出て行け」
なんてヤツだ、勝手に呼び出して使えないから好きにしろだと?
「二度と会う事は無いだろうが達者でな、恨むんじゃないぞ、ホラ金だ」
最初に声をかけてきた身なりの良い男が金の入った袋を投げつけて来た、兵士達が俺を囲み城門の外へと連れて行く。
「本当に追い出しやがった…」
俺を残し城門が閉まる、見張りの兵士が汚いものを見るような目で俺を見ていた。
再び俺が意識を取り戻した時目の前で大勢の人間が歓声をあげていた。
「本当に異世界に来たのか…?」
目の前で歓声を上げている人々はいかにもファンタジー映画やゲームに出てくるような姿をしている。
「おぉ勇者殿がた、よくぞ召喚に応じて下さいました」
高価そうな服を着た男が俺に歩み寄ってくる。
「これは…?どういう事なの?私は一体?それにここはどこ?」
隣を見ると女性が茫然と立ち尽くしていた、綺麗な人だ、紅く燃えるような髪、透き通る白い肌、気が強そうだがどこか儚げな顔をしている。
「今回の勇者殿はお2人とも随分と見目美しい!兵の士気も上がる事でしょう!」
隣の女性はともかく俺の見た目が良いだって?この人視力が悪いのか?
そこで俺は先程神様に渡された資料を思い出した、転生の際若返って全くの別人になると云う内容だった筈だ、確かに転生後と資料に載っていた顔は中々の男前だった。
「混乱されるのも無理ありません、まずは陛下のお話をお聞き下さい、さぁこちらへどうぞ」
身なりの良い男は俺達を冠を頭に乗せ豪華な椅子に座った老人の前に案内した。
「この度は我が国の召喚に応じて頂き感謝する、余はカイゼン=ゼファール=コンファル、このゼファール帝国の皇帝だ、して其方らの名は?」
なんか偉そうな爺さんだな、皇帝だから仕方ないのか?
「私はアンナです、ゼファール帝国?聞いた事ありません」
「うむ、それも仕方なかろう、勇者殿は皆こことは異なる世界より召喚されると聞いておる、もう一方の勇者殿も名を教えてくれぬか?」
「ナカム…、ヨーグです、姓は有りません」
危うく前世の名を言いそうになった、別に言っても構わなかったが神様の資料によると新しい人生ではヨーグと云う名で年齢は19歳って事になっていた筈だ、とりあえず資料の内容に合わせよう。
「あの、私達は何の為に呼び出されたんですか?」
「この世界には魔物と呼ばれる怪物がおっての、ヤツらは強く狡猾だ、我が国は魔物の脅威に晒されておる、其方らには魔物どもと戦って頂きたい」
なんと勝手な話だ事、勝手に呼び出して化け物と戦えか、先に資料を見てなかったらここでキレてたな。
「そんな!私戦うなんて出来ません!なんで私なんですか!?元の世界に帰して下さい!」
アンナちゃんが怒ってる、まぁそれが普通の反応だろう。
「すまぬが帰す手段は知らぬのだ、国の総力をあげて研究しておるが魔物どもに滅ぼされればそれも叶わぬ、その為にも戦ってはくれぬか?それと戦いについて心配には及ばぬ、異世界から来た勇者殿は総じて魔力が非常に高い、例の物を持て!」
カイゼン皇帝の命令で兵士が水晶玉の様な物を持って来た、これが資料にあった魔力測定器だな。
「これは魔力量を測定出来る魔導具だ、手に取って貰いたい」
アンナちゃんが水晶玉を手に取る、すると眩い光が辺りに溢れた。
「これは何と…歴代の勇者殿の中でも最高レベルの魔力量だ、素晴らしい!」
知ってるぞ、それで勇者をランク付けし強い魔力を持つ者は鍛えて最前線へ、ダメな勇者は捨て駒みたいな扱いをするんだろ?今までに何人もの勇者がこの国に殺されてきたって話だ。
「ささっ、それではヨーグ殿も」
そう言うと俺に水晶玉を手渡す、いいだろう、どれほどの魔力が有るのかはわからないが俺は無駄死にはしない、生き残ってやる。
「これは…どう云う事だ?」
俺の手に乗った水晶玉はアンナちゃんの時と違い全く反応しない、どうなっている?故障か?
「誰か!予備を持って参れ!申し訳ないヨーグ殿、こちらの不手際だ」
そうだろう、全く反応しないなんて故障に違いない、不安になるじゃないか。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「まさか…ヨーグ殿、いやヨーグは魔力が無い、平民と同じだと云うのか!?」
あれからいくつもの水晶玉を交換して試したが結果は同じ、俺には魔力が一切無かったのだ、アンナちゃんは心配そうに俺を見ていたがやがて何処かへと連れて行かれた。
「もう良い、お前は要らん、呼び出した手前迷惑料として幾らかの金をくれてやるから何処へいくなり好きにするがいい」
困った、まさかこの展開は予想していなかった、これからどうするべきか、異世界で完全に路頭に迷う事になってしまう。
「あの…一般の兵士扱いでも構わないんで置いてもらえませんかね?そちらの都合で呼び出された訳ですし?」
「知らん、魔力を持たん者を鍛えても時間と金のムダだ、さっさと城から出て行け」
なんてヤツだ、勝手に呼び出して使えないから好きにしろだと?
「二度と会う事は無いだろうが達者でな、恨むんじゃないぞ、ホラ金だ」
最初に声をかけてきた身なりの良い男が金の入った袋を投げつけて来た、兵士達が俺を囲み城門の外へと連れて行く。
「本当に追い出しやがった…」
俺を残し城門が閉まる、見張りの兵士が汚いものを見るような目で俺を見ていた。
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