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この村で私が生活する家は湖畔に有る、昔お父様が別荘として建てた小さな屋敷だった。
マーカスの話ではバレル村長達が定期的に掃除をしてくれていた様で今日からでも使えるらしい。
「それにしてもあのクソババァ…よくもやってくれたわね。絶対に許さないわ」
馬車から降ろした荷物を屋敷に運び込む間、邪魔だから村の中でも見て回れと言われた私は湖のほとりに来ていた。
綺麗な湖を眺めていると心まで綺麗…にする事は出来なかった。私の頭がおかしくなったと言う嘘は既に貴族達の間に広まっている。
まずはその話が嘘で有ると言う事を証明しなければ…しかしどうすれば良い?友人の令嬢達へ手紙でも書いてみようかと考えているその時だった。
「お嬢ちゃんがウワサの侯爵様のところの令嬢様かい?」
「は…はひっ!?びっくりしたぁ….いきなり話しかけて来ないでよ!」
「おっとすまねぇな。驚かすつもりは無かったんだ。俺の名前はゲイル…バレルの爺さんの所で世話になってるこの村の用心棒さ。そして嬢ちゃんの親父さん…オークス侯爵にも世話になった事が有ってな。恩人の娘さんがこの村に住む事になったって聞いたんで顔を見に来たのさ」
突然背後から声をかけられ驚いてしまった。
振り返ると私より少し歳上に見える男が苦笑いを浮かべていた。綺麗な金髪を短く切り揃え、半袖から覗く二の腕には鍛えられた筋肉。日焼けした褐色の肌が健康的だ。
確かこう言う男性の事を『わいるど』と形容するのだと屋敷のメイド達から聞いた事がある。
「ゲイルさん?お父様からその様な方の名前を聞いた覚えは有りませんが…」
「俺は昔盗賊をやっててな…仲間に裏切られて騎士団に捕まった時にオークスの旦那に命を救われたんだ」
突如私の前に現れた『わいるど』なイケメンはとんでも無い事をサラッと言って、爽やに笑って見せた。
マーカスの話ではバレル村長達が定期的に掃除をしてくれていた様で今日からでも使えるらしい。
「それにしてもあのクソババァ…よくもやってくれたわね。絶対に許さないわ」
馬車から降ろした荷物を屋敷に運び込む間、邪魔だから村の中でも見て回れと言われた私は湖のほとりに来ていた。
綺麗な湖を眺めていると心まで綺麗…にする事は出来なかった。私の頭がおかしくなったと言う嘘は既に貴族達の間に広まっている。
まずはその話が嘘で有ると言う事を証明しなければ…しかしどうすれば良い?友人の令嬢達へ手紙でも書いてみようかと考えているその時だった。
「お嬢ちゃんがウワサの侯爵様のところの令嬢様かい?」
「は…はひっ!?びっくりしたぁ….いきなり話しかけて来ないでよ!」
「おっとすまねぇな。驚かすつもりは無かったんだ。俺の名前はゲイル…バレルの爺さんの所で世話になってるこの村の用心棒さ。そして嬢ちゃんの親父さん…オークス侯爵にも世話になった事が有ってな。恩人の娘さんがこの村に住む事になったって聞いたんで顔を見に来たのさ」
突然背後から声をかけられ驚いてしまった。
振り返ると私より少し歳上に見える男が苦笑いを浮かべていた。綺麗な金髪を短く切り揃え、半袖から覗く二の腕には鍛えられた筋肉。日焼けした褐色の肌が健康的だ。
確かこう言う男性の事を『わいるど』と形容するのだと屋敷のメイド達から聞いた事がある。
「ゲイルさん?お父様からその様な方の名前を聞いた覚えは有りませんが…」
「俺は昔盗賊をやっててな…仲間に裏切られて騎士団に捕まった時にオークスの旦那に命を救われたんだ」
突如私の前に現れた『わいるど』なイケメンはとんでも無い事をサラッと言って、爽やに笑って見せた。
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