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海編
55.空母とイージス艦
しおりを挟む体調が回復し退院してから数日後、俺は再び海軍司令部にある大臣執務室にいた。
前回はヴィアラとミサの二人だけだったが、今回は海軍参謀総長のアルバ・リザや作戦本部長のジェミナ・フラウもいる、なぜ前回いなかった二人がここにいるのかという理由は、帝国海軍の攻勢があのキーレでの海戦以降弱まり、各方面に少し余裕が見えてきたのでようやく本部に戻ってこられたからである。そしてそれに加えてゲーテルト・ミハエル少将とスタルブ・ベイル准将もこの場にいた。
「今回皆を集めたのは他でもない、そこにいる今はこちら側になったゲーテルト・ミハエル少将による情報を聞いて新たな召喚と編成、そして作戦内容が出てきたためだ。そして今回召喚するのは“航空母艦”というもので通称空母と呼ばれるものだ、この“空母”というのは大和と違い真っ平らな甲板を持っていて、その甲板から“艦載機”と呼ばれる人が乗れる空飛ぶ兵器を飛ばしそれによって航空戦力を得られる、帝国でいうところの竜騎兵を積んだ船というところといった方がわかりやすいかな?」
「その“艦載機”はどのようにして攻撃できるのですか、どうやって飛んでいるのですか?そしてその“空母”というのは“艦載機”を運ぶことしかできないのですか?動力はどのようになってますか?」
流石は元帝国軍の情報をつかさどっていた人なだけあってミハエルは的確な質問をしてくる。
「いい質問だミハエル君?て呼んでいいかな?」
「はい!かまいません、じぶんで言うのは恐縮ではありますが陛下の考えの素晴らしさや明確な未来が見えたような気がしたので、これからは裏切ることもせず誠心誠意陛下にお仕えしたく存じます」
(ありがたいけど、今ものすごいプレッシャーをかけてきたよね……しかも、何かすごくキラキラした目を向けてくるのは気のせい?見られすぎてコワイです……さらに質問攻めとは……)
何故かミハエルはこの会議室に入ってきてから、まるで誕生日プレゼントを待つ少年のようにうれしそうな顔をしていて、話が始まったときには体が前のめりで食い入るように話を聞いていた、今でもミハエルは俺に熱い視線を向けてきている。
「気持ちはすごく伝わってくるよ、ありがとう。それはさて置き質問にあった“艦載機”の話だがこれについて説明するときは今後簡単に“機体”と呼称する、この機体の兵装は大雑把に分けると攻撃用と防御用の二種類があり、攻撃用はまず一つに“ミサイル”というものがあって敵を照準したのちものにもよって多少違うが、超高速で飛翔し敵を追尾したのち手前かもしくは激突したのち爆発するもの、二つ目がすでにハミルトン防衛戦でも使っていたバルカン砲と呼ばれるものでこちらはハミルトンで使っていたものより大型の物でこちらはまっすぐ飛ぶだけなので狙って撃つものだ、防御用について話したいところだが今回の作戦で使うことはないだろうから割愛させてもらう。そしてどうやって飛んでいるのかという質問に対してだが、簡単に説明すると圧縮した空気を燃やし高圧力で後方に勢いよく飛ばしその勢いによって飛んでいる、このような構造で飛んでいく機体のことをジェット戦闘機と呼んでいる、そして速さはこれから召喚するほとんどのものが音の速さを軽く超えるものだ(マッハ1は海面上で時速約1,225㎞、高度1万mで1,050㎞)それ以外のコントロールの仕方は後程細かく説明することにする」
「次に空母の兵器についてだがこの船は主戦力を航空戦力としているためあくまでも個艦防衛能力しか持ち合わせていない、その防衛兵器はこちらもミサイルとバルカン砲を装備しているが性能が前に話したのと少し違っている。そして話忘れていた重要なことが一つあって、そもそも“艦載機”といってさっきはひとことでまとめてしまっていたが、実は艦載機にも種類があって、戦闘機と攻撃機・戦闘攻撃機(多目的戦闘機)・電子戦機・空中給油機・対潜ヘリコプターと汎用ヘリコプターと早期警戒機等が存在している。そして今回重要となってくるのは戦闘機と早期管制機の二つだ、戦闘機はさっき話した通りの攻撃兵器を有する主戦力だが、それに加え早期警戒機というのは所謂偵察機であって母艦から離れた位置をとびその周辺の敵の情報をキャッチして後方にいる味方に伝える役割を持っているものだ。そして長くなったが最後に空母の動力についてだが細かく言うと全然違ってくるのだが簡単に言うと大和と同じように内部で燃料となるものを燃やしその動力を推進力に伝え動かしている。と長くなってしまったがこんな感じかな?悪いけどはなしがまだ続くから質問はあとで個人的にお願い」
ちなみに一番最強の原子力空母を採用しなかったのは、あれは一度動かしてしまえば一つの町の全家庭全施設の電気を賄えるほどの電力をつくり出し、且つ数十年はそのまま動き続けることのできるものではあるが、扱いに慣れてない原子力を使って万が一事故でも起こってしまったら悲惨なことになるし、この世界の人にその対応ができるはずもないのでやめておいた、だが今後違った形で原子力に代わる新たな動力源を開発する計画はある。
「最後にこの空母を護衛するための船も召喚する、その艦はイージス艦と呼ばれるもので、イージス艦とは、巡洋艦や駆逐艦といった艦種ではなく、“イージスシステム”を搭載した軍艦のことをさす、このイージス艦の中核となるのが、対空戦闘を受け持つ“イージス武器システム”で、それに対水上戦闘や対潜戦闘を包括するシステムを組み合わせることで、“イージス戦闘システム”を構成する。つまり、対空戦が「中核的任務」ではあるものの、対空戦のみに特化しているわけではなく、他の対潜戦闘などの任務にも十分対応可能、そしてイージスの最大の特徴は強力な捕捉・追尾能力と自動化した同時多目標交戦能力だ、このイージス艦を今回何隻か召喚して空母を中心とした艦隊を編成していきたいと思っている。長くなったが以上だ」
「素晴らしいお考えです陛下!このような船で固めれば我が海軍も安泰でしょう!」
俺の説明の後今まで様子を見ていたのか何も発言してこなかったリザは、はなしが終わった瞬間すわっていた席が真後ろに飛んで行くぐらい勢いよく立ち上がったかと思うと、目を輝かせ拍手しながらそう言ってくれた。それを見て皆立ち上がり拍手喝采となった。
(そんなたいそうな説明もしてないのに こんな反応されていいのかね……)
このリザは海軍の何人もいる参謀たちをまとめる人物だ、そもそも参謀とはよく言う軍師のような役割の作戦参謀を思い浮かべる人も多いが実は何種類もあって、作戦参謀のほかに情報・人事・軍事行政・通信・兵站等々編成や運用、国よってさまざまだがそれを総括的に束ねるのが彼女の役割なのだ。
「あとはリザとヴィアラと俺と細かくはなしてから今後の話をするつもりだ、何か質問は?」
「「「ありません!」」」
「じゃあ以上だ!解散!」
こうして説明しかしていない会議になってしまったがどうにかこうにか終われた。
これからまた3人で話し合い艦艇の選定を行ってから、明日に実際に召喚して、これを今後着任してくるであろう艦長たちに受け渡し訓練をある程度施してから実戦配備をしていきたい。
ただし、もうすでに帝国の艦隊はこちらに向かってきているので猶予はあと5日ぐらいしかないが、LiSMの能力を最大限に発揮させてこれに間に合わせるつもりだ(無理やりとか鬼畜とか言わないで~)。
そして執務室にはリザとヴィアラが残った。
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