現代兵器で異世界無双

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海編

 51.大勝利!

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 一方的に攻撃し帝国に対する海戦の中で初の勝利を得た王国艦隊は、降伏した敵艦隊司令官が生き残っている可能性があると判断し敵艦隊の真横に船を近づけていた。
 敵艦の真横に来ると意外にも大きく80mぐらいはあり横幅は15mぐらいだろう。

 しかし、目と鼻の先にまで接近した途端敵は急に砲撃を開始し、さらには甲板から矢や槍ナイフなどのありとあらゆるものが飛んできていた。

 ドゴン!
 至近距離で放たれた砲弾が直撃したことによって船体に衝撃が走る。
「何事だ!」
「敵の攻撃です」
「状況知らせ!」

 今まで優位にことを進めてきただけあって油断していた王国側は大いに慌てていた。
 しかも敵の攻撃が予想以上に激しいのでもはやこれまでと思うものや、遠くからのみの攻撃にとどめておけばよかったなどというものもいた。
 敵側からしては、これまでやられていった仲間たちの仇をとる意味と最後の抵抗の意味があるのでそれこそ必死の思いであろう。
 しかし、こんな状況にもかかわらず俺は冷静に判断し慌てている皆に対して即座に指示を出していた。

「落ち着け!うろたえるな!この艦はそう簡単に沈まないから安心しろ!まずは各部状況を知らせろ、それから手の空いているものは甲板に集合し万が一に備えて用意していた銃を装備して攻撃を開始しろ!」
「「「「了解!」」」」
「武蔵にも打電しろ!」

 こんなこともあろうかと用意していた銃(HK416)を秘密裏に練習させていた兵に持たせ撃たせることにした。
 ただここで砲撃を行えば良いのではないかと艦長からの意見が出ていたが俺はそれを即座に否定した。
 第一近すぎて(隣の艦との距離10m)仮に46㎝砲の凄まじい衝撃波によって敵は木っ端みじんになる、しかもそれは砲撃の直撃ではなく発砲時だけでだ。接近しすぎているので乾舷(水面から甲板までの距離のこと)が大きいので今は敵艦自体を見下ろす形になっているので甲板より下方に俯角をとれない以上、命中させて効果的な射撃をするのがそもそも不可能なのだ。
 そもそも大和型の船体は鋼鉄によってできていて尚且つ装甲も非常に厚くなっているので、敵の使う前装式の丸い鉄球のような砲弾を使った砲撃は効きにくい、それでも同じ位置にたくさん撃ちこまれればまた違うのだろうが。

 少し経つと先ほどの号令によって行動していた射撃班が散発的に攻撃を始めていた。
 ただそれほど数を用意していなかったので、敵を一瞬怯ませたが効果はいま一つのようだった。
 それを見た俺はいてもたってもいられなくなり、LiSMからM249paraを召喚し艦橋横の階段から射撃をしようとしていた。
 そんな俺の行動を流石に危険だと判断した周辺の兵やヴィアラ達に止められた。

「陛下おやめください!危険です!陛下無しではこの国がまた窮地に立たされてしまいます!どうかお考え直しを!」
「……わかった」
 ヴィアラの必死に止めてくるのを見て俺は一旦あきらめることにした(ホントは揺れる胸を見て動揺したなんて言えない)。
(必死に訴えてくる女の子サイコーです!)

 しばらくたつと敵はこちらに砲撃が効かないことに気づいたのか、ぴたりと砲撃をやめた。

「報告!本艦の被害左舷に多数直撃弾あるも艦内異常なし!武蔵は被害皆無の模様」
「陛下いかがなさいますか?」
「臨時に決死隊を編成して敵艦に乗り込んで敵将の捕縛をするしかないな、そこに俺も志願する」
「無茶苦茶を言わないでください!ここで死なれては我々の帰る意味も場所も失います!せめてこのヴィアラを連れて行ってください!」
「俺はいく、これは命令だ!」

 普通に考えて指揮官が、ましてや王が直接敵陣に乗り込むなど異常なことである。
 しかし、俺は考え無しにこれをしようとしているわけではなくある秘策を実行しようとしていたからだ。

「ただ、一人で行くとは言っていない、俺には秘策があるんでな……。聞こえているんだろ?ベル・シルヴィア・エレザ・ミレイユ・キューレ・ユリーシャそしてリレイ達」

 俺のその一言の後艦橋にぞろぞろと“秘策”達が集まってきた。

「陛下、皆準備万端です!いつでもどうぞ!」
「ワタ!待ちくたびれたぞ!」
「ワタ様!ソコノ、女、ハ、ダアレ?」
「シルヴィアは例えどんなところであっても御身のそばに」

 実は船自体に移乗攻撃を敵が仕掛けてくる想定もしていて、同時に敵艦への移乗攻撃も可能なようにしておくためにベルたちを水兵に変装させ待機させていた。
 夜、身辺警護の兵を担当していたのも実はベルたちだったりする(ヴィアラと二人きりで会談しているときにドアの外から謎の瘴気が漏れていたなんて言えない)。
 ここに来た時にはすでにボディーアーマーをつけていて、ベルだけはLeupold社製の2-12×42㎜のスコープをつけ狙撃仕様にカスタマイズされたSIG716を装備し、それ以外のみんなの手にはHK416が装備されていた、そして腰には皆SIGP226が当然のように装備されていた。
 何故かは知らないが約一名何か呪詛のようなものをつぶやきながら瘴気のようなものを周りにまき散らしていた。

「えっと、ベルさんまずは落ち着こうか?」
「(コ・ろす?)……ハッ!失礼しました、つい近くに居た泥棒猫がキニナッテ、フフフフフフッ……ギャ!」
 制御が効かないと判断したのかミレイユは、ベルの後頭部を銃床で思い切りぶつけ気絶させていた。

「な、何なんですかこの人たちは!?」
「艦長!こいつらを今すぐ営倉にぶち込んでしまえ!」
「ですがミサ司令、陛下のお知り合いのようですが?」
「そうか……、陛下!彼女らはいったい何者なんですか?」

 ミサとエミリアは驚きと嫉妬にも近い怒りを覚えているようで、ベルたちに対して敵意むき出しでいる。
 しかし、ヴィアラだけは違い静かに俺がひそかに護身用として渡していたVP9を腰につけていた革製のホルスタから抜き出し片手で構え丁度近くにいたリレイに狙いを定めていた。
 それに対してリレイやベル以外の皆は素早くHK416をヴィアラに向け臨戦態勢をとっていた。

「ここは海軍の出る幕だ、貴様ら陸軍ごときが出る場ではないだろう?」
 今までの会話で俺が聞いていた声よりも2トーンぐらい低い声で彼女らに向かって怒りをあらわにしていた。

「そんなこと知らないな!こっちとしてはただワタ様をお守りするだけだし、これが我々にとっての使命なのだからな!」
「黙れ!そんなことなど我々にとっても同じことだろう?私はそんなことを言いたいのではない。海も知らない貴様らにいったい何ができるというんだと言っている?」
「黙っていれば付け上がりあがって!こちとらお前らなんかより数倍の敵と肉薄してここまで冒険者として戦ってきたんだ!単純な能力ならこちらだってあるだぞ!そもそもおm……」

「そこまで!みんな落ち着けこんなことしている暇があったらさっさとした降りて敵将を捕まえてこい!ここにベルたちを引き込んだのは俺だから批判なら俺に対してしてくれ!それでどうだ?何か意見するものはいるか?」
「「「「し、失礼しました!!」」」」

ここまで言ってようやく気が収まったのか変な瘴気のようなものも消え、皆が手に持っていたものを下に向けていた。

「とりあえず、陸軍組は敵艦内の抵抗分子の制圧のために先に出撃しろ、そのあとは好きに暴れまわってよし!次に、俺とヴィアラは敵将捕縛しに行くぞ。何か質問は?文句あるやつはいるか?」
「「「「ありません!!」」」」
「よし!では行動開始!!」

一時はどうなるかと内心冷や冷やしていた俺だが、俺が一喝することによってとりあえずは動いてくれたから良しとしておく。
 しかし、まさかヴィアラがあんな声でしかも銃も取り出してくるとは思っていなかったし俺が思う以上に陸軍のことが嫌いだったのかかなりの怒りの現れようだった。

 俺の一声によって、まずはベルたちが大和の甲板からロープを使って次々に飛び乗っていき、敵艦の制圧に向かっていった。
 その一番最後がベルだったのだが、案の定俺がヴィアラと行くのが気に入らないらしく最後までヴィアラに向かってブツブツと何かを言いながら背中から降りて行った……。

「よし!じゃあヴィアラ行こうか?」
「は、ひゃい!喜んで!」
「どうした?」
「な、何でもないです!行きましょう!」

(か、かわいい!クールビューティーなヴィアラがそんな反応してくるのはタマラン!)


  敵艦に降りるとすでに床にはおびただしい量の血が飛び散り、その周辺には今しがた息が絶えたような死体があちらこちらに転がっていて、少し遠くの方ではベルたちが銃やら剣やらで戦っている音がする。
  そんな場所を俺は少しの吐き気を覚えながらゆっくりと進んでいったが、対するヴィアラはそんなことを臆することなくずかずかと進んでいっていた。
  不意に生きていた敵がヴィアラに向かって剣を持って突っ込んでいったが、その敵の方向を見ずに手慣れた手つきでVP9を引き抜き、一発で仕留めていた。そんなヴィアラに見とれて後ろから来ていた敵に気づかず振り向いた時にはすでに肉薄され剣が俺の頭に接近していたが、ヴィアラがきれいにヘッドショットを決めてくれたおかげで難を逃れた。

「陛下!お怪我は?」
「だ、大丈夫だ。もうそれを使うコツを覚えたのか?おかげで助かったよ」
「そ、そ、そんなことないですよ!たまたまですたまたま、アハハハッ!」
「そうか?それにしてもすごく鮮やかな立ち振る舞いだったぞ!」
「(そんな笑顔で言われたら……ボソボソ)」
「ん?なにかいっt……」

「おい!貴様らか我々の艦隊をこんな目に合わせたのは!」

 そんな少し和やかな会話をしていた二人のもとに、突如として赤く煌びやかな軍服に身を包んだ男が現れた。

「何者だ貴様は!」
「こっちに乗り込んできた貴様らが名乗るべきだろう?まぁよい。俺は崇高なるデスニア帝国海軍第三艦隊最高指揮官であるオイレンベルガ・ジークフリートだ!」
「貴様があの!……私はコンダート王国海軍大臣ガンダルシア・ヴィアラだ!お前らはすでに白旗を上げ降伏したはずだがまだ抵抗する気か!」
「黙れ!あと少しで帝国海軍の完全勝利であったのにここで引き下がれるわけがないだろう!」

 確かに俺がもし逆の立場で同じ状況であったら彼と同じ気持ちになっていたかもしれない。しかし、彼には俺にない“帝国軍人のプライド”というものが今の彼を突き動かしているのであろう。

「ならば潔く一騎打ちと行こうか、それならば貴様の気も少しは晴れるだろう。どうだ?やってみないか?」
「いいだろう受けて立つ!」
「やめろ!」

 二人は俺の静止を聞かず、剣を抜き放ち走り出していった――。


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