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外伝 レナ編
43.外伝 レナ編 旅立ち
しおりを挟む羽崎玲奈(はざきれな)18歳、高校三年生の彼女はごく普通の生活を送っていた、高校内では1,2を争うほどの美人で男子からは熱い視線を常に送られていた、さらには幼い頃から剣道に通っていて全国大会で優勝するほどの腕前で、趣味は父親の影響でサバゲ―をすることで休日になると一緒になってフィールドに出かけていたようだ。
ある日の夜、いつもの学校帰り友達数人とレストランで食事した後、自転車に乗り普段通り家路についた。
しかし横断歩道を渡ろうとしたとき猛スピードでこちらに向かってくるトラックにひき飛ばされてしまった。
気が付くと玲奈はあたり一面白く何もない空間にいた。
(私は死んだんだろうか?確か自転車に乗ってたら何かにぶつかったような?ここは何処だろう)
そんなことを考えていたら目の前にはいかにも女神な白い羽衣を着た女性が立っていた。
「ッッ!あなたは?」
「ごめんなさいね、驚かせてしまいましたね私はこのとある世界を管理する神とでも言いましょうか」
「神様?ってことはやっぱり私は死んだんですね?」
「そう残念ながらあなたは“前世”では死んでしまいました、しかしこれからあなたは新しい世界で新たな生活を送ってもらいます」
「ええ!じゃあ二度と元の世界には戻れないってこと!?……でももう死んでしまったらしょうがないですよね」
「嫌なのはわかるわ、でもこれからの世界ではちょっとでもよく暮らしてもらえるようにあなたに俗にいう“チート”を授けましょう、まず一つが前世での剣道の能力と“さばげー”でしたっけ?確かあれも戦闘技術としても少しは有効だと思うからその能力が戦闘能力として付与します、二つ目は次行く世界での魔法学や数学・言語学(学者などが扱うレベルの物)などの知識も与えましょう、そして最後に指揮官として必要な能力も付与しましょう、これであなたは次の世界で不自由なく過ごせるでしょう」
「えっ!サバゲーてことは銃がある世界なのですか?」
「それは時機にわかるわ、そろそろ時間だから、あなたの幸せを願っているわ」
すると玲奈の目の前が急に真っ暗になり、意識もなくなってしまう――
また気が付くと今度はベットの上に寝ていた、体は小学生高学年ぐらいの大きさまで縮んでいた、そして頭に違和感を覚え頭に手を乗せるとなんと頭にピコピコと動く別のモフモフとした耳が付いていた。
(え!なにこれ!?もしかしてケモ耳!?)
玲奈は変なところに耳が付いていることでパニックになり、ベットから飛び上がるように起き上がるとそこには机といすと小さな本棚が部屋の端にあるだけで鏡を見て確認しようにもできなかった。
せめてもと思い自分の体を見ると小さい体ながら胸は程よく張り出し腰もくびれていた、ただお尻を見るとそこには猫のしっぽのようなものがついていた、それを見た瞬間玲奈は自分の体の急激な変化にショックを受け、そのまま気絶しベットの上にまた戻っていた。
それからしばらくして意識を取り戻すと同じころ、部屋のドアをノックする音が聞こえた。
「はい?」
「“レナ”!もう朝よ!起きてきなさい!」
玲奈は自分の名前?を呼ぶ見知らぬ存在によって部屋から出るように言われまた再びのパニックに陥る。
「もう!開けるわよ!」
バタン!
今にも壊れそうな勢いでドアが開いたかと思うとそこには見知らぬ女性が立っていた。
その女性も頭には耳が付いていておまけにしっぽもついていた。
自分の体の特徴と同じ耳としっぽが付いていることから、おそらくこの女性は転生先の母親なんだと悟ってしまった。
「レナ?早くしないと入学試験に遅れるわよ!!」
「入学試験?私が?」
「何を寝ぼけているの?!今日はあなたの今後の人生に大きくかかわる王立士官学校の入学試験なのよ!そんなこと言っていないでさっさと支度なさい!朝ご飯もちゃんと食べていくのよ!」
しばらく状況が読めなかったレナであったが、冷静になって机にあったものや母親の言葉から考え直すと、自分はどうやら今日入学試験があるらしいと、しかも王立士官学校というからにはここで受かって入学してしまえばエリートコースまっしぐら間違いなしである。
その考えに行き着いたレナは、転生する前に女神さまらしき人に言っていた“銃”の存在がこれから出てくるのだと思うとやる気が急に沸きあがり同時に使命感も出てきたようだ。
それから母親に用意してもらっていた服に着替え、朝食も取り、荷物を持つと不思議とやる気が出てきた。
レナの住んでいる村は数十人の獣人族の猫種だけが集まったイルダという名の小さい村だった。
レナの家族は父と母の3人で、父親は冒険者として生計を立てていて母親は小さな農園を営んでいるこの世界ではありきたりな家庭である。
そんなごくごく一般の家庭に育った一見何も特色のなさそうな少女が騎士学校へと向かうきっかけとなったのはとある日突然なんの前触れもなくレナの家に黒いローブを羽織り顔も見えないように布で隠した“女性”が現れ王立士官学校への推薦状をレナに渡してきたからである。
それを受け取ったときレナの母親と父親は何が起きたのか理解できていない上に目の前で起こっていることが本当のことなのか夢なのかと思っているのか目を見開いたりこするようなことをしていた。
しかしそれもそのはずで王立士官学校というものはそもそも王族や貴族などの子供や最低でも名のある大商人の子供でなければ入学はできず、そもそも基本的な教育を受けていない子供にとっては高等的な勉強をするのでついて行けない、さらに教育費や生活費などの費用も膨大なもので、とてもじゃないがどう頑張ってもごくごく一般的な家庭には到底手の届くことのない場所なのだ、しかも入学案内ではなく、そこの入学推薦書が目の前にあるのだから目を疑うのはごく自然な反応だろう。
その女性から渡された推薦状とやらをレナは受け取り文字を読もうとしたがそもそもレナにとって読めるはずもなくすぐに両親に見せ読んでもらった。
「何々……これはレナ殿を栄えある王立士官学校への入学を“推薦”するものである、したがってこの書状が届いた日から10日後……本当だ、信じられん……」
「本当にこの子が……レナが入学を推薦されているのですね?」
父親はパニックになり口を開けたまま固まってしまった、対する母親は何とか冷静を保ちながらまだ名も正体も知れない女性に聞き返していた。
「ええ、わが国の女王陛下が直々のご決断なのでまず間違いないでしょう……と言っても信じてもらえないでしょうがその書状には王家のものでしか描けない特殊な魔法陣が描かれていてその魔法陣自体が証明となります、途中関所などでも有効です、すぐにでも真偽をお確かめになりたいのでしたら近くの神官に聞けばすぐにでもわかるでしょう、では私はここで失礼いたします」
「お、おい!」
混乱から復活した父親が何かを聞こうとした瞬間その女性は役目を終えたと言わんばかりに文字通り目の前から姿を消した。
女性の説明に納得のいかない父親はすぐさま村の神官のところへと向かいこの疑わしい書状を見せた。
するとそれを見た瞬間、神官は目を大きく見開きながら驚いていたがすぐに平常心を取り戻すと、神官曰く“王家から代々伝わる魔法陣でこの魔法陣が書かれた書状はこの国では絶対的な信用があるからまず間違いない”とのことだった。
さすがにこれを聞いてレナの父親も不承不承納得し教会を後にした。
家に帰っていた父親はレナを王立士官学校へと入学させることにした、父親はまだもやもやとしたことが残っているようだったが母親の後押しと、書状の最後の部分に書かれていた学費などの諸費用完全補助・身柄の安全の保証等至れり尽くせりのこともあってか最後は素直に承諾していた。
当のレナに至ってはなんのことかまだ分かっておらず成すがままであった。
それから10日が経った今、イルダ村から歩いて3時間ぐらいかけて王都アルダートへと向かうのであった。
王都までの道はしっかりとした街道として整備され主要な周辺住民の交通ルートになっている他軍隊が常時警戒するルートであるため夜間以外であればかなり安全な道である。
王都に入る前に関所を通る、そこで本当であればギルドカードや通行証を見せるか通行料として銀貨10枚を支払わなくてはならないのだが何も持ち合わせていないレナは女性の言っていたことを信じ書状を見せることにした。
すると見せるまではぶっきらぼうだった兵士は急にかしこまりはじめ上司に報告しに行ったかと思えば10人ぐらいの兵士が護衛としてつくことになってしまった。
これもこの書状に書かれた魔法陣の効力なのであろうか……
王家の紋章が入っていればこうもなるのは当然なんだろうか?
そんなレナは仰々しく兵士に護衛され王都内へと入っていった。
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