現代兵器で異世界無双

wyvern

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陸編

 41.帰還

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 意識が戻り気づいたら俺はベットに寝かされていた。
 (この感じ、2度目だな)
 「気が付いた?」
 俺の腕に抱きつくように一糸纏わぬ姿のメリアがいた、腕にはダイレクトに柔らかい感触が伝わってくる。
 「な!近っ!しかも何も着ていなし!」
 「いいじゃない……もしかして約束もう忘れたの?」
 「そんなことないけど……それよりあの子達は?」
 「アリサとエリカのこと?あの二人はついた瞬間疲れて寝てしまったわ、それよりお腹がすいているでしょう?そろそろ朝食の時間だと思うから、食堂に行きましょう?」
 「そうだな……」
 「どうしたの?そんなに私のことを見て?今すぐにでも欲しくなっちゃった?」
 「い、いや綺麗だなって思って」
 メリアの姿を見て思わず見とれてしまっていた、しかし、メリアはどこか残念そうな顔をしていた。
 「ありがとう素直に嬉しいわ、取り敢えず着替えていきましょう」
 昨日つけていた装備類はベットの近くの机の上に整えられていた。
 今まで戦闘が立て続いていたので戦闘服で過ごしたままだった、このまま食堂に向かってもいいがさすがに浮くので、何か他のものに着替えようと思った、しかし最初に王宮に来た時に着ていたような軍隊の礼服だと重すぎるし……。
 「ねぇメリア、このままの服装だとなんか変だから何か着るものはない?」
 「そうねぇ……そういえば何も考えてなかったわ、ごめんなさい、もう少しでメイドたちも来ると思うからその時に何か用意してもらいましょうか」

 話をすればなんとやら、会話が終わったときにはドアのノック音が聞こえてきた。

 「入っていいわよ」
 「失礼いたします、朝のご挨拶に参りました、それと……」
 「わかっているわエミリア、この間のことでしょう?もうそれは仕方ないことだから、特にあなたたちを責めるつもりはないし、そもそもこの事件を未然に防げなかったのが悪いんだから、それにこうやってみんな無事でいたんだから」
 「ただ、今後の王宮内と後宮内の警備強化と戦力強化は必至だな」
 「残念ながら我々は今回女王陛下、王女殿下をお守りすることはおろか敵による魔法攻撃なども受けてしまい文字通り“壊滅”してしまいました、我々一同今回のことを踏まえ今まで以上の努力を惜しみません、ですので陛下、恐れ多いことではありますがどうか我々にもあの“銃”とやらを使った戦い方をご指導願いませんでしょうか?」
 「いわれなくとも、ちょうど考えていたことだからすぐにでもやろうか、それと魔法・薬物に対する訓練もしておかないと」
 「「よろしくお願いします!」」

 このエミリアの率いる美女・美少女ぞろいの武装メイド隊だが、部隊創設はそもそもメリアが女王に即位した直後で隊員も創設当初から4人のままで今回以外の事案に対応したことがなく業務のほとんどが通常のメイドたちの仕事と遜色がないものだった、しかしそうなっていたのは本来この王城の防衛のほとんどを近衛師団が務めていたため、通常であれば近衛衛視隊の来援が来るまでの時間稼ぎとしか考えられていなかったので実際は“気休め程度”であった、そのため今までナイフやこん棒などでの近接戦闘しか訓練されておらず、敵の魔法攻撃に耐えられなかった、さらに今回のような場合は内部の人間の裏切りもあったが武装メイド隊どころか近衛師団ですら感知していなかった。

 その対策のために俺が考えているのは、まず近衛師団とは別の王宮警備部門を新設しその下に武装メイド隊や専門の情報隊を配し、これとは別に給仕や調理担当部門、雑用のメイドの部門を新設して王城内の近衛師団が機能しない状態に陥りなおかつ他の部隊の来援も期待できないときであっても防衛戦が可能なようにしていきたいと思っている。

 銃器は“メランオピス”隊も使用するMP7とP99c(俺が使っていたP99のコンパクトヴァージョン)、HK416Cを配備するつもりだ、そうすれば“メランオピス”隊とも訓練も整備もともにできる。
 できれば今後は装備の統一化をしていきたい(俺的には多数の銃を持つことにロマンを感じる←これって俺だけ?)がそれはもっと先になりそうだ。
 
 「それはいいんだけど、エミリアさん俺に何か着るものはないか?あの戦闘服のままだとあまり良い気分じゃあないからさ」
 「そうですね……しばしお待ちを」
 そういって部屋を出て行ったエミリアは数分と経たないうちに着るものをもってきた。
 「こんなのでよろしければ……」
 少し申し訳なさそうにエミリアが持ってきたのは、白いローブのようなもので腰のあたりをベルトで止めるものだ、これを着た俺は頭こそ何もかぶっていないが、まるでアラビアの王族の姿を彷彿とさせるもののようだ。

 「いや、着やすいからこれでいいよ、ありがとうエミリア」
 「い、いえ、そんな……」
普通に声をかけたつもりであったがエミリアは顔を赤くし下を向いてしまった。
 (あれ?なんかした?)
 ふと、何かを感じ後ろを向くとメリアが可愛く頬を膨らませて少し不機嫌でいた
 「何よ、私を放っておいて、ム~っ」
 「ん?そんなに気を悪くしないで、メリアは俺の中で一番だからさ」
 「ありがと!」
 メリアは俺の背中に抱きつき顔を擦りつけてくる。
 
 「おなかも減ったしそろそろ行こうか?」
 「うん!」
 「それでは参りましょう」
 前までは武装メイドたちであってもメリアたちについていくことはなかったが、今や俺とメリアの前後を挟むように一緒に移動している。
 警備部隊の増設がまだ完了していないので、増設されるまで応急的に今は“メランオピス”隊が周辺を警備している。
 気づくと俺の後ろにはレナがいつの間にかついてきていた。


 これから朝食を食べに行くのだが、今日は食堂ではなく会議室で食べてそのままそこで会議を行うようだ。
 会議室につくと入り口から見て左側に陸軍陣営のヨナ、セレナ、エレシアやエレン、その反対側には海軍から大臣のガンダルシア・ヴィアラ、総司令官のオルデント・リディア、参謀総長のアルバ・ユリシア、作戦本部長ジェミナ・フラウもいた。
 その両陣営の首脳陣が長いテーブルに海軍と陸軍と別れて向かい合わせるように座っていた。

 今この部屋の空気は両陣営の目線による静かな戦いよってピリピリとしていて、とてもこれから朝食をとる空気感ではないがそれとは関係なしに次々とテーブルの上には料理が運ばれてくる。
 さらに部屋の周りは厳重な警備体制が敷かれていてより一層空気が重い。

 今この王宮中の空気が重い理由は、この後の王国陸軍による大規模反抗作戦が行われるのと、そののちに計画されている王国海軍による帝国海軍主力の連合艦隊に対する海戦について話し合うこともあってのことだろう。
 この作戦は陸軍の作戦の成功を前提に考えられていて、勝利した後に各方面で余裕の出た兵員を海岸線と港に配置し敵の上陸を防ぎ同時に占領地域の奪還作戦も行う、その間に今まで帝国海軍の陸戦部隊と艦隊の両方の対応をしていて自由に動けなかったが、陸軍が後方(海軍基地等)の安全を確保するため、海軍の残存艦隊総出で帝国艦隊に攻撃を仕掛けるというものだ。
 ただ、どの方面も劣勢で特に海軍に至っては今現在でも戦闘に参加できる艦艇は40隻(内主力10)しか残っていない、しかし敵の艦隊は500隻(この連合艦隊のほかに帝国周辺海域にも多数の艦隊が存在)もあるのでその艦隊に対してどれだけ俺の力(主にLiSMによる召喚)を発揮させるかがかかっている。
 

 そんな重い空気の中、俺は食欲に耐え切れず運ばれてきた食事に手を伸ばす。
 今日の朝食はコーンスープと干しレーズンの入ったフランスパンのようなものとサラダが出てきている。
 ただ、机に座っているうち食べているのは俺とメリアだけで、周りはコーヒーにのみ手を付けているのみだ。
 
 流石に気まずいと感じたのかメリアは素早く食事を済ませ、静かに立ち上がった。

 「さて、まず何から話しましょうか?」

 この後の話し合いによって国の趨勢が大きく変わっていく――――
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