現代兵器で異世界無双

wyvern

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陸編

 26.再出撃!

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テントに戻った俺は起きてきていたシルヴィア達に出迎えられた
「ワタはどうやらエレシアと一緒に朝ご飯を楽しんでいたようだな?にしてもなんだその浮かれない顔は?」
エレザは俺に会うなり俺の肩に腕を乗せ妙にフランクな口調で話しかけてくる。
エレザだけは俺に対する態度を最初にあった時から変えようとしない、それはそれで気が楽なので俺的には別に気にしていないのだが、シルヴィアはどうやら今の俺に対するエレザのことが気に障ったらしく、エレザを俺から引きはがしにかかる。
「こら!エレザ!陛下になんという口の利き方をしているのだ!」
「む~、別に嫌がってないからいいじゃないか、なぁ?」
「なっ!陛下は何とも思わないのですか?」
困ったシルヴィアは俺に同意を求めてくるが、俺は何も言わずにそんなシルヴィアの頬になんとなく手を添えてみた。
「そ、そ……」
そのままシルヴィアは固まって動かなくなってしまったが、シルヴィアはうれしそうな顔だ。
(よし、なんか知らんけどうまくいった!)
そんなことを内心俺は思う、なんだかんだあってこの状況にも慣れてきた。
当のエレザは俺とシルヴィアのやり取りを見た後、興味がないとでもいうようにそそくさとその場からいなくなってしまった。
そのあとエレザの愛銃?(HK416)のメンテナンスをミレイユと共にし始めた。

そんな二人を尻目に、俺は昨夜の取り逃がしてしまった残存兵の捕縛または殲滅の為の機動力と防御力のある新たな兵器をLiSMで探していた。
今まで使っていたハンヴィーでもいいのだが、前城へと向かった時とは違い、今回の場合は敵地のど真ん中へと突き進むので、取り囲まれてしまった時の攻撃を想定し、矢はもちろんのこと、今回の戦闘でも散見した魔法による攻撃に耐えうる装甲を持ち(どこまでの魔法があるかは定かではないが、エレザ曰くあの帝国では迫撃砲を少し強くした程度のものまでだろうとのことだった)、どんな地形でも動きやすい車両でないと危険だと思ったので、思い切ってここで新たに新調しようと思った。

召喚するものは陸上自衛隊で採用されている89式装甲戦闘車にした。この89式戦闘装甲車は乗員9名で、装甲車の中では強力な90口径35mm機関砲を備えており、発射速度は毎分200発と遅めで、最大射程は5000mにも及ぶ。ほかにも副武装の74式7.62㎜車載機関銃・79式対舟艇対戦車ミサイル二基などを備えている。
そもそも装甲戦闘車と呼ばれるものは、戦車ほどの装甲ではないが重機関銃や近くで爆発したものの破片等に耐えうる強度の装甲を持ち、戦車と共に部隊を構成していることがあるので、それに追従していく為の無限軌道(キャタピラー)による不整地走行と速度がある。
車内には操縦する3名の兵員を除いて6人か7人ぐらいの兵員(半個分隊ないし一個分隊)を輸送することができ、その乗車する兵員は必要な場面において下車し、近接戦闘を行う。その際に、装甲車の武装で直接火力支援を行う。
また、敵の戦車もしくは同等の車両などに対して、軽装甲の車両には機関砲を用いて攻撃し、戦車には対戦車ミサイルで攻撃・撃破することができる。

この89式装甲戦闘車(以下89式)も他の兵たちにも教えて戦力強化を図ろうと思ったが、今回は時間が惜しいため、この作戦が終わったら、ある程度召喚してこの世界初の機甲部隊を編成しようと思う。

 こんなものを、兵しかいない町の広場のテント周辺とはいえ急に出しては後が面倒なので、“彼女ら”を城外へと連れ立ち召喚したものを見せる。
 みんなは、この状況にはもう慣れたようで、召喚するときの淡い光を見ても、驚くことがなかった。
 しかし今回の召喚は今までのものと違った“もの”を出したので、皆は違う驚きがあったようだ。
「陛下、こ、これは何ですか?まるで城を小さくしたかのような物体ですね?上についている長いものはひょっとして銃ですか?」
ミントは珍しく質問してきた、この89式にずいぶんと興味を示してくれたようだ。というよりハンヴィーの時もそうだがどうやらミントは車両系によく興味を持つようだ。
「いいや、ミントこれは今までの機関銃とは違ってこれは機関“砲”っていうものだよ、しかもこれは城と違ってそこまで強固な防御力はもってないけど、矢だったり爆発魔法は防げるし動き回ることも可能なんだ。さらにこれは後ろから兵を出し入れすることも出来るものだよ」
ちなみにこの機関砲と機関銃の区別は大体の国が、口径20mm以上が機関砲、未満のものが機関銃となっている。
「今度はこれを使っていこうと思うんだけど、前のハンヴィーは俺が動かしてたけどこの後だれかがこういうのを使っていくと思うから、今後のこと考えて誰かに操縦してもらおうかと思うんだけど……」
そういうと、ミントは手を上げ志願してきた
「陛下!この私に是非やらせて下さい!」
「おおっ!そんなに言ってくれると嬉しいな~、けど他のみんなはどう思う?」
「いいのではないでしょうか陛下、そうして頂ければ我々の本隊での教育も出来ましょう」
「そうだな私もそう思うぞ、それに私は“戦闘”がしたいからこれの操縦とやらは見送るよ」
「陛下!いざとなればこのシルヴィアもやらせていただきます!」
「良し!そうなれば急ではあるのだけど、これに乗って今から少しの間慣らしを行った後、残存兵力の殲滅もしくは敵司令官の捕縛を行う!」
89式の後ろにある観音開きの兵員室につながるハッチを開けながらそういうと、さっそく兵員室にはキューレ・ミレイユ、サクラ・エレザが乗車する、一方90口径35㎜機関砲のある砲塔には車長としての俺とシルヴィアが砲手を務め、操縦手は志願してきたミントが乗り込む。
ここでも全員との意思疎通を図りやすくするために、全員にインカムを装備してもらう。
ミントにはLiSMの中の「異世界人専用マニュアル」というものの発動によって、操作を覚えてもらっていた。
このLiSMの中の「異世界人専用マニュアル」を作動させることによってどうやら他の兵器も同じように瞬時に操作や扱い方がその教えたい人にわかるようになっているようだ。
(これが早いうちに知ってたら……まぁ、教えるのが好きだったからいいけど、この後毎回わざわざ教える必要なくなったってことだ)
現に89式のエンジンが動き車内には明かりがつく
「エンジン問題なし!操縦系統問題なし!動けます!」
ミントは能力?で得た、知識によって問題なく動かすとこに成功した。
「了解!これより出撃する!前へ!」
「「「「了解!」」」」


城から出ることはすでにローレンスに「敵を見つけて捕まえてくる」と伝えてある、その時ローレンスもついて行くと言ってくれたがそれでは万が一の時に対応しにくいと思ったので残した。おそらくエレシアにもノア経由で伝わっていると思う。

俺たちは昨夜敵が向かっていった北の方角に89式を走らせた
89式を動かすミントは良い調子に乗ってきたようで、鼻歌交じりに最高速度の70km/hで何もない草原を走らせる。

その様子を砲塔上部にある車長用キューポラからレンズを通して前方を監視する。
しばらくすると、前方に小さくまとまる馬に乗った集団が見えてきた。

「前方に集団を発見!速度落とせ!」
「了解」
ミントはギアを落とし、速度を落とす
「あれは敵ですか?」
俺の隣に座るシルヴィアも射撃用に使うスコープを覗き見る
「わからない、でも方角的にいてもおかしくはない」
「陛下!あの集団はよく見るとこっちに向かってきています!」
「何だと!?」
集団はこちらを視認したのか、先ほどより速度を速めてこちらに向かってきていた。
「陛下、如何なさいましょう?」
「停車してしばらく様子を見てみよう、ミント停車させてくれ!」
「了解!」

数十分後、そのまま、その場所に停車しているとあちらがだんだんと近づいてきた。
俺とシルヴィアは砲塔上部のハッチを開け双眼鏡で監視していた、よく見ると先頭には、降伏や攻撃しないことを意味する白旗を掲げながら来ていた。

「陛下、あれは敵の部隊に間違いありません、昨日チラと見た指揮官らしきものも見当たります」
「そうか、どうやらあの集団も白旗を掲げているところを見るに、一応戦う意思はなさそうだな」
「ただ、そうと見せかけて襲う可能性も帝国軍ならあり得ますので、万が一に備えましょう」
「総員戦闘準備!弾を込め!エンジンはアイドリング状態をキープ、いつでも動けるように!」
「「「了解!」」」

さらにそこから数分後集団の兵たちの様子が見れる距離まで接近してきた。
するとその一団から護衛を引き連れた現場指揮官と思しき兵が89式の至近にまで来た。
そしてその中の隊長格の女性が、キューポラから顔を出していた俺を見上げて、こう言ってきた
「我々は帝国軍ベルキア・リレイ中将閣下直属部隊である!こちらは戦う意志はない!そちらは王国軍の者と見受けられる、そちらと閣下が話をしたいそうだ、こちらにご同行願えるか?」
「わかった、今行く、ただ下手な真似はするなよ」
そうして89式を部隊中心部へと進ませた。

そしてそこで初めて敵軍の司令官の女性に会うこととなった。
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