現代兵器で異世界無双

wyvern

文字の大きさ
上 下
21 / 93
陸編

 21.チャージ!

しおりを挟む
「突撃に~前へー!!」
号令をもとにハンヴィーを盾に、全員文字通り一丸となって城へと進み始める。
今の状況を見るに城を守る兵たちは、多勢に無勢で敵兵に少しずつ押され始めていた。
徐々に城へと防衛側は後退し、門を閉めようとしている。
敵国の兵士は士気が高いのか時折雄叫びを上げながら、城門に向かって押し寄せていく。
多分、城の中のご褒美(・・・)を目的に我先にと突っ込んで行っているような気がする。そう考えるとじっとしていられない。

「シルヴィア!射撃開始!」
「御身の仰せのままに」
距離が500mぐらいになったところでシルヴィアに射撃を命じた。

ダダダッダダダダダダッ

するとさすがに敵の少数はこちらの存在に気付き、余裕のあるものはこちらに矢を飛ばしてきた。

「総員全力射!てッ!」
「「「了解!」」」
200mを切ったところでライフル組の射撃を命じた。
セレクタを単射にかえ各個撃ち始める。
するとあちらも目に見えてこちらに反撃するようになってきた、ただこの小銃弾からの攻撃に耐えられるようなハンヴィーに矢などが通用するはずもなく、全ての矢が弾かれていく。
城の入り口付近まで行くとさすがに抵抗が強くなり一旦停車し、ここからキューレと俺も混ざりM249paraによる制圧射撃を始めた。
敵は金属製の鎧や盾を身にまとう騎士や現場指揮官、革製のものや鎖帷子を装備した兵卒と装備はバラバラで中には上半身に何もつけない強者もいる。よく見るとあまり統率がとれておらずほとんど個人の判断で戦っているみたいなので指揮官などはほとんどお飾りかよくて監視であろう。

そんな敵を絶え間なく射撃しながら進んでいく。
城門から100mぐらいになるとエレザとミレイユは吊り紐(スリング)をつけたのでHK416を背中に回し、腰に差していたサーベルで接近戦に突入した。
キューレは最後まで弾を撃ち切ると、身体強化の魔法を使って、全身を強化し、身近にあった破城槌を破壊しその一部の大きな角材を振り回し、文字通り敵兵を薙ぎ払っていっている。
シルヴィアやサクラ、ミントも同じく射撃をやめて遊撃戦に移っているが、3人は火の渦や風の刃、雷撃などの魔法を使っていた。気付くとミレイユやエレザ達も時折、おそらく下位の魔法だろうか(シルヴィア達に比べ見た感じ威力が違う)火の玉や氷の塊を飛ばしている。
メリア曰く、俺自身も魔法を使えるようではあるが使い方がわからない。それは後日聞いてみよう。

活躍の場面がなかった俺は車内に戻りシルヴィアが格闘戦に移るために車外に出てしまった為、使用を中止していたM2を再度装填しなおして射撃を開始する。
使用弾薬がアンチマテリアルライフル(対物・対軽装甲ライフル)などにも使われている12.7×99㎜NATO弾を使っているので、薄い装甲などは貫く威力のものなので、人に対してはオーバーキルである。
現に頭に当たったはずなのに当たった部位に弾の衝撃波も加わり、頭部ごと吹き飛んでいった兵士もいれば、実際は腕をかすった程度で済んでいたものを、この弾では腕ごと体から引き離されてしまう。
 体に全弾命中してしまったものなら、引き肉のごとく体の部位が解らなくなるぐらいまでになってしまう。

さすがの敵もここまでやられると混乱に陥り、元々統率が取れていなかったので、形勢不利とみると兵たちはすぐに背を向け脱兎のごとく撤退していく。一方の指揮官らしきものたちは後退を許されないのか意地なのか、死ぬまで抵抗している。

「総員射撃停止!集合してすぐに乗車!」
これ以上の戦闘がないことを確認し、周囲に敵兵がいないことも確認したワタは、敗走を続ける敵兵に対して追い討ちを剣から持ちなおして射撃しているエレザ達全員に集合をかけ、ハンヴィーへと乗車を促す。
みんなは即座に反応し戦闘を終了させ後退してくる。
全員が乗ったことを確認した後にそのまま城門へと車を進める。

城壁の門の前まで車をつけ周囲を警戒しながら再び降車する。
敵兵が瓦解したため、門は閉じずにそのまま開いており、角から城内の兵士が恐る恐るこちらの様子を窺っている。
何も迎えもないことにいら立ちを覚えたのかサクラは真っすぐに城門へと向かっていく。
(まぁ、こんな状況で、得体も知れない物を持った奴らに近づく奴なんていないよな……)

「ハミルトン城の兵士たちよ!今しがた王都より援軍に参った中央軍所属ダベルグ・サクラというものだ!現場指揮官にお目通り願いたい!」
門の前でそう名乗ると、城内では焦ったような動きを見せ少し経つと、奥から数人の護衛を連れた兵士がこちらに向かってきた。

「私は前線のハミルトン親衛隊隊長をやっております、アラバスタ・ローレンスと申すもの、援軍に来てくださり、感謝申し上げます」

ローレンスと名乗った初老の兵士は、見た感じは物優しそうで、堅苦しさがない印象だ。ただ頬や目にある傷が歴戦の戦士だったことをうかがわせる。
しかし、少人数だけの援軍だと思ったのか、少し顔が曇っていて、不安も拭えない様子だ。

「少数ながら先遣隊としてこちらに参った。貴殿はハミルトン親衛隊だといったが、ここの総指揮官は何処におられるか知っているか?書状をリメリア閣下から渡すように今預かっているので、案内していただきたいのだが」

「ハッ、ただいま伝令をエレシア様に使わせるので暫しお待ちを……それと少しお伺いしますが、先ほどあなた方は、おそらく2万は下らなかったであろうあの敵軍をいかようにして撤退させたのでしょうか?」

どうやらローレンスはいまだにあの大軍の中をいとも簡単に進んできた我々の力に疑問を抱いているようだ。

「良し!いいだろうまだ時間があることだし説明しようじゃないか……ということでワタ殿ご説明願えるか?」

そういって、サクラは俺に説明を丸投げしてきた。

「えっっ!自分で説明出来るでしょうに……まぁいいです、初めましてローレンスさん、今回の出来事を少しだけ説明して差し上げましょう」
「えぇ、お願いしますワタ殿、その前に、質問を答えていただいているときにこんなことを聞くのはなんですが、あなた様の身分はどのようなものなのでしょうか?」
「そのことですが、一応訳があって今は王族に身を寄せるものになっています、そして今回の――」
長話をしていると敵にまた襲われてしまうので、掻い摘んでこのことを伝えた、そうすると途端に曇っていた顔もわずかながら晴れ、安心した顔になった。
このことを聞いた護衛の兵士たちも頼もしい援軍が来てくれたと思ったのか、安心からの笑みがこぼれる者がいた。
ローレンスのことを聞いてみると、どうやら先の大戦でも戦ったようだが、戦いで受けた傷と年齢もあって、兵役から退いていたようで、このハミルトン城への帝国軍侵攻を聞いたローレンスは最後の奉公としてここのハミルトン親衛隊隊長を務めている。
そんな話をしているうちに、先ほどの伝令が帰ってきた。
伝令の兵士が帰ってくると同時に一緒にやってきたのか、傍には女性兵士が立っていた
「お待たせしました、居館内でエレシア様がお待ちです!」
「報告ご苦労、ゆっくり休んでいなさい、またいつここに攻めよってくるかわからないからな」
「ハッ!ありがたく休ませていただきます!」
伝令が兵舎に向かっていくのを見届けた後、女性兵士に促されて城へと足を向ける。
「ローレンスさん我々はここで失礼させて頂きます、またお会いしましょう」
「今度は戦場で会うことになりましょう、その時はこの城を頼みましたぞ」

ローレンスさんは別れ際に寂しそうな顔をしてそのまま護衛の兵士たちと共に立ち去ってしまった。

「では、私が領主様の居館へとご案内いたします」
先ほどの女性兵士がそういって居館へと歩き始めた、まるで“付いてこい”とでもいうように。
「さて、行くとしましょうか」
「何か、気に入らんが行くとするか」
皆何故か女性兵士に対していいように思っていないようだが、渋々ついて行くことにした。


しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。 果たして、阿宮は見知らぬ世界でどう生きていくのか————。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

転移した場所が【ふしぎな果実】で溢れていた件

月風レイ
ファンタジー
 普通の高校2年生の竹中春人は突如、異世界転移を果たした。    そして、異世界転移をした先は、入ることが禁断とされている場所、神の園というところだった。  そんな慣習も知りもしない、春人は神の園を生活圏として、必死に生きていく。  そこでしか成らない『ふしぎな果実』を空腹のあまり口にしてしまう。  そして、それは世界では幻と言われている祝福の果実であった。  食料がない春人はそんなことは知らず、ふしぎな果実を米のように常食として喰らう。  不思議な果実の恩恵によって、規格外に強くなっていくハルトの、異世界冒険大ファンタジー。  大修正中!今週中に修正終え更新していきます!

異世界転移した町民Aは普通の生活を所望します!!

コスモクイーンハート
ファンタジー
異世界転移してしまった女子高生の合田結菜はある高難度ダンジョンで一人放置されていた。そんな結菜を冒険者育成クラン《炎樹の森》の冒険者達が保護してくれる。ダンジョンの大きな狼さんをもふもふしたり、テイムしちゃったり……。 何気にチートな結菜だが、本人は普通の生活がしたかった。 本人の望み通りしばらくは普通の生活をすることができたが……。勇者に担がれて早朝に誘拐された日を境にそんな生活も終わりを告げる。 何で⁉私を誘拐してもいいことないよ⁉ 何だかんだ、半分無意識にチートっぷりを炸裂しながらも己の普通の生活の(自分が自由に行動できるようにする)ために今日も元気に異世界を爆走します‼ ※現代の知識活かしちゃいます‼料理と物作りで改革します‼←地球と比べてむっちゃ不便だから。 #更新は不定期になりそう #一話だいたい2000字をめどにして書いています(長くも短くもなるかも……) #感想お待ちしてます‼どしどしカモン‼(誹謗中傷はNGだよ?) #頑張るので、暖かく見守ってください笑 #誤字脱字があれば指摘お願いします! #いいなと思ったらお気に入り登録してくれると幸いです(〃∇〃) #チートがずっとあるわけではないです。(何気なく時たまありますが……。)普通にファンタジーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

うちの冷蔵庫がダンジョンになった

空志戸レミ
ファンタジー
一二三大賞3:コミカライズ賞受賞 ある日の事、突然世界中にモンスターの跋扈するダンジョンが現れたことで人々は戦慄。 そんななかしがないサラリーマンの住むアパートに置かれた古びた2ドア冷蔵庫もまた、なぜかダンジョンと繋がってしまう。部屋の借主である男は酷く困惑しつつもその魔性に惹かれ、このひとりしか知らないダンジョンの攻略に乗り出すのだった…。

クラス転移で神様に?

空見 大
ファンタジー
空想の中で自由を謳歌していた少年、晴人は、ある日突然現実と夢の境界を越えたような事態に巻き込まれる。 目覚めると彼は真っ白な空間にいた。 動揺するクラスメイト達、状況を掴めない彼の前に現れたのは「神」を名乗る怪しげな存在。彼はいままさにこのクラス全員が異世界へと送り込まれていると告げる。 神は異世界で生き抜く力を身に付けるため、自分に合った能力を自らの手で選び取れと告げる。クラスメイトが興奮と恐怖の狭間で動き出す中、自分の能力欄に違和感を覚えた晴人は手が進むままに動かすと他の者にはない力が自分の能力獲得欄にある事に気がついた。 龍神、邪神、魔神、妖精神、鍛治神、盗神。 六つの神の称号を手に入れ有頂天になる晴人だったが、クラスメイト達が続々と異世界に向かう中ただ一人取り残される。 神と二人っきりでなんとも言えない感覚を味わっていると、突如として鳴り響いた警告音と共に異世界に転生するという不穏な言葉を耳にする。 気が付けばクラスメイト達が転移してくる10年前の世界に転生した彼は、名前をエルピスに変え異世界で生きていくことになる──これは、夢見る少年が家族と運命の為に戦う物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...