現代兵器で異世界無双

wyvern

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陸編

 8.モンスター討伐作戦

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 町を出た俺とステラはまっすぐ西にある森へと足を向けていた。
 本来であれば町にある店でこの後必要な食糧や水、その他諸々を購入する必要があるが、その部分は俺がLiSMによって召喚して補えばいいので問題ない。
そのことはステラにももうすでに言ってあったので混乱もない。

町から出て数十分で森についた。
もうすでに討伐が始まっているのか散発的に戦闘の音が聞こえてくる。この音が行商の襲われている音だったら最悪だが……。

 森の中に入る前にP226からマガジンをさし初弾送り込み次に同じようにSIG716に弾を込めていく。
 弾を入れ終わるとメインのSIG716を構え前へ進む。
 それにつられるようにステラも抜刀し俺の後ろについてくる。
 
 この森は以前、今の約2倍もの広さがあったようだがその大部分が開拓され町や農村などになっていた。それでもなお広大な面積を誇っている森は地域住民にとって貴重な薬草や果物などがとれ、森の中心を流れている川では魚が釣れるようだ。
 しかし、最近になって開拓するときにはいなかったはずのモンスターがどこからやってきたのか棲みつきはじめ、今までここでの収穫によって生計を立てていた人たちに被害が及びはじめそれと同時期には商隊などが襲われ多数の死者が出る事件も発生してしまっているようだ。
 それもあってか今まで人の手で手入れされていた森は荒れ果て今や木も草も生え放題である。
 
 森を進むとすぐ、俺らから100mぐらい離れた森の中の少し開けている場所に醜い小人のような生物が不快な鳴き声のようなものを発しながら集まっていた。このゴブリンたちは各々手に木のこん棒のようなものやボロボロになった短剣や鍬、短くされた槍、弓などで武装している。しかし、防具に関しては概念がないのか、体にはボロボロになった布切れだけを身に着けているだけだった。
最初に遭遇したゴブリンとは様子が違っていてこの集団の中心には体の大きい(人間でいう中○生ぐらい)個体が一体いた。おそらく奴はこの集団のリーダー的な存在なのであろうか装備も周りのゴブリンよりも大きく比較的きれいな状態の剣を持ち、もう一方の手には丸い盾のようなものも装備している。

それを発見した俺はステラに事前に打ち合わせていたハンドシグナルで合図を送り、打ち合わせ通りの動きを始める。
ステラは俺の射線上に入らないように右後方につき身をひそめ待機する。
それを見届けた俺はリーダー格のゴブリンの頭に狙いを定めセレクタを回し安全装置(セーフティー)を解除しセミオートに切り替える。
そして静かに引き金に指を添えゆっくりと力を込めていく――

破裂音と重い肩に伝わる反動ともに発射された7.62mm×51NATO弾はゴブリンリーダーの頭を貫通した。その貫通した弾の衝撃波で頭の内容物をあたりにぶちまけ、主を失った身体は力なく崩れ落ちていった。それをみたゴブリンたちは急なことで一瞬立ち止まってしまって、中にはリーダーに近寄りなにがあったか確認するものもいた。
しかし、状況が理解できないゴブリンたちはただ茫然としているだけだった。
俺はしばらく冷徹な目でそれを見つめていたが、すぐに次のターゲットの頭にサイトをあわせ弾を撃ち込んでいく。
被弾したゴブリンは胴体部分に大きな風穴をあけ、もともと体が小さいので吹っ飛ぶように斃れた。
再びの破裂音と仲間の死に気付いたゴブリンたちはそこでやっと敵の襲来に気づき音のするほうに向け不愉快な奇声を上げながら進軍し始めた。

リーダーと仲間を殺されたことによって激しい怒りをともなったゴブリンたちに俺は焦りと恐怖を感じてしまっていたが、それでもまだこちらが一方的に攻撃できる距離にあるのでこの優位に立っているときのうちに敵の数を減らしていく。
だが、撃っても撃っても何処からともなく沸いてくるゴブリンは近くにいたやつらが応援に来たのか最初に見つけた時よりも増えていた。
気付けば20連マガジンもすでに7回もかえていた。10用意していたマガジンは残すところわずか2しかない。
 敵は仲間が次々に倒れていくのをものともせずに屍を越えて一歩一歩確実にこちらに向かって歩み続けてくる。
さすがに量に気圧され俺は徐々に後ずさりし始めてしまっていた。

俺がステラに手が届く距離についたころにはゴブリンは俺らの足元に到達してきていた。その足元にとりついてきたゴブリンを俺はとっさに腰に万が一のために装備していた鉈を取り出し応戦した。そのころにはステラも戦闘を始めていて鉄がぶつかり合う音や何かがつぶれた音が聞こえてくる。
ただでさえ戦闘をしたことがない俺は銃を難なく使いこなせたが、刃物となるとうまくいかず攻撃しているというよりもはや振り回して当たれば良いほうだ、今まで俺に出番を取られていたステラだが近接戦闘となった今や水を得た魚のように生き生きしている、そしてきれいな身のこなしで次々と敵を屠ってゆく。
ステラは淡々と敵の首を斬り落とし、袈裟懸けに斬りつけていく。その結果ステラはゴブリンの返り血を大量に浴び今やけがをしたのかわからなくなるぐらいになってしまっている。ただそれだけにとどまらず彼女の足元や周辺にはまるで川のようになった血が流れていてそこには無数の死体が無造作に転がっている。現代の一般人が見たら卒倒しそうなほどの光景だがそれを見て動揺する余裕のすらない元一般人は今でも懸命に鉈を振り周囲によって来る奴らを倒していく。

しかし、戦闘開始から1時間余りたった今も敵の勢いは衰えることなくどんどん押し寄せてくる。対するこちらは2人しかいない上に増援もなくただただ体力が消耗されていくだけだった。
最初こそステラは相手の攻撃をサラリとかわしていたのだが、体力を消耗するにつれ集中力も途切れてきて身をかわすのが少し遅れがではじめその影響でかすり傷が増えていきさらにそのせいで更に集中がそがれていき、はじめはすっぱりと斬れた剣も刃がこぼれだし今や殴りか無理やり叩き斬っている。
さらにそれから約30分経つとようやく敵の勢いも落ち向かってくる敵も明らかに少なくなっていていた。
だが、敵が少なくなってきたことによって気を抜いてしまったのか、ステラはゴブリンから足払いを喰らい見事に転んでしまった。
転んだ勢いで剣が飛んで行ってしまい抵抗する手段をも失ってしまった。そんな状態のところでゴブリンに周りを囲まれてしまったステラは自分の最期を悟ったのか目をつぶり何かを祈り始めた。
それが起きたころには丁度よく自分の周りから敵を排除できたので、すぐさま手に持っていた鉈を近くにいたゴブリンに投げつけ腰につけていたP226を取り出し発砲を開始する。
大した数ではなかったがさすがにこの武器が向いた方向からしか攻撃が来ないことが分かったのかちょこまかと動き回り中々当たらず苦戦した。
それでも頭を狙い撃ち一匹一匹確実に減らしていく
苦戦しながらもなんとかこちらに歯向かってくる奴らはいなくなったが、当たった箇所が致命的な場所ではなかったが腕や足がもぎ取られ苦しみながらもがいている奴らもいる。
ゴブリンの血によって川のようになったその場所は地獄絵図そのものだ。
目視で数える限り200体以上のゴブリンの死体が転がっていた。

ステラはゴブリンによって受けた不意打ちを受けさらに窮地に追い込まれてしまったことによるショックで頭が混乱したのか目を開けたまま敵がいなくなった今でも祈り続けたまま固まっていた。
「……主よ、我を救い給え。主よ、我を救い給え!」
「おい!ステラ目を覚ませ!」
俺が近づいて行ってもなお祈り続けているステラの肩を激しくゆすり意識を戻す。
「はっ、敵は?ゴブリンは?」
「もういなくなったよ。ほらこの通りだ。な?」
俺らの周りにはもうピクリとも動くものもなく、ただ目の前には不自然な静寂があった。
「良かった。また死ぬのかと思った……また助けてもらってしまった。ありがとうございます」
ステラは今にも泣きそうな顔であったが何とかこらえこちらに微笑み返してきた。
最初にステラにあった時も今回と同じようにゴブリンの集団に襲われ取り囲まれてもはやこれまでというところで俺によって助けられていた。
ステラはホッとしたのかその場に座り込み、しばらく何かを考えていたがそこで何を思ったのか急に立ち上がり俺に抱き着き俺の頬に口づけをしてきた。
予想しなかった行動に固まってしまった俺だが、ステラはさも何事もなかったかのようにすぐに落としていた剣を拾いもりのそとへと歩き出し始めた。
「おい!ワタいつまでぼけっと突っ立っているんだ!?すぐに町へ戻って報告しないと!」
「おっおう」

そういってすぐさま町の方向に向かうステラを慌てて追いかけていく。
ふとステラの顔を見ると顔が少し赤くなっていた――――
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