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探検をしてみましょう

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 全員、花冠を作り終わったので、約束通り今度は皆で鬼ごっこをすることになった。
 花畑を駆け回る子供たち。
 だけど、問題発生。

「わぁっ!?」

「大丈夫!?」

 ここの花畑はそんなに広くない上に脇が結構急な斜面になっている。
 鬼から逃げていた男の子の一人が、足を滑らせて危うく斜面から転がり落ちそうになった。何とかそれは避けられたけれど、転んでしまい、私は慌ててその子のところへ駆け寄った。

「痛いところない?」

「膝が少し・・・・・・けど、へーき!」

 見ると、男の子の膝は土まみれになって少し擦りむいていたけれど、血は出ていない。
 そのことに一安心して、私は男の子の頭を撫でた。

「泣かなかったね。偉い偉い。汚れちゃったから、お膝洗おうか──えっと、洗える場所ってある」

「うん。綺麗な川があるよ。けど、流れが速いから大人と一緒じゃないと行っちゃダメってお母さん言ってた」

「そう。なら、お姉ちゃんと一緒に行きましょうか」

「うん」

 男の子の手を繋いで、皆に少し離れることを伝えると、男の子に案内して貰いながら川へと向かった。

 川は綺麗な清流で、注意されていたように子供を遊ばせるのは心配なくらいの流れの速さだった。
 出掛ける時に、着の身着のままだった私に辺境伯家の侍女が持たせてくれたハンカチをポケットから取り出すと、それを川の水につけて濡らし、川端に座っている男の子の所へ戻り、汚れた膝を丁寧に吹く。

「痛くない?」

「大丈夫」

 笑顔でそう答えると、男の子は立ち上がってぴょんぴょんとその場で跳ねた。

「あそこ、鬼ごっこするには向いてないね。他の場所で遊ぼっか」

「けど、他の場所もあそこくらいの広さしかないよ?」

「そうなの?」

 男の子がこくりと頷く。

「広い場所もあるけど、そういう所は危ない場所が多いからダメって」

「あらあら、それは不便ね」

 話を聞いて気づいた。どうやらこの辺境伯領は圧倒的に子供が遊べる場所が少ない。
 まぁ、託児施設が出来るまでは子供なんてほとんどいなかったみたいだから、領そのものが機能性重視で設計されているのだろう。
 子供の人口の増え方についていけてない。
 とはいえ、遊びたい盛りの子供たちに我慢を強いるのもねぇ。うーむ。
 とは言え、初めて来た辺境伯領で私に出来ることなんて──そうだ!
 私はとある思いつきに手を打った。

「探検、してみましょ!」
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