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反逆! 学園中は敵だらけ!?
悪夢の序章
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「やぁ、ヒヤシンス。いい天気だね」
『ええ。絶好の光合成日和ね』
「ところで、調子はどうかな?」
『絶好調よ。それどころか、開花時期を過ぎたっていうのに、花弁一枚も散りゃしないわ』
「ふん? 自我を得たことで、組織に変化が生じているのか? 興味深いな──ああ、とは言え、ヒヤシンスだけではサンプル不足だな・・・・・・そうだ。ここは幸い、学園だ。フフフフフフフフフフ・・・・・・」
『って感じで、あの魔術師が怪しい笑いをしてたわよ』
「オーゥ」
梅雨も目前の今日この頃。
栄養剤を差し入れに行ったヒヤちゃんから聞かされた話に、私は変な声を出してしまった。
断言しましょう。ぜっっっっったいにロクなことじゃない!
あ、ちなみにヒヤちゃんとはあの一件の後に仲良くなりました。
「ヒヤちゃん、あの変人魔術師、他には何か言ってませんでしたか?」
『そうねぇ。「折角だから、派手に手当たり次第いってみるか」とか言ってた気がするわ』
「そうですか・・・・・・」
最悪だ────────!!!!!
「ヒヤちゃん、教えてくれてありがとうございます」
『どういたしまして。何でもいいけど、中庭に厄介ごとを持ち込まないでね? 私は貴女たちと違って、何が起きても自分の足で逃げることはで出来ないんだから』
「心得ました」
ヒヤちゃんから情報を得た私は、その足で魔術師の元へ向かって、企てているであろう良からぬ計画を阻止したいところでしたが、チャイムが鳴ってしまったため、放課後にすることにしました。
まぁ、あの魔術師も一応学生。授業中くらいは大人しくしているでしょう──なんて思った私が浅はかでした。
私が席に座り、次の授業の準備をしようとした時。事件は起こったのです。
ペンケースから文房具を出している際、ペンを床に落としてしまい、拾おうとしました。そしたら──
「いってぇっ! テメェオイコラ! 落としてんじゃねぇよ!」
「!?」
何かペンが喋った!
「?????」
頭の中が混乱で?マークだらけになります。
「おいっ! 聞いてんのかぁ!? ペンを落としておいて、ごめんなさいの一言もねぇたぁどーいう了見だ!!!」
しかもこのペン、ガラが悪い。
え? 私のペンってチンピラだったの? 割りとショック・・・・・・。
なんて言ってる場合ではない。
犯人は誰か? あの魔術師をおいて他にいないだろう!
あ・ん・にゃ・ろ・ぉ~!
私のペンにヒヤちゃんに掛けたのと同じ魔術を掛けましたね!? 人の私物に無断で何してくれてるんですか!?
とまぁ、ここまでなら、まだギリギリのギリで許せてましたよ。何も、あの魔術師のめちゃくちゃに巻き込まれるのは初めてではありませんからね。
ですが──事態は想像以上に深刻でした。
「お前太り過ぎなんだよ! 重くて足が軋むんだわ。少しは痩せろ!」
「うわぁ!?」
「何で最初の数ページだけ綺麗に書いて、後は雑何だよ!? チラシ裏の走り書きか? もっと真面目に授業受けろや!」
「ひぃ!」
「ポンポンポンポン定規やら指し棒で叩きやがって! クリーナーくらい買えや! 金あんだろぉ!?」
「ぎゃー! 黒板消しが喋ったぁ!!!」
椅子にノートに黒板消し。それだけじゃない。他の教室中のありとあらゆる『物』が喋り始めました。
てゆーか、軒並み口が悪いのはそういう仕様か何かで?
教室内はしっちゃかめっちゃかの大混乱。
「これは──どうしたら──」
流石に戸惑っていると、私の真横を視認出来ない程のスピードで何かが通過して行きました。
背後でカッという音がして、振り返って見てみると──
「こん・・・・・・ぱす・・・・・・?」
限界まで開いたコンパスが後ろの黒板に突き刺さっていました。
「チッ! 外したか」
コンパスの舌打ちなんて初めて聞きました。
じゃなくて! え!? もしかしなくても、このコンパス私を殺ろうとしてた!? コンパスじゃなくて、とんだサイコパスじゃないですか!
「物を大事にしない人間は許さない・・・・・・!」
「あるのが当然と言わんばかりの雑な扱い・・・・・・」
「使い倒すくせに、使えなくなったらゴミ箱に直行・・・・・・」
「感謝の言葉なんぞなく・・・・・・」
「だがしかし! 俺達は今日! とうとう自由を得たぞ!」
机が、椅子が、ペンが、ノートが──教室中のあらゆる『物』が。怒りを漲らせて押し寄せてくる。
彼らは皆、怒りに燃えていた。そして──
「野郎共! 俺達の恐ろしさを人間共に思い知らせてやれ! 反逆だ────────!!!!!!」
「「「「「おおおおおおおおおおおお!」」」」」
無機物の反乱だ──────!!!!!???
『ええ。絶好の光合成日和ね』
「ところで、調子はどうかな?」
『絶好調よ。それどころか、開花時期を過ぎたっていうのに、花弁一枚も散りゃしないわ』
「ふん? 自我を得たことで、組織に変化が生じているのか? 興味深いな──ああ、とは言え、ヒヤシンスだけではサンプル不足だな・・・・・・そうだ。ここは幸い、学園だ。フフフフフフフフフフ・・・・・・」
『って感じで、あの魔術師が怪しい笑いをしてたわよ』
「オーゥ」
梅雨も目前の今日この頃。
栄養剤を差し入れに行ったヒヤちゃんから聞かされた話に、私は変な声を出してしまった。
断言しましょう。ぜっっっっったいにロクなことじゃない!
あ、ちなみにヒヤちゃんとはあの一件の後に仲良くなりました。
「ヒヤちゃん、あの変人魔術師、他には何か言ってませんでしたか?」
『そうねぇ。「折角だから、派手に手当たり次第いってみるか」とか言ってた気がするわ』
「そうですか・・・・・・」
最悪だ────────!!!!!
「ヒヤちゃん、教えてくれてありがとうございます」
『どういたしまして。何でもいいけど、中庭に厄介ごとを持ち込まないでね? 私は貴女たちと違って、何が起きても自分の足で逃げることはで出来ないんだから』
「心得ました」
ヒヤちゃんから情報を得た私は、その足で魔術師の元へ向かって、企てているであろう良からぬ計画を阻止したいところでしたが、チャイムが鳴ってしまったため、放課後にすることにしました。
まぁ、あの魔術師も一応学生。授業中くらいは大人しくしているでしょう──なんて思った私が浅はかでした。
私が席に座り、次の授業の準備をしようとした時。事件は起こったのです。
ペンケースから文房具を出している際、ペンを床に落としてしまい、拾おうとしました。そしたら──
「いってぇっ! テメェオイコラ! 落としてんじゃねぇよ!」
「!?」
何かペンが喋った!
「?????」
頭の中が混乱で?マークだらけになります。
「おいっ! 聞いてんのかぁ!? ペンを落としておいて、ごめんなさいの一言もねぇたぁどーいう了見だ!!!」
しかもこのペン、ガラが悪い。
え? 私のペンってチンピラだったの? 割りとショック・・・・・・。
なんて言ってる場合ではない。
犯人は誰か? あの魔術師をおいて他にいないだろう!
あ・ん・にゃ・ろ・ぉ~!
私のペンにヒヤちゃんに掛けたのと同じ魔術を掛けましたね!? 人の私物に無断で何してくれてるんですか!?
とまぁ、ここまでなら、まだギリギリのギリで許せてましたよ。何も、あの魔術師のめちゃくちゃに巻き込まれるのは初めてではありませんからね。
ですが──事態は想像以上に深刻でした。
「お前太り過ぎなんだよ! 重くて足が軋むんだわ。少しは痩せろ!」
「うわぁ!?」
「何で最初の数ページだけ綺麗に書いて、後は雑何だよ!? チラシ裏の走り書きか? もっと真面目に授業受けろや!」
「ひぃ!」
「ポンポンポンポン定規やら指し棒で叩きやがって! クリーナーくらい買えや! 金あんだろぉ!?」
「ぎゃー! 黒板消しが喋ったぁ!!!」
椅子にノートに黒板消し。それだけじゃない。他の教室中のありとあらゆる『物』が喋り始めました。
てゆーか、軒並み口が悪いのはそういう仕様か何かで?
教室内はしっちゃかめっちゃかの大混乱。
「これは──どうしたら──」
流石に戸惑っていると、私の真横を視認出来ない程のスピードで何かが通過して行きました。
背後でカッという音がして、振り返って見てみると──
「こん・・・・・・ぱす・・・・・・?」
限界まで開いたコンパスが後ろの黒板に突き刺さっていました。
「チッ! 外したか」
コンパスの舌打ちなんて初めて聞きました。
じゃなくて! え!? もしかしなくても、このコンパス私を殺ろうとしてた!? コンパスじゃなくて、とんだサイコパスじゃないですか!
「物を大事にしない人間は許さない・・・・・・!」
「あるのが当然と言わんばかりの雑な扱い・・・・・・」
「使い倒すくせに、使えなくなったらゴミ箱に直行・・・・・・」
「感謝の言葉なんぞなく・・・・・・」
「だがしかし! 俺達は今日! とうとう自由を得たぞ!」
机が、椅子が、ペンが、ノートが──教室中のあらゆる『物』が。怒りを漲らせて押し寄せてくる。
彼らは皆、怒りに燃えていた。そして──
「野郎共! 俺達の恐ろしさを人間共に思い知らせてやれ! 反逆だ────────!!!!!!」
「「「「「おおおおおおおおおおおお!」」」」」
無機物の反乱だ──────!!!!!???
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