皆様、頭をヒヤシンス

夢草 蝶

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皆様、頭をヒヤシンス

恋すると書いて、乱心と読む

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 私は脇役的な伯爵令嬢。まぁ、取り巻きCとでも名乗っておきましょうか。

 名前通りに、取り巻きをやっています。

 私が取り巻きをしているのは、王子の婚約者で公爵令嬢であらせられるエリザベス様。
 極太つよつよ金髪縦ロールに、少しつり上がった瞳の豪奢ないい香りのする美女です。

 今日も今日とてルーティンのようにエリザベス様のお側に侍っていたのですが、そこにエリザベス様のご婚約者──ギルベルト王子がやって来て、風向きが変わりました。

「まぁ、王子。どうかされましたか?」

「エリー、話がある」

 王子は神妙な面持ちで、席を外した方がいいような雰囲気です。
 けれど、特に離れるよう促された訳でもないので、好奇心の赴くまま先を見守ることにしました。

「何のお話でしょう?」

「婚約を解消したい」

 おおっと!? いきなりのとんでも発言。
 え? 王子と公爵令嬢の婚約って解消出来るものなの教えて詳しい人。

「それは何故?」

 流石エリザベス様。動じずにすぐに理由を尋ねられました。威厳! 公爵令嬢の威厳が放たれております。

「愛するものが出来たんだ!」

 重ねて爆弾発言! うそ! エリザベス様がいる王子のハートを射抜くなんて、どんな絶世の美女ですか!? 見てみたい!

「・・・・・・」

 これには流石のエリザベスもすぐに返す言葉が出ない模様! 一体、どう切り返すおつもりでしょうか?

「──そうですか。分かりました。では、その方にお会いさせて下さい。直接お話したく思います」

 真っ向勝負に出た────!!!
 強い! 強いですぞ! 流石エリザベス様!
 どこの誰かは知らないけれど、この鬼強令嬢エリザベス様に勝てるのか──!?

「ああ、実は連れてきているんだ」

 いるの!? えっ、この場でご対面させていいの? 部外者取り巻きいるけど!?

「アルバート、連れてきてくれ」

 おお・・・・・・王子付きの騎士を付けているなんて、本当に惚れているんですねぇ。
 扉が開き、アルバート様が入ってくる。そう、手にヒヤシンスの咲いたボトルを携えて──え? ヒヤシンス?

「紹介する。この花が私の愛するヒヤシンスだ」

 いや、真剣な顔で何言ってるんだこの王子!?
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