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第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」
一途な恋、均一な愛
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そもそも、ぶっちゃけ卒業パーティーの仕切り直しをしようと提案したのは、私自身がやりたかったというのが第一の理由だけど、パーティー準備でてんてこ舞いにして色々有耶無耶にしようという打算もあった。
けど、そんな必要はなかったのかもしれない。
想像してたよりも、マリス嬢もリンス嬢も冷静だったから。
多分、互いが転生者と知って、自分以外のイレギュラーの存在を認識して、ゲームでの知識があってもその時点で全てが思い通りにはいかないと察したんだと思う。
色々ありすぎて、本当にてんわやんわだったから、想定していた以上に有耶無耶になったけど。
つまり、なんやかんや、あのキャットファイト以降、この三人だけで話す機会はなかった。
そんな三人が一同に会する。
なので、私は一人になった。まぁ、私が二人の背中を押したので、今更あの場に突っ込んでいく訳にもいかない。
私は黙って三人を見つめる。
「ギーシャ王子、横から失礼します。少々よろしいですか?」
ひょいっと、渦巻きマークを二つくっつけた真っ赤な林檎を脇に寄せたリンス嬢がギーシャに訊ねた。
赤林檎はダメージが抜けきっていないのか、「きゅ~」と可愛らしい音を上げてされるがままにふらふらしている。
「構わない。が、マリスは平気だろうか?」
「その内自然回復しますので、ほっといても問題ありません。むしろ、パワーアップしてるかもしれません」
ぐらぐら湯だって今にも倒れそうなマリス嬢の頭をバスケットボールでも持つように掴んで、リンス嬢が固定する。一応転ばないようにという気配りなんだろうけど、扱いが雑い。
「そう、なのか。どうした?」
「いえ。始まる前にギーシャ王子と少しお話がしたくて。ご迷惑でしょうか?」
「そんなことはない。むしろ、俺の方こそ、リンスには迷惑をかけている」
「迷惑・・・・・・なことはありません。あの、ギーシャ王子。お話の前に、一つだけお答え頂いてもよろしいでしょうか?」
「俺が答えられる範囲であれば、何でも訊いてくれて構わないが」
リンス嬢がきゅっと唇を結んだ。瞳が僅かに揺れ、一瞬肩が強張った。
──リンス嬢?
どうしてしまったのだろう?
この時、私はもっと考慮すべきだったかもしれない。
如何せん、準備期間中にリンス嬢の怪力やら、戦いっぷりやら、負けず嫌いな面やらの強い部分ばかりが見えていたから。
よくよく考えて見れば、私はマリス嬢よりもリンス嬢の恋する乙女の側面を
知らない。
忘れていた。いや、分かっていたのに、知らぬ内にスルーしてしまった。あの場で、リンス嬢はマリス嬢を平手打ちしたり、ぶん投げたりしたから、そっちのインパクトばかりが残ってたけど。
そうなるに至ったのには、そもそものギーシャの発言があったから。
であれば。納得のいく理由が欲しいと思うのが人間というものではないだろうか。
「此度、ギーシャ王子が私との婚約を破棄するという考えに至った理由をお教えいただけますか? 私の何が至らなかったのかを」
・・・・・・え、これ不味くない?
ギーシャを除いてただ一人。その理由を知っている私の背筋が凍った。
だって、リンス嬢に至らなかった点なんてない。
元より、ギーシャが求めているのは、たった一つしかない特別じゃない。自分一人だけでなく、その他大勢に平等に与えられる愛なのだから。
けど、そんな必要はなかったのかもしれない。
想像してたよりも、マリス嬢もリンス嬢も冷静だったから。
多分、互いが転生者と知って、自分以外のイレギュラーの存在を認識して、ゲームでの知識があってもその時点で全てが思い通りにはいかないと察したんだと思う。
色々ありすぎて、本当にてんわやんわだったから、想定していた以上に有耶無耶になったけど。
つまり、なんやかんや、あのキャットファイト以降、この三人だけで話す機会はなかった。
そんな三人が一同に会する。
なので、私は一人になった。まぁ、私が二人の背中を押したので、今更あの場に突っ込んでいく訳にもいかない。
私は黙って三人を見つめる。
「ギーシャ王子、横から失礼します。少々よろしいですか?」
ひょいっと、渦巻きマークを二つくっつけた真っ赤な林檎を脇に寄せたリンス嬢がギーシャに訊ねた。
赤林檎はダメージが抜けきっていないのか、「きゅ~」と可愛らしい音を上げてされるがままにふらふらしている。
「構わない。が、マリスは平気だろうか?」
「その内自然回復しますので、ほっといても問題ありません。むしろ、パワーアップしてるかもしれません」
ぐらぐら湯だって今にも倒れそうなマリス嬢の頭をバスケットボールでも持つように掴んで、リンス嬢が固定する。一応転ばないようにという気配りなんだろうけど、扱いが雑い。
「そう、なのか。どうした?」
「いえ。始まる前にギーシャ王子と少しお話がしたくて。ご迷惑でしょうか?」
「そんなことはない。むしろ、俺の方こそ、リンスには迷惑をかけている」
「迷惑・・・・・・なことはありません。あの、ギーシャ王子。お話の前に、一つだけお答え頂いてもよろしいでしょうか?」
「俺が答えられる範囲であれば、何でも訊いてくれて構わないが」
リンス嬢がきゅっと唇を結んだ。瞳が僅かに揺れ、一瞬肩が強張った。
──リンス嬢?
どうしてしまったのだろう?
この時、私はもっと考慮すべきだったかもしれない。
如何せん、準備期間中にリンス嬢の怪力やら、戦いっぷりやら、負けず嫌いな面やらの強い部分ばかりが見えていたから。
よくよく考えて見れば、私はマリス嬢よりもリンス嬢の恋する乙女の側面を
知らない。
忘れていた。いや、分かっていたのに、知らぬ内にスルーしてしまった。あの場で、リンス嬢はマリス嬢を平手打ちしたり、ぶん投げたりしたから、そっちのインパクトばかりが残ってたけど。
そうなるに至ったのには、そもそものギーシャの発言があったから。
であれば。納得のいく理由が欲しいと思うのが人間というものではないだろうか。
「此度、ギーシャ王子が私との婚約を破棄するという考えに至った理由をお教えいただけますか? 私の何が至らなかったのかを」
・・・・・・え、これ不味くない?
ギーシャを除いてただ一人。その理由を知っている私の背筋が凍った。
だって、リンス嬢に至らなかった点なんてない。
元より、ギーシャが求めているのは、たった一つしかない特別じゃない。自分一人だけでなく、その他大勢に平等に与えられる愛なのだから。
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