135 / 183
第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」
ミソスープと魔法道具持って
しおりを挟む
ところ戻って猫の爪。
「よし、これで問題ないな。終わったぞ」
エリックさんが手にしていたスパナを置いて、魔法道具を見せてくる。
「おお!」
私はお玉を置いて、魔法道具に近づいた。
「おお!」
更に、修理の終わった魔法道具を掲げて、外れた部分がくっついたのを確認する。
「おおー!」
感嘆の声を上げて、私は魔法道具を抱えたままその場でくるくると回ってしまった。
「すごいすごい! 完璧に元通りです。エリックさん天才!」
「当然だ」
「わー、エリックの鼻が木の枝みたいに伸びそう」
胸を反らしているエリックさんにロイドさんがのんびり笑いながら言う。
何はともあれ、治って良かった。
「ありがとうございます」
私はエリックさんにお辞儀をしてから、猫の爪の人たちにも頭を下げた。
「いえいえ。こちらとしてもいいデータが取れたので」
「次は聖光石を溶かさない方法とか考えたいな。つっても、闇魔法の使い手がいないと無理か。ロイドー、生捕り出来る?」
「いけ・・・・・・っ!?」
なかなかに物騒な物言いをするエリックさんにびっくりしてしまった。
隣ではコクさんがぴくりと反応を示している。
「あはは。ちゃんと同意の上で協力してもらってますよ。エリックは言い回しが物騒でいけない」
ぽんぽんとエリックさんの頭を叩くように撫でながら、ロイドさんは困り顔で首を横に振った。
「でも、闇魔法の影響を受けないっていうのはいいアイデアかも。防犯グッズとかに応用出来そうだし」
「その話、詳しくよろしいですか?」
防犯グッズの辺りから、コクさんが何やらうずうずし出して、二人の会話に入っていった。警邏隊の人だからかそういう話題は気になるようだ。
「あ、じゃあ私はそろそろ戻りますね」
「っ! なら付き添います」
「え! でも、お話──」
コクさんの申し出に私はちらりとロイドさんを窺った。
「話なら後日でも出来ます。また訪ねてもいいですか?」
「勿論、猫の爪はどんな方でもいつでも大歓迎てすよ」
「ということです」
「はぁ」
圧が強い。
ここで断るともっと時間を食いそうだから、私はコクさんに付き添って貰うことにした。
「お前たちは屯所に戻っていろ」
「「はい」」
コクさんが部下の人たちに指示を出していると、ロイドさんが筒状のものを私に差し出してきた。
「水筒?」
「はい。さっきのミソスープです。ミリア嬢には作るのを手伝っていただいたので」
「あ、ありがとうございます」
「こっちはコク殿に」
「はい。ミソスープ、楽しみです。悪いが、これも一緒に持ち帰ってくれ」
嵩張るからか、コクさんは水筒を部下の人に渡した。
「では、行きましょう」
「はい。あの、リリーちゃんによろしくお伝え下さい」
「ええ」
「──?」
「どうかしましたか?」
頷いたアリスさんの後ろ。
廊下に続く出入口に何か白いものが見えた。
「何か、白いものがひらひらって」
「ああ。蝶か何かでしょう。窓を開けっ放しにしてましたから」
「もう春ですもんね~」
お姉様の薔薇園にも何匹かいたし、そういうこともあるだろう。白なら紋白蝶かな?
「じゃ、失礼します」
「はい」
魔法道具はコクさんが持ってくれたので、私は水筒だけ持って猫の爪を後にした。
さて、と。シーエンス家はどうなってるかな?
「よし、これで問題ないな。終わったぞ」
エリックさんが手にしていたスパナを置いて、魔法道具を見せてくる。
「おお!」
私はお玉を置いて、魔法道具に近づいた。
「おお!」
更に、修理の終わった魔法道具を掲げて、外れた部分がくっついたのを確認する。
「おおー!」
感嘆の声を上げて、私は魔法道具を抱えたままその場でくるくると回ってしまった。
「すごいすごい! 完璧に元通りです。エリックさん天才!」
「当然だ」
「わー、エリックの鼻が木の枝みたいに伸びそう」
胸を反らしているエリックさんにロイドさんがのんびり笑いながら言う。
何はともあれ、治って良かった。
「ありがとうございます」
私はエリックさんにお辞儀をしてから、猫の爪の人たちにも頭を下げた。
「いえいえ。こちらとしてもいいデータが取れたので」
「次は聖光石を溶かさない方法とか考えたいな。つっても、闇魔法の使い手がいないと無理か。ロイドー、生捕り出来る?」
「いけ・・・・・・っ!?」
なかなかに物騒な物言いをするエリックさんにびっくりしてしまった。
隣ではコクさんがぴくりと反応を示している。
「あはは。ちゃんと同意の上で協力してもらってますよ。エリックは言い回しが物騒でいけない」
ぽんぽんとエリックさんの頭を叩くように撫でながら、ロイドさんは困り顔で首を横に振った。
「でも、闇魔法の影響を受けないっていうのはいいアイデアかも。防犯グッズとかに応用出来そうだし」
「その話、詳しくよろしいですか?」
防犯グッズの辺りから、コクさんが何やらうずうずし出して、二人の会話に入っていった。警邏隊の人だからかそういう話題は気になるようだ。
「あ、じゃあ私はそろそろ戻りますね」
「っ! なら付き添います」
「え! でも、お話──」
コクさんの申し出に私はちらりとロイドさんを窺った。
「話なら後日でも出来ます。また訪ねてもいいですか?」
「勿論、猫の爪はどんな方でもいつでも大歓迎てすよ」
「ということです」
「はぁ」
圧が強い。
ここで断るともっと時間を食いそうだから、私はコクさんに付き添って貰うことにした。
「お前たちは屯所に戻っていろ」
「「はい」」
コクさんが部下の人たちに指示を出していると、ロイドさんが筒状のものを私に差し出してきた。
「水筒?」
「はい。さっきのミソスープです。ミリア嬢には作るのを手伝っていただいたので」
「あ、ありがとうございます」
「こっちはコク殿に」
「はい。ミソスープ、楽しみです。悪いが、これも一緒に持ち帰ってくれ」
嵩張るからか、コクさんは水筒を部下の人に渡した。
「では、行きましょう」
「はい。あの、リリーちゃんによろしくお伝え下さい」
「ええ」
「──?」
「どうかしましたか?」
頷いたアリスさんの後ろ。
廊下に続く出入口に何か白いものが見えた。
「何か、白いものがひらひらって」
「ああ。蝶か何かでしょう。窓を開けっ放しにしてましたから」
「もう春ですもんね~」
お姉様の薔薇園にも何匹かいたし、そういうこともあるだろう。白なら紋白蝶かな?
「じゃ、失礼します」
「はい」
魔法道具はコクさんが持ってくれたので、私は水筒だけ持って猫の爪を後にした。
さて、と。シーエンス家はどうなってるかな?
0
お気に入りに追加
3,268
あなたにおすすめの小説
恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜
k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」
そう婚約者のグレイに言われたエミリア。
はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。
「恋より友情よね!」
そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。
本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。
婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが
マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって?
まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ?
※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。
※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
七年間の婚約は今日で終わりを迎えます
hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。
目が覚めたら夫と子供がいました
青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。
1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。
「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」
「…あなた誰?」
16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。
シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。
そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。
なろう様でも同時掲載しています。
【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております
私の婚約者は6人目の攻略対象者でした
みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
王立学園の入学式。主人公のクラウディアは婚約者と共に講堂に向かっていた。
すると「きゃあ!」と、私達の行く手を阻むように、髪色がピンクの女生徒が転けた。『バターン』って効果音が聞こえてきそうな見事な転け方で。
そういえば前世、異世界を舞台にした物語のヒロインはピンク色が定番だった。
確か…入学式の日に学園で迷って攻略対象者に助けられたり、攻略対象者とぶつかって転けてしまったところを手を貸してもらったり…っていうのが定番の出会いイベントよね。
って……えっ!? ここってもしかして乙女ゲームの世界なの!?
ヒロイン登場に驚きつつも、婚約者と共に無意識に攻略対象者のフラグを折っていたクラウディア。
そんなクラウディアが幸せになる話。
※本編完結済※番外編更新中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる