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第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」
思い出したのは・・・・・・
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「修羅場って・・・・・・?」
「まぁ、言ってしまえば三角関係なんだけど」
「わ~、嫌な予感がする~」
「笑みが乾いているわよ、ミリア」
三角関係の修羅場なんて嫌な予感しかしない。
ギーシャたちの場合は、色々不注意とか、カッとなっちゃったりとかあったけど、一晩経てマリス嬢とリンス嬢がクールダウンしてくれて話せたから割りとスムーズに進んだけど、こっちはどうだろう?
というか、その三角関係の当事者って?
「絶対面倒くさそうだから訊きたくないけど、訊かなかったらパーティーで面倒起きそうだから訊くね。誰?」
「ラフィン伯爵」
「ラフィン? って、あのラフィン?」
「ええ」
クロエが頷く。
「待って待って。ラフィン伯爵って──さっき同級生って言ってなかった?」
ラフィン伯爵というのは知っている。
フレイズ学園の経営にも関わっている家で、現当主のラフィン伯爵は理事会の役員を務めている。かなりの若作りで、学内にいると新任の先生から学生と間違えられる人だけど、立派な大人。確か、そろそろ三十歳だった筈──ラフィン家には今、学生の年頃の人はいなかったし。どういうことだろ?
「言ったわ。つまりね、ラフィン伯爵と女生徒二名の三角関係の末の修羅場なの」
「ええ────!!」
「ミリア、落ち着いて」
びっくりし過ぎて叫んでしまった。
目を白黒させている私をクロエが宥めてくれる。
「え? え? そりゃ、あの人外見十代だけど、立派な大人よ? しかも、理事会役員! それが女生徒とって──完全にスキャンダルじゃない!」
何がどうしてそうなったの!?
「あ、いや婚約者とか? 貴族なら年の離れた婚約者なんてよくあるし──や、でも三角関係なのよね? 女生徒って誰!?」
「キャンリーチさんとクジカラさん。それから、ラフィン伯爵は今のところ独身で婚約者もいないわ」
グミ・キャンリーチ嬢とネノ・クジカラ嬢か。
グミ嬢は一年の時にクラスメイトだったから面識はあるけど、クジカラ嬢のことはほとんど知らないや。社交会とかで軽く挨拶とかはするけど。
二人とも、タイプは違うけど、貴族令嬢としては模範生って感じの子たちだったと記憶している。そんな二人とラフィン伯爵が?
「二人とも、学園関係者と付き合うタイプには見えなかったけど。それに、ラフィン伯爵ってそんな真似する人だった?」
「私も人から訊いた話なんだけど、ラフィン伯爵家の前でその二人が激しい言い争いをしていたそうよ。それを伯爵が必死に宥めてたって。流石に殴り合いはしなかったみたいだけど」
「そりゃ、女の子は基本殴り合いはしないでしょ」
あの二人は少し特殊だからね。
でも、ラフィン伯爵が──ん? ラフィン伯爵?
「ねぇ、クロエ。今は三月よね?」
「何当たり前のこと言ってるの。卒業式を終えて、今は三月の春休み。私たちは中等部卒業したから宿題もないし、大いに羽を伸ばせるわね」
「中等部卒業の・・・・・・三月の春休み・・・・・・あ、あぁあ────!!!」
「ミリア、何度も大声上げると喉痛めるわよ。はい、飴あげる」
クロエが可愛らしい包み紙のキャンディをくれた。
「わぁ、いちご味。ありがとう──って、喜んでる場合じゃない! あれだ! あれだ!」
私はぶんぶん首を振って辺りを見渡した。いないいない! あ!
「いた──! リンス嬢!」
「わっ、びっくりした。何です?」
偶然、別室から出てきたリンス嬢を見つけ、私は駆け寄ってリンス嬢を捕まえた。
「ヤバいんですよ! このままだとあの地獄が! そうだ、マリス嬢も!」
「は? 何の話──」
「クロエ! これ、ありがとう! 今度お礼するから何がいいか考えといて! 急用を思い出したから、悪いけど戻るね!」
「ええ。お役に立ててよかったわ。さっきの話、一応気をつけてね。それじゃあ」
「うん、ばいばーい。また明日ね」
クロエに別れを告げると、私はリンス嬢の手を引いて大広間に戻り、そこを突っ切ってマリス嬢のいる小部屋に向かった。
「マリス嬢!」
「っ!? 何よ、急に」
花瓶に花を生けていたマリス嬢が振り返る。手にはお姉様の薔薇を持っていたけど、花の話に花を咲かせてる場合でもなかった。
何故なら、私たちは今、文字通り地獄の一町目に入るかどうかという選択肢を突きつけられているんだから。そして、これはギーシャには相談できないこと。だから私はマリス嬢とリンス嬢に向かって言い放った。
「エマージェンシー! 緊急転生者会議を行います!」
「まぁ、言ってしまえば三角関係なんだけど」
「わ~、嫌な予感がする~」
「笑みが乾いているわよ、ミリア」
三角関係の修羅場なんて嫌な予感しかしない。
ギーシャたちの場合は、色々不注意とか、カッとなっちゃったりとかあったけど、一晩経てマリス嬢とリンス嬢がクールダウンしてくれて話せたから割りとスムーズに進んだけど、こっちはどうだろう?
というか、その三角関係の当事者って?
「絶対面倒くさそうだから訊きたくないけど、訊かなかったらパーティーで面倒起きそうだから訊くね。誰?」
「ラフィン伯爵」
「ラフィン? って、あのラフィン?」
「ええ」
クロエが頷く。
「待って待って。ラフィン伯爵って──さっき同級生って言ってなかった?」
ラフィン伯爵というのは知っている。
フレイズ学園の経営にも関わっている家で、現当主のラフィン伯爵は理事会の役員を務めている。かなりの若作りで、学内にいると新任の先生から学生と間違えられる人だけど、立派な大人。確か、そろそろ三十歳だった筈──ラフィン家には今、学生の年頃の人はいなかったし。どういうことだろ?
「言ったわ。つまりね、ラフィン伯爵と女生徒二名の三角関係の末の修羅場なの」
「ええ────!!」
「ミリア、落ち着いて」
びっくりし過ぎて叫んでしまった。
目を白黒させている私をクロエが宥めてくれる。
「え? え? そりゃ、あの人外見十代だけど、立派な大人よ? しかも、理事会役員! それが女生徒とって──完全にスキャンダルじゃない!」
何がどうしてそうなったの!?
「あ、いや婚約者とか? 貴族なら年の離れた婚約者なんてよくあるし──や、でも三角関係なのよね? 女生徒って誰!?」
「キャンリーチさんとクジカラさん。それから、ラフィン伯爵は今のところ独身で婚約者もいないわ」
グミ・キャンリーチ嬢とネノ・クジカラ嬢か。
グミ嬢は一年の時にクラスメイトだったから面識はあるけど、クジカラ嬢のことはほとんど知らないや。社交会とかで軽く挨拶とかはするけど。
二人とも、タイプは違うけど、貴族令嬢としては模範生って感じの子たちだったと記憶している。そんな二人とラフィン伯爵が?
「二人とも、学園関係者と付き合うタイプには見えなかったけど。それに、ラフィン伯爵ってそんな真似する人だった?」
「私も人から訊いた話なんだけど、ラフィン伯爵家の前でその二人が激しい言い争いをしていたそうよ。それを伯爵が必死に宥めてたって。流石に殴り合いはしなかったみたいだけど」
「そりゃ、女の子は基本殴り合いはしないでしょ」
あの二人は少し特殊だからね。
でも、ラフィン伯爵が──ん? ラフィン伯爵?
「ねぇ、クロエ。今は三月よね?」
「何当たり前のこと言ってるの。卒業式を終えて、今は三月の春休み。私たちは中等部卒業したから宿題もないし、大いに羽を伸ばせるわね」
「中等部卒業の・・・・・・三月の春休み・・・・・・あ、あぁあ────!!!」
「ミリア、何度も大声上げると喉痛めるわよ。はい、飴あげる」
クロエが可愛らしい包み紙のキャンディをくれた。
「わぁ、いちご味。ありがとう──って、喜んでる場合じゃない! あれだ! あれだ!」
私はぶんぶん首を振って辺りを見渡した。いないいない! あ!
「いた──! リンス嬢!」
「わっ、びっくりした。何です?」
偶然、別室から出てきたリンス嬢を見つけ、私は駆け寄ってリンス嬢を捕まえた。
「ヤバいんですよ! このままだとあの地獄が! そうだ、マリス嬢も!」
「は? 何の話──」
「クロエ! これ、ありがとう! 今度お礼するから何がいいか考えといて! 急用を思い出したから、悪いけど戻るね!」
「ええ。お役に立ててよかったわ。さっきの話、一応気をつけてね。それじゃあ」
「うん、ばいばーい。また明日ね」
クロエに別れを告げると、私はリンス嬢の手を引いて大広間に戻り、そこを突っ切ってマリス嬢のいる小部屋に向かった。
「マリス嬢!」
「っ!? 何よ、急に」
花瓶に花を生けていたマリス嬢が振り返る。手にはお姉様の薔薇を持っていたけど、花の話に花を咲かせてる場合でもなかった。
何故なら、私たちは今、文字通り地獄の一町目に入るかどうかという選択肢を突きつけられているんだから。そして、これはギーシャには相談できないこと。だから私はマリス嬢とリンス嬢に向かって言い放った。
「エマージェンシー! 緊急転生者会議を行います!」
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