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第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」

反省のための問題点

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「マリス嬢、本当は初等学校の卒業パーティー楽しかったんじゃないんですか?」
「は?」

 きょとりとした顔でこちらを向き、手を止めるマリス嬢。

「さっきのミカさんがしていた話です。「楽しくなかった?」って訊かれた時に黙り込んだでしょう? 本当は図星だったんじゃないんですか?」
「・・・・・・」
「沈黙は肯定と捉えますよ?」
「勝手にすれば」

 そっけなくそう言うと、マリス嬢は視線を手元に戻した。
 私もギーシャたちが運んできてくれた箱を開け、中身を取り出す。

「少し話しますね。別に聞き流してくれても構いません。もし、マリス嬢が初等学校での卒業パーティーを楽しいと感じていたのなら、今回してしまったことについてもうちょっと考えてみてください。勿論、軽はずみな真似をしたギーシャにも、力に訴えたリンス嬢にも非はあります。ですが、今回の件は貴女が仕向けた節はありますよね? 正直、私は怪我の件は気にしてませんが、卒業パーティーについては根に持ってます。だから、罰と称してパーティーのやり直しを依頼したんです。貴女の前世にも、ギーシャに対する執着も詮索する気はありません。ですが、私としてはマリス嬢たちもパーティー参加者でもありますから、反省した上で卒業という数少ない経験を楽しんで頂きたいとも思ってます」

 責めるつもりは毛頭ないが、出来れば考えて貰いたいというのが私の正直な気持ちだ。
 今回の件は騒動を起こした側の面子が相応の地位にいるから、形式だけでも謝罪すればそれでおしまいだろう。ある意味、今回の件で厄介だったのは王様のことのみだし。
 パーティーには後々尾を引かないために謝罪の場を設けるという目的もある。けれど、生徒たちだって馬鹿じゃない。心の籠ってない謝罪なら、形式ばかりと気づくだろう。それでは新学期の奉仕活動部の活動にも支障を来す。出来れば、マリス嬢たちにはちゃんと考えて反省して貰いたい。とはいえ、言われてした反省にあまり意味はないだろうから、後は本人たちに任せる他ないけど。シーエンス家に行ったら、リンス嬢とも話そう。
 問題はギーシャか。ある意味、一番の難関かもなぁ。
 他人にどうでもいいと思われていると思い込んでいるギーシャが今回の件でどれ程の注目を集めてしまったのか理解しているとは考えにくい。私に対する負い目はあるっぽいけど、他のパーティー参加者に対してはどうだろ? 話せば理解はしてもらえるだろうけど、言い方を間違えれば他人にどうでもいいと思われていることで心の平穏を保っているギーシャがどうなるか分からない。ひょっとしたら、また殻に閉じ籠ってしまうかも。

「ねぇ」

 すっかりギーシャのことで頭がいっぱいになってしまった私の耳にマリス嬢の声が届いた。
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