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第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」
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「じゃあ、俺はこれ直すから下に戻るぞ」
「はいは~い」
エリックさんはそう言って、店内の奥の扉を開けて姿を消した。
「下?」
「この店には地下室があって、魔法道具の製造は地下でやってるんですよ」
「そうなんですか」
閉まる際に扉の奥に地下への階段が見えた。
「では、今度はこちらから。こちらにサインをお願いします」
「え? あ、レンタルの契約書ですね。ギーシャ」
「ああ」
ギルハード様が魔力測定を行ってくれたおかげで例の魔法道具を借りられることになったから、そのための契約書をロイドさんに手渡される。
私はそれを受け取り、ギーシャにサインを頼んだ。
ギーシャはいつも仕事でしているのだろう。慣れた動作でさらりとサインをし、用紙をロイドさんに返した。
「確かに。では、運びやすいよう包装するので、しばらくお待ちください」
ロイドさんは契約書をひらひらさせてから魔法道具を抱えて、カウンターの中に入った。
「・・・・・・」
「ギーシャ?」
ギーシャが自分の髪の毛先を摘まみあげ、くるりと指に巻いたり、こよりを作るみたいに捏ね出したので、声をかけた。
「どうしたの?」
「・・・・・いや、同じだと思って」
「同じ?」
「殿下とロイド殿の髪の色のことですね」
「ああ」
ギーシャの足りない言葉にギルハード様が付け足して、私は頷いた。
ギーシャとカウンター内でごそごそやっているロイドさんの頭を交互に見比べる。二人とも似た色合いの銀髪をしている。
「何か気になるの? 別に銀髪自体はそんな珍しくないでしょ」
銀髪紫眼はエーデルグラン帝国の王家独特の色だけど、帝国民はほとんどが銀髪だし、帝国以外にも銀髪の人間は多くいる。そんなに気にすることでもないと思うんだけど。
「・・・・・・そうだな。少し気になっただけだ」
ギーシャは何でもないと言ったように笑った。
「お待たせしましたー!」
ロイドさんが何故かおっきな紫のリボンをかけた袋を掲げ上げる。何故、プレゼント仕様。
「はい、どうぞ! あ、これ領収書です!」
「ありがとうございます。わっ! 重っ!」
「ミリア、俺が持つ」
「うん、お願い。ありがとね」
危うく手が床と魔法道具にプレスされかかったけど、その前にギーシャが代わってくれたから助かった。
「殿下、大丈夫ですか?」
「少し重いが、問題ない。魔法道具だから俺が持った方がいいだろう」
「はい」
主君に重たいものを持たせるのは忍びないが、体質上魔法道具に影響がないとも限らないのでギルハード様はしゅんとしてしまった。
「返却はいつがいいでしょうか? 明後日使用するのですが・・・・・・」
「レンタルは一週間になるので、期限内ならいつでも構いませんよ。あ、宣伝よろしくお願いします。これは宣伝用のチラシと簡要カタログです!」
「ふぉお!」
今度は山ほどのチラシと薄いカタログを手渡され、危うくプレスの危機再びだった。
「ミリア嬢、それは私が持ちます」
「あ、ありがとうございます」
ギルハード様は紙の山を受け取ると、とても生き生きした顔で笑った。わー、嬉しそう。
「ロイドさん、今回はありがとうございます」
私は改めてロイドさんにお礼を言った。
「いえいえ、今後とも猫の爪をご贔屓に」
「はい」
私は頷くと、ギーシャとギルハード様と一緒に猫の爪を出た。
「・・・・・・?」
扉を潜ろうとした時、ギルハード様が一瞬固まった。
「ギルハード?」
ギーシャがギルハード様を呼ぶ。
「今、髪を引っ張られたような・・・・・・気のせいですね」
後ろを振り向いて、何もないことを確認したギルハード様は小首を傾げた。
何かに引っ掛かったわけでもないだろうし、ギルハード様の言う通り気のせいだろう。
「では、お邪魔しました!」
私は特に気に止めず、出入口で会釈をした。
その間もロイドさんはにこやかな笑顔を浮かべ、手を振っていた。
「はいは~い」
エリックさんはそう言って、店内の奥の扉を開けて姿を消した。
「下?」
「この店には地下室があって、魔法道具の製造は地下でやってるんですよ」
「そうなんですか」
閉まる際に扉の奥に地下への階段が見えた。
「では、今度はこちらから。こちらにサインをお願いします」
「え? あ、レンタルの契約書ですね。ギーシャ」
「ああ」
ギルハード様が魔力測定を行ってくれたおかげで例の魔法道具を借りられることになったから、そのための契約書をロイドさんに手渡される。
私はそれを受け取り、ギーシャにサインを頼んだ。
ギーシャはいつも仕事でしているのだろう。慣れた動作でさらりとサインをし、用紙をロイドさんに返した。
「確かに。では、運びやすいよう包装するので、しばらくお待ちください」
ロイドさんは契約書をひらひらさせてから魔法道具を抱えて、カウンターの中に入った。
「・・・・・・」
「ギーシャ?」
ギーシャが自分の髪の毛先を摘まみあげ、くるりと指に巻いたり、こよりを作るみたいに捏ね出したので、声をかけた。
「どうしたの?」
「・・・・・いや、同じだと思って」
「同じ?」
「殿下とロイド殿の髪の色のことですね」
「ああ」
ギーシャの足りない言葉にギルハード様が付け足して、私は頷いた。
ギーシャとカウンター内でごそごそやっているロイドさんの頭を交互に見比べる。二人とも似た色合いの銀髪をしている。
「何か気になるの? 別に銀髪自体はそんな珍しくないでしょ」
銀髪紫眼はエーデルグラン帝国の王家独特の色だけど、帝国民はほとんどが銀髪だし、帝国以外にも銀髪の人間は多くいる。そんなに気にすることでもないと思うんだけど。
「・・・・・・そうだな。少し気になっただけだ」
ギーシャは何でもないと言ったように笑った。
「お待たせしましたー!」
ロイドさんが何故かおっきな紫のリボンをかけた袋を掲げ上げる。何故、プレゼント仕様。
「はい、どうぞ! あ、これ領収書です!」
「ありがとうございます。わっ! 重っ!」
「ミリア、俺が持つ」
「うん、お願い。ありがとね」
危うく手が床と魔法道具にプレスされかかったけど、その前にギーシャが代わってくれたから助かった。
「殿下、大丈夫ですか?」
「少し重いが、問題ない。魔法道具だから俺が持った方がいいだろう」
「はい」
主君に重たいものを持たせるのは忍びないが、体質上魔法道具に影響がないとも限らないのでギルハード様はしゅんとしてしまった。
「返却はいつがいいでしょうか? 明後日使用するのですが・・・・・・」
「レンタルは一週間になるので、期限内ならいつでも構いませんよ。あ、宣伝よろしくお願いします。これは宣伝用のチラシと簡要カタログです!」
「ふぉお!」
今度は山ほどのチラシと薄いカタログを手渡され、危うくプレスの危機再びだった。
「ミリア嬢、それは私が持ちます」
「あ、ありがとうございます」
ギルハード様は紙の山を受け取ると、とても生き生きした顔で笑った。わー、嬉しそう。
「ロイドさん、今回はありがとうございます」
私は改めてロイドさんにお礼を言った。
「いえいえ、今後とも猫の爪をご贔屓に」
「はい」
私は頷くと、ギーシャとギルハード様と一緒に猫の爪を出た。
「・・・・・・?」
扉を潜ろうとした時、ギルハード様が一瞬固まった。
「ギルハード?」
ギーシャがギルハード様を呼ぶ。
「今、髪を引っ張られたような・・・・・・気のせいですね」
後ろを振り向いて、何もないことを確認したギルハード様は小首を傾げた。
何かに引っ掛かったわけでもないだろうし、ギルハード様の言う通り気のせいだろう。
「では、お邪魔しました!」
私は特に気に止めず、出入口で会釈をした。
その間もロイドさんはにこやかな笑顔を浮かべ、手を振っていた。
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