上 下
31 / 183
第一章 公爵令嬢曰く、「好奇心は台風の目に他ならない」

ミリアの意外な処罰

しおりを挟む
 ギーシャと仲直り(?)をした次の日。
 私、ギーシャ、マリス嬢、リンス嬢の四人は第二談話室に集まっていた。

「皆様、お待たせ致しました」
「ミリア、おはよう」
「おはよう、ギーシャ」

 一番最後に到着した私が部屋に入ると、ギーシャが挨拶をくれたので、それに返した。
 リンス嬢はなんだか不機嫌そうで、マリス嬢はソファに座っているギーシャの隣を陣取っている。

「リンス嬢? どうかされましたか?」
「別に」

 そう言ってそっぽを向かれてしまった。
 私がハテナマークを浮かべていると、代わりにマリス嬢が教えてくれた。

「ギーシャ王子との婚約が保留になったから拗ねてるんでしょ」

 マリス嬢はよっぽど二人の婚約保留が嬉しいのか、ふふんと上機嫌だ。

「ああ、そういえばそうでしたね。一から行儀作法を勉強されることになったと窺いました」
「ええ。今回の件でお母様がガチギレしてて、昨夜は一晩中家族会義という名のお説教を食らったわ」

 それで目の下に隈が出来ているのか。
 心なしか疲れているように見える。
 でも、パーティー会場で掴み合いした挙げ句、見事な巴投げをかましてガッツポーズを決めれば、公爵令嬢を巻き込んでなくても、貴族令嬢なら親に叱られるわな。
 うんうんと納得していると、意気揚々とマリス嬢がリンス嬢に話しかける。

「あんな野蛮な真似するからよ。いい気味だわ」

 その一言にかちんときたのか、リンス嬢は鬼の形相でマリス嬢を睨んだ。

「なんですって?」
「何よ」

 二人の視線の間にバチバチと電気が走っているのが見えるようだ。
 ギーシャは相変わらず、二人の行動がよくわかってないようで不思議そうに二人を眺めている。

「まぁまぁ、二人共落ち着いてくださいな」

 間に立って二人を諫める。やれやれ、相変わらず一触即発だなー。

「ギーシャとリンス嬢の婚約保留の話は追々しましょう。まずは処罰についてです」

 そう言うと、マリス嬢とリンス嬢に僅かに緊張が走った。

「此度の一件の処罰を決定したので、この場にて決定を言い渡します」

 やはり、二人は少しおっかなびっくりしていて、ギーシャも真面目な表情をしている。
 一昨日、マリス嬢の下敷きになって、昨日色々やって、この二日がとても長いもののように感じられた。
 正直、惨々な目にあったけど、悪いことばかりでもなかった。ちらりとギーシャを見てから、少し微笑んで、私は三人にびしっ指を差して言った。

「お三方には『部活』をやっていただきます!」

 きっと、思いもよらない言葉が出て、驚いたのだろう。

「ぶかつ・・・・・・?」

 ギーシャが意外そうに復唱し、マリス嬢はリンス嬢と顔を見合わせてから声を上げた。

「「はぁ?」」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢なので舞台である学園に行きません!

神々廻
恋愛
ある日、前世でプレイしていた乙女ゲーに転生した事に気付いたアリサ・モニーク。この乙女ゲーは悪役令嬢にハッピーエンドはない。そして、ことあるイベント事に死んでしまう....... だが、ここは乙女ゲーの世界だが自由に動ける!よし、学園に行かなければ婚約破棄はされても死にはしないのでは!? 全8話完結 完結保証!!

恋より友情!〜婚約者に話しかけるなと言われました〜

k
恋愛
「学園内では、俺に話しかけないで欲しい」 そう婚約者のグレイに言われたエミリア。 はじめは怒り悲しむが、だんだんどうでもよくなってしまったエミリア。 「恋より友情よね!」 そうエミリアが前を向き歩き出した頃、グレイは………。 本編完結です!その後のふたりの話を番外編として書き直してますのでしばらくお待ちください。

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。

束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。 だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。 そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。 全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。 気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。 そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。 すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。

七年間の婚約は今日で終わりを迎えます

hana
恋愛
公爵令嬢エミリアが十歳の時、第三王子であるロイとの婚約が決まった。しかし婚約者としての生活に、エミリアは不満を覚える毎日を過ごしていた。そんな折、エミリアは夜会にて王子から婚約破棄を宣言される。

目が覚めたら夫と子供がいました

青井陸
恋愛
とある公爵家の若い公爵夫人、シャルロットが毒の入ったのお茶を飲んで倒れた。 1週間寝たきりのシャルロットが目を覚ましたとき、幼い可愛い男の子がいた。 「…お母様?よかった…誰か!お母様が!!!!」 「…あなた誰?」 16歳で政略結婚によって公爵家に嫁いだ、元伯爵令嬢のシャルロット。 シャルロットは一目惚れであったが、夫のハロルドは結婚前からシャルロットには冷たい。 そんな関係の二人が、シャルロットが毒によって記憶をなくしたことにより少しずつ変わっていく。 なろう様でも同時掲載しています。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

私の婚約者は6人目の攻略対象者でした

みかん桜(蜜柑桜)
恋愛
王立学園の入学式。主人公のクラウディアは婚約者と共に講堂に向かっていた。 すると「きゃあ!」と、私達の行く手を阻むように、髪色がピンクの女生徒が転けた。『バターン』って効果音が聞こえてきそうな見事な転け方で。 そういえば前世、異世界を舞台にした物語のヒロインはピンク色が定番だった。 確か…入学式の日に学園で迷って攻略対象者に助けられたり、攻略対象者とぶつかって転けてしまったところを手を貸してもらったり…っていうのが定番の出会いイベントよね。 って……えっ!? ここってもしかして乙女ゲームの世界なの!?  ヒロイン登場に驚きつつも、婚約者と共に無意識に攻略対象者のフラグを折っていたクラウディア。 そんなクラウディアが幸せになる話。 ※本編完結済※番外編更新中

処理中です...