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勢いしかない親子
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「おお、可愛い可愛い! 我が娘超可愛い! もう嫁になんぞ行かなくていいぞ! ずっとうちにいなさい!」
「お父様、頬擦りするのは構いませんけど髭剃ってください」
微妙に伸びてる髭がジョリジョリするんです。
先日、私が婚約者に婚約破棄されたため、ただでさえ過保護だったのに拍車が掛かったらしい。
なんで? 婚約破棄したのかって? 分かりません。婚約者は「真実の愛」がどうのこうのって言ってましたけれど、興味無さすぎて半分寝てましたから。
婚約者の家は怒り狂ったお父様に多額の慰謝料を請求され火の車で、後継者問題で勘当するしないとかが勃発しているようだけれど、もう他人だしどうでもいい。
「ああもう硝子の箱に閉じ込めて飾りたいくらい可愛い! 我が娘最高!」
お父様のその若干狂気的な思考は何とかならないものですかね。
狭い場所に引き寄せられる猫みたいに、嬉々として特注の硝子箱に入ってくれるお母様じゃないんですよ私は。
それに閉じ込められると困るし。そうそうそれを言いに来たんでした。
「お父様、私結婚しますよ」
「ん? いや、お前に決められた縁談など不自由を強いる気はもうないぞ。これからは自由に我が家で──」
ああ、お父様何か勘違いされてますね。
お父様は私が家のために新しい結婚相手を探そうとしているように聞こえたようです。ですが、私だってそんな気さらさらありません。
「いえ、そうではなくて、私彼ピが出来たので」
「彼ピィッ!!!?」
「結婚を前提にお付き合いしております」
いえい! ぶいぶい!
人生初彼ピですよ。え? 元婚約者? 彼氏ではなかったのでノーカンです。
「そ、そんないつの間に・・・・・・!」
「公爵家の夜会で逆ナンしました」
「我が娘から誘ったの!!?」
そう。美味しいご飯とタダ酒目当てで参加したら運命の出会い果たしちゃいました。
だって二度目の婚約は絶対失敗したくないし、なら自分が選んだ人と結婚するのが一番じゃないですか。
誰ともお喋りせずに一心不乱に食べ物に食らいつく姿が何ともチャーミングで、私の一目惚れでした。美味しそうにご飯を食べる男の子って素敵ですよね。
ケーキ奢ってあげるのと引き換えに交際してくれるところも可愛いんです。
「あ、相手はどこの馬の骨なんだ!?」
「噂の王族の御落胤の公爵令息です」
びっくりぽんですよね。
「厄ネタの匂いしかしないが、我が娘!」
大丈夫です、お父様。元婚約者も言っていましたわ。「愛があれば大抵のことはなんとかなる」。どうしようもない婚約者でしたけれど、それだけは同感です。
「あ、もうデートの時間なので行ってきますね。お土産は惚気話でよろしくて?」
「目に入れても痛くない我が娘から他の男との惚気聞かされるのしんどい! 甘味がいい!」
「じゃあ、ケーキ買ってきます。今日、ケーキ屋さん行くので」
交際の条件ですからね。
美味しいものたくさん食べさせて好感度アゲアゲですわ!
「我が娘、急展開過ぎて着いてけないんだが!?」
「歳をとると時間の流れが早く感じるそうですからね。明日あたり紹介しに連れてきますわ」
「だから早すぎるって! 我が娘ぇええええ!」
「いってきまーす!」
お父様が背後で何やら喚いていますが、帰ってから聞きましょう。
身支度を理由に遅刻する女にはなりたくありません。
はぁ。デート、デート。楽しみですわぁ。
「お父様、頬擦りするのは構いませんけど髭剃ってください」
微妙に伸びてる髭がジョリジョリするんです。
先日、私が婚約者に婚約破棄されたため、ただでさえ過保護だったのに拍車が掛かったらしい。
なんで? 婚約破棄したのかって? 分かりません。婚約者は「真実の愛」がどうのこうのって言ってましたけれど、興味無さすぎて半分寝てましたから。
婚約者の家は怒り狂ったお父様に多額の慰謝料を請求され火の車で、後継者問題で勘当するしないとかが勃発しているようだけれど、もう他人だしどうでもいい。
「ああもう硝子の箱に閉じ込めて飾りたいくらい可愛い! 我が娘最高!」
お父様のその若干狂気的な思考は何とかならないものですかね。
狭い場所に引き寄せられる猫みたいに、嬉々として特注の硝子箱に入ってくれるお母様じゃないんですよ私は。
それに閉じ込められると困るし。そうそうそれを言いに来たんでした。
「お父様、私結婚しますよ」
「ん? いや、お前に決められた縁談など不自由を強いる気はもうないぞ。これからは自由に我が家で──」
ああ、お父様何か勘違いされてますね。
お父様は私が家のために新しい結婚相手を探そうとしているように聞こえたようです。ですが、私だってそんな気さらさらありません。
「いえ、そうではなくて、私彼ピが出来たので」
「彼ピィッ!!!?」
「結婚を前提にお付き合いしております」
いえい! ぶいぶい!
人生初彼ピですよ。え? 元婚約者? 彼氏ではなかったのでノーカンです。
「そ、そんないつの間に・・・・・・!」
「公爵家の夜会で逆ナンしました」
「我が娘から誘ったの!!?」
そう。美味しいご飯とタダ酒目当てで参加したら運命の出会い果たしちゃいました。
だって二度目の婚約は絶対失敗したくないし、なら自分が選んだ人と結婚するのが一番じゃないですか。
誰ともお喋りせずに一心不乱に食べ物に食らいつく姿が何ともチャーミングで、私の一目惚れでした。美味しそうにご飯を食べる男の子って素敵ですよね。
ケーキ奢ってあげるのと引き換えに交際してくれるところも可愛いんです。
「あ、相手はどこの馬の骨なんだ!?」
「噂の王族の御落胤の公爵令息です」
びっくりぽんですよね。
「厄ネタの匂いしかしないが、我が娘!」
大丈夫です、お父様。元婚約者も言っていましたわ。「愛があれば大抵のことはなんとかなる」。どうしようもない婚約者でしたけれど、それだけは同感です。
「あ、もうデートの時間なので行ってきますね。お土産は惚気話でよろしくて?」
「目に入れても痛くない我が娘から他の男との惚気聞かされるのしんどい! 甘味がいい!」
「じゃあ、ケーキ買ってきます。今日、ケーキ屋さん行くので」
交際の条件ですからね。
美味しいものたくさん食べさせて好感度アゲアゲですわ!
「我が娘、急展開過ぎて着いてけないんだが!?」
「歳をとると時間の流れが早く感じるそうですからね。明日あたり紹介しに連れてきますわ」
「だから早すぎるって! 我が娘ぇええええ!」
「いってきまーす!」
お父様が背後で何やら喚いていますが、帰ってから聞きましょう。
身支度を理由に遅刻する女にはなりたくありません。
はぁ。デート、デート。楽しみですわぁ。
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