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第二十四話 黒煙
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「それで一体、何のご用ですか?」
盛大なため息を吐かれてしまったが、話自体は聞いてくれるらしい。
「手っ取り早くて助かります。単刀直入にお訊きしますね? ミルミード・シャルニィ嬢に毒を盛ったのは貴女たち?」
訊いた途端、室内がざわめく。
それぞれ、驚く者、困惑する者、憤る者、怯える者。反応は人それぞれだ。私は些細な情報も逃さないため、彼女たちの様子をつぶさに観察した。
────・・・・・・あら。
ふと、気になる人物を見つけたけれど、私の意識は目の前に立っている縦ロール令嬢の呼ぶ声に引き戻された。
「エルシカ様、ミルミード・シャルニィの件は聞き及んでおります。確かにわたくしたちは、彼女が嫌いですし、彼女のしたことを許すことは出来ません。ですが、暗殺のような真似で命を脅かすようなことは致しませんわ!」
鋭い目が私を突き刺した。
その瞳に宿るのは、激しい怒りと──そして、矜持。闘うのであれば、正々堂々と正面から。そんな潔白の人間にしか出来ない瞳だった。
ふむ。少なくとも、私の勘では彼女は無関係ね。
私としては、あの気になる人物に話を訊きたいのだけれど、人前で訊いてもし関係なかった場合は申し訳ないし、出直そうかしら?
そんなことを考えていると、令嬢の一人が窓の外を見て叫んだ。
「あら・・・・・・? え? 何あれ・・・・・・皆様! ご覧になって! 向こうの校舎から黒い煙が上がってますわ!」
「何ですって!?」
皆が一斉に窓の方へより、外を確認した。
私も一番手前へ出て、窓を開いて身を乗り出すように、煙の上がる方角を見た。
そこには確かに、黒煙がどんどん太さを増しながら空へと上って行ってる。
──まさか、火事!?
「す、すぐに先生方に報告を!」
「どうしましょう! こちらまで火の手が来たら、どうしましょう!」
「落ち着いて! ここの校舎はあの校舎と繋がってないから、大丈夫よ!」
「あの校舎の人たちは気づいているの!?」
令嬢たちの声が、耳に木霊する。
そんな中で、私はある一つのことを思い出していた。
──あの校舎って確か──シャルニィ嬢たちがいる──
そう、シャルニィ嬢たちが使っていた茶室がある校舎。ヴィクト・オーヴェルの話では、今はシャルニィ嬢は同じ校舎の医務室にいる。当然、様子を見に行ったコンラッド殿下たちも──なんて、考えてる場合じゃないわね!
「貴女たちはここから動かない方がいいわ」
「エルシカ様!? 一体何を!?」
「ちょっと行ってくる!」
背後から訊かれたけれど、説明する暇はない。
窓枠に足を掛けた私は、そのまま窓から飛び降りた。
二階ぐらいなら、私にとっては段差と大差ない。
危なげなく着地し、煙の上がる校舎へと向かう。
それにしても──何だって今日は、次から次へと問題が起きまくるのよっ!!!
盛大なため息を吐かれてしまったが、話自体は聞いてくれるらしい。
「手っ取り早くて助かります。単刀直入にお訊きしますね? ミルミード・シャルニィ嬢に毒を盛ったのは貴女たち?」
訊いた途端、室内がざわめく。
それぞれ、驚く者、困惑する者、憤る者、怯える者。反応は人それぞれだ。私は些細な情報も逃さないため、彼女たちの様子をつぶさに観察した。
────・・・・・・あら。
ふと、気になる人物を見つけたけれど、私の意識は目の前に立っている縦ロール令嬢の呼ぶ声に引き戻された。
「エルシカ様、ミルミード・シャルニィの件は聞き及んでおります。確かにわたくしたちは、彼女が嫌いですし、彼女のしたことを許すことは出来ません。ですが、暗殺のような真似で命を脅かすようなことは致しませんわ!」
鋭い目が私を突き刺した。
その瞳に宿るのは、激しい怒りと──そして、矜持。闘うのであれば、正々堂々と正面から。そんな潔白の人間にしか出来ない瞳だった。
ふむ。少なくとも、私の勘では彼女は無関係ね。
私としては、あの気になる人物に話を訊きたいのだけれど、人前で訊いてもし関係なかった場合は申し訳ないし、出直そうかしら?
そんなことを考えていると、令嬢の一人が窓の外を見て叫んだ。
「あら・・・・・・? え? 何あれ・・・・・・皆様! ご覧になって! 向こうの校舎から黒い煙が上がってますわ!」
「何ですって!?」
皆が一斉に窓の方へより、外を確認した。
私も一番手前へ出て、窓を開いて身を乗り出すように、煙の上がる方角を見た。
そこには確かに、黒煙がどんどん太さを増しながら空へと上って行ってる。
──まさか、火事!?
「す、すぐに先生方に報告を!」
「どうしましょう! こちらまで火の手が来たら、どうしましょう!」
「落ち着いて! ここの校舎はあの校舎と繋がってないから、大丈夫よ!」
「あの校舎の人たちは気づいているの!?」
令嬢たちの声が、耳に木霊する。
そんな中で、私はある一つのことを思い出していた。
──あの校舎って確か──シャルニィ嬢たちがいる──
そう、シャルニィ嬢たちが使っていた茶室がある校舎。ヴィクト・オーヴェルの話では、今はシャルニィ嬢は同じ校舎の医務室にいる。当然、様子を見に行ったコンラッド殿下たちも──なんて、考えてる場合じゃないわね!
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「エルシカ様!? 一体何を!?」
「ちょっと行ってくる!」
背後から訊かれたけれど、説明する暇はない。
窓枠に足を掛けた私は、そのまま窓から飛び降りた。
二階ぐらいなら、私にとっては段差と大差ない。
危なげなく着地し、煙の上がる校舎へと向かう。
それにしても──何だって今日は、次から次へと問題が起きまくるのよっ!!!
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