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第二十二話 疑わしき者たち

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 学内での毒殺未遂。
 あまりにも特殊過ぎる状況に、コンラッド殿下も困惑気味のようだ。

「まず、被害者のミルミード・シャルニィだけど──彼女を恨んでそうな人物は──あー・・・・・・」

 そこまで言い掛けて、コンラッド殿下は頭を痛そうに押さえた。
 シャルニィ嬢を恨んでいそうな人物──うん、たくさんいるわ。

「少なくとも、彼女に婚約者や恋人を奪われた女子生徒たちは彼女を恨んでいると思いますよ」

「「・・・・・・」」

「って、私は違いますからね!? 本当に無実ですから!」

「ああ、ごめんね。そうじゃなくて、余りにも他人事だから」

「他人事ですよ?」

「・・・・・・そう」

 何でそんな微妙な反応なんだ? もう、婚約破棄したから関係ないでしょ。

「シャルニィ嬢の普段の行いからいって、犯人候補は山程いるね。とは言え、使われた毒も不明だし、そもそも学生がそう簡単に毒なんて用意出来るだろうか?」

「案外出来ますよ。毒性のある植物なら、山に行けばわんさか生えてますし、学園の花壇の花も根に毒を持つものがいくつか──って、そんな目で見ないで下さい! ほんとに私じゃありませんって!」

 子供の頃にお兄様にもし、野営することになった時に備えてって、食べられる植物と食べちゃいけない植物を教えてもらってたんです! ちょっと、人より知識はありますけれど、だからって毒なんて盛りません!
 少し疑わしげな目で見られて、大変遺憾です!

「そもそも、お金を積めば入手出来る闇のルートとかもあるみたいですし? まずは何の毒かを調べた方がよろしいかと」

「そうだね。命に別状はないようだけれど、シャルニィ嬢の容態も気になるし、毒の種類の確認のためにも様子を見に行こうかな」

「あ、では、私はここで。今、シャルニィ嬢に会いに行ったら、多分殺されるので」

 まぁ、全員返り討ちにするけど。
 どのみち、保健室か独房が満員になっちゃうだろう。無駄な争いは好まないのよ、私。
 何のことを言っているのかは、わざわざ名前を出さずとも伝わったようで、コンラッド殿下も空笑いで頷いた。

「うん・・・・・・そうだね。多分、レイズもいるだろうし、話がややこしくなりそうだ。じゃあ、私たちはシャルニィ嬢のところへ向かうよ。エルシカ嬢も、もし何か分かったことがあれば報告して欲しい」

「はい。分かりました」

 了承して、私はそのまま私はコンラッド殿下とクラウズム先輩と別れる。とうとう裏庭には私一人になってしまった。
 どのみち、先生たちの罠があるっぽいから、柿は食べられないし、教室に戻ろっかな?

 ──にしても、シャルニィ嬢に毒を盛る人物の心当たりねぇ。そんなのあるわけ──いや、あった。

「あ」

 すっかり忘れていたけれど、一週間前。ミントを食べに行った園芸庭。取り囲んできた令嬢。

 ──ミルミード・シャルニィ被害者の会。

 そういや、そんな集団がいたっけ。
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