23 / 37
第二十二話 疑わしき者たち
しおりを挟む
学内での毒殺未遂。
あまりにも特殊過ぎる状況に、コンラッド殿下も困惑気味のようだ。
「まず、被害者のミルミード・シャルニィだけど──彼女を恨んでそうな人物は──あー・・・・・・」
そこまで言い掛けて、コンラッド殿下は頭を痛そうに押さえた。
シャルニィ嬢を恨んでいそうな人物──うん、たくさんいるわ。
「少なくとも、彼女に婚約者や恋人を奪われた女子生徒たちは彼女を恨んでいると思いますよ」
「「・・・・・・」」
「って、私は違いますからね!? 本当に無実ですから!」
「ああ、ごめんね。そうじゃなくて、余りにも他人事だから」
「他人事ですよ?」
「・・・・・・そう」
何でそんな微妙な反応なんだ? もう、婚約破棄したから関係ないでしょ。
「シャルニィ嬢の普段の行いからいって、犯人候補は山程いるね。とは言え、使われた毒も不明だし、そもそも学生がそう簡単に毒なんて用意出来るだろうか?」
「案外出来ますよ。毒性のある植物なら、山に行けばわんさか生えてますし、学園の花壇の花も根に毒を持つものがいくつか──って、そんな目で見ないで下さい! ほんとに私じゃありませんって!」
子供の頃にお兄様にもし、野営することになった時に備えてって、食べられる植物と食べちゃいけない植物を教えてもらってたんです! ちょっと、人より知識はありますけれど、だからって毒なんて盛りません!
少し疑わしげな目で見られて、大変遺憾です!
「そもそも、お金を積めば入手出来る闇のルートとかもあるみたいですし? まずは何の毒かを調べた方がよろしいかと」
「そうだね。命に別状はないようだけれど、シャルニィ嬢の容態も気になるし、毒の種類の確認のためにも様子を見に行こうかな」
「あ、では、私はここで。今、シャルニィ嬢に会いに行ったら、多分殺されるので」
まぁ、全員返り討ちにするけど。
どのみち、保健室か独房が満員になっちゃうだろう。無駄な争いは好まないのよ、私。
何のことを言っているのかは、わざわざ名前を出さずとも伝わったようで、コンラッド殿下も空笑いで頷いた。
「うん・・・・・・そうだね。多分、レイズもいるだろうし、話がややこしくなりそうだ。じゃあ、私たちはシャルニィ嬢のところへ向かうよ。エルシカ嬢も、もし何か分かったことがあれば報告して欲しい」
「はい。分かりました」
了承して、私はそのまま私はコンラッド殿下とクラウズム先輩と別れる。とうとう裏庭には私一人になってしまった。
どのみち、先生たちの罠があるっぽいから、柿は食べられないし、教室に戻ろっかな?
──にしても、シャルニィ嬢に毒を盛る人物の心当たりねぇ。そんなのあるわけ──いや、あった。
「あ」
すっかり忘れていたけれど、一週間前。ミントを食べに行った園芸庭。取り囲んできた令嬢。
──ミルミード・シャルニィ被害者の会。
そういや、そんな集団がいたっけ。
あまりにも特殊過ぎる状況に、コンラッド殿下も困惑気味のようだ。
「まず、被害者のミルミード・シャルニィだけど──彼女を恨んでそうな人物は──あー・・・・・・」
そこまで言い掛けて、コンラッド殿下は頭を痛そうに押さえた。
シャルニィ嬢を恨んでいそうな人物──うん、たくさんいるわ。
「少なくとも、彼女に婚約者や恋人を奪われた女子生徒たちは彼女を恨んでいると思いますよ」
「「・・・・・・」」
「って、私は違いますからね!? 本当に無実ですから!」
「ああ、ごめんね。そうじゃなくて、余りにも他人事だから」
「他人事ですよ?」
「・・・・・・そう」
何でそんな微妙な反応なんだ? もう、婚約破棄したから関係ないでしょ。
「シャルニィ嬢の普段の行いからいって、犯人候補は山程いるね。とは言え、使われた毒も不明だし、そもそも学生がそう簡単に毒なんて用意出来るだろうか?」
「案外出来ますよ。毒性のある植物なら、山に行けばわんさか生えてますし、学園の花壇の花も根に毒を持つものがいくつか──って、そんな目で見ないで下さい! ほんとに私じゃありませんって!」
子供の頃にお兄様にもし、野営することになった時に備えてって、食べられる植物と食べちゃいけない植物を教えてもらってたんです! ちょっと、人より知識はありますけれど、だからって毒なんて盛りません!
少し疑わしげな目で見られて、大変遺憾です!
「そもそも、お金を積めば入手出来る闇のルートとかもあるみたいですし? まずは何の毒かを調べた方がよろしいかと」
「そうだね。命に別状はないようだけれど、シャルニィ嬢の容態も気になるし、毒の種類の確認のためにも様子を見に行こうかな」
「あ、では、私はここで。今、シャルニィ嬢に会いに行ったら、多分殺されるので」
まぁ、全員返り討ちにするけど。
どのみち、保健室か独房が満員になっちゃうだろう。無駄な争いは好まないのよ、私。
何のことを言っているのかは、わざわざ名前を出さずとも伝わったようで、コンラッド殿下も空笑いで頷いた。
「うん・・・・・・そうだね。多分、レイズもいるだろうし、話がややこしくなりそうだ。じゃあ、私たちはシャルニィ嬢のところへ向かうよ。エルシカ嬢も、もし何か分かったことがあれば報告して欲しい」
「はい。分かりました」
了承して、私はそのまま私はコンラッド殿下とクラウズム先輩と別れる。とうとう裏庭には私一人になってしまった。
どのみち、先生たちの罠があるっぽいから、柿は食べられないし、教室に戻ろっかな?
──にしても、シャルニィ嬢に毒を盛る人物の心当たりねぇ。そんなのあるわけ──いや、あった。
「あ」
すっかり忘れていたけれど、一週間前。ミントを食べに行った園芸庭。取り囲んできた令嬢。
──ミルミード・シャルニィ被害者の会。
そういや、そんな集団がいたっけ。
0
お気に入りに追加
119
あなたにおすすめの小説
わたしを追い出した人達が、今更何の御用ですか?
柚木ゆず
恋愛
ランファーズ子爵令嬢、エミリー。彼女は我が儘な妹マリオンとマリオンを溺愛する両親の理不尽な怒りを買い、お屋敷から追い出されてしまいました。
自分の思い通りになってマリオンは喜び、両親はそんなマリオンを見て嬉しそうにしていましたが――。
マリオン達は、まだ知りません。
それから僅か1か月後に、エミリーの追放を激しく後悔する羽目になることを。お屋敷に戻って来て欲しいと、エミリーに懇願しないといけなくなってしまうことを――。
魔術師のご主人様
夏目
恋愛
「君との婚約を破棄したい」
大好きな婚約者のマリオは、突然そう言った。隣には異界からやってきた女がいる。彼女のことが好きになってしまったというマリオ。けれど、そんなの信じられないよ。
(小説家になろう様でも投稿しています)
行き場を失った恋の終わらせ方
当麻月菜
恋愛
「君との婚約を白紙に戻してほしい」
自分の全てだったアイザックから別れを切り出されたエステルは、どうしてもこの恋を終わらすことができなかった。
避け続ける彼を求めて、復縁を願って、あの日聞けなかった答えを得るために、エステルは王城の夜会に出席する。
しかしやっと再会できた、そこには見たくない現実が待っていて……
恋の終わりを見届ける貴族青年と、行き場を失った恋の中をさ迷う令嬢の終わりと始まりの物語。
※他のサイトにも重複投稿しています。
無実の罪で聖女を追放した、王太子と国民のその後
柚木ゆず
恋愛
※6月30日本編完結いたしました。7月1日より番外編を投稿させていただきます。
聖女の祈りによって1000年以上豊作が続き、豊穣の国と呼ばれているザネラスエアル。そんなザネラスエアルは突如不作に襲われ、王太子グスターヴや国民たちは現聖女ビアンカが祈りを怠けたせいだと憤慨します。
ビアンカは否定したものの訴えが聞き入れられることはなく、聖女の資格剥奪と国外への追放が決定。彼女はまるで見世物のように大勢の前で連行され、国民から沢山の暴言と石をぶつけられながら、隣国に追放されてしまいました。
そうしてその後ザネラスエアルでは新たな聖女が誕生し、グスターヴや国民たちは『これで豊作が戻ってくる!』と喜んでいました。
ですが、これからやって来るのはそういったものではなく――
(完)お姉様、ありがとう!ーー姉は妹に婚約破棄され……処刑され……(全5話)
青空一夏
恋愛
姉にコンプレックスを感じていた妹が無意識に魅了の魔法を使い、姉の婚約者レオン王太子を魅了。婚約破棄に追い込むが……
毎日7:00投稿。全5話。
幼馴染と婚約者を裏切った2人の末路
柚木ゆず
恋愛
「こういうことなの、メリッサ。だからね、アドン様との関係を解消してもらいたいの」
「今の俺にとって1番は、エステェ。2番目を心から愛することなんてできるはずがなくて、そんな状況は君にとってもマイナスしか生まない。そうだろう?」
大事な話がある。そう言われて幼馴染が暮らすファレナルース伯爵邸を訪れたら、幼馴染エステェの隣にはわたくしの婚約者がいました。
どうやら二人はわたくしが紹介をした際に共に一目惚れをして、内緒で交際をして昨日恋人になっていて――。そのままだと婚約できないから、『別れて』と言っているみたいですわ。
……そう。そうなのね。分かったわ。
わたくし達が結んでいる婚約は、すぐに白紙にしますわ。
でもね、エステェ、アドン様。これで幸せになれると貴方達は喜んでいるけど、そうはならないと思うわ。
だって平然と幼馴染と婚約者を裏切るような人達は、いずれまた――
わたし、何度も忠告しましたよね?
柚木ゆず
恋愛
ザユテイワ侯爵令嬢ミシェル様と、その取り巻きのおふたりへ。わたしはこれまで何をされてもやり返すことはなく、その代わりに何度も苦言を呈してきましたよね?
……残念です。
貴方がたに優しくする時間は、もうお仕舞です。
※申し訳ございません。体調不良によりお返事をできる余裕がなくなっておりまして、日曜日ごろ(24日ごろ)まで感想欄を閉じさせていただきます。
元婚約者は入れ替わった姉を罵倒していたことを知りません
ルイス
恋愛
有名な貴族学院の卒業パーティーで婚約破棄をされたのは、伯爵令嬢のミシェル・ロートレックだ。
婚約破棄をした相手は侯爵令息のディアス・カンタールだ。ディアスは別の女性と婚約するからと言う身勝手な理由で婚約破棄を言い渡したのだった。
その後、ミシェルは双子の姉であるシリアに全てを話すことになる。
怒りを覚えたシリアはミシェルに自分と入れ替わってディアスに近づく作戦を打ち明けるのだった。
さて……ディアスは出会った彼女を妹のミシェルと間違えてしまい、罵倒三昧になるのだがシリアは王子殿下と婚約している事実を彼は知らなかった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる