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第十九話 初耳の話ばかりなんですけれど。

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「今の話は本当か?」

「間違いありません!」

「間違いしかありません! シャルニィ嬢に何者かが毒を持ったことが真だったとしても、それは私ではありません!」

 あまりのことに二の句が継げないでいたが、これは即座に否定していた方がいいと、働いていた頭の部分にお尻を叩かれ、私は咄嗟に声を上げた。

「そうやって知らぬふりをし続ければ、コンラッド殿下たちを騙しおおせるとでも思っているのか? 無駄なことだ! すでに俺たちはみな、お前が毒を入れた犯人だと知っているんだからな!」

「ですから、そもそも毒なんて知らないと言ってるんです!」

「嘘をつくな! ミミィへの差し入れと茶室に毒入りクッキーを用意しておいたのは貴様だろう! ご丁寧に名前付きのメッセージカードまで添えて!」

 ──────は?

「ば、バッッッッッカじゃないの!!?」

 名前付きのメッセージカードって何?
 わざわざ毒を入れた差し入れに自分の名前を書く馬鹿がどこにいるっていうのよ?
 明らかに偽装じゃないの!!!!!

「そんなの自分が犯人ですって言ってるようなものじゃない! どこの世界に犯行現場に自分の名前を書いておく殺人犯がいるの? セルフダイイングメッセージとか聞いたことないわ! そもそも、送り主が私って時点でおかしいと思いなさいよ! 何で特に親しくもない相手の名前が書かれた置いてあったクッキー食べてんの!? もっと怪しみなさいよ!」

 何だコレ何だコレ何だコレ!!?
 そんな理由で疑われてるの? 私!
 推理小説の賞の一次選考落ちのストーリーだって、この百倍はマシだわ!
 てゆーか、シャルニィ嬢の危機管理能力どうなってんの? 私だったら、本人から直接貰った訳でもないシャルニィ嬢の名前が書かれたクッキーなんて絶対に食べないし、触らないわよ。というか、こいつ含めて、ハーレム連中もその場にいたの? だとしたら、誰も止めなかったの!?

「うーん・・・・・・流石にそれだけじゃあ、エルシカ嬢が犯人だとは断定出来ないねぇ。犯人と決めつけるには、不自然な点が多すぎる」

 コンラッド殿下がまともでよかった!

「そんなはずはない! そもそも、貴様には動機があるだろう!」

「動機ぃ~?」

 私は思いっきり顔を顰めた。
 私がシャルニィ嬢に毒を盛る動機、ねぇ。あ、もうこいつが次に何を言うか分かったわ。

「そうだ。エルシカ・ガルルファングは、婚約者であったレイズ殿下がミミィに心変わりをし、そのせいで婚約破棄をされた。そして、嫉妬に狂い、影でミミィを苛め抜き、それだけでは満足出来ずにこんな凶行に走ったんだろう!」

「全く違うわ! ──ん? いや、待って。いじめって何の話!?」

 この上、別の容疑まで浮上、だと!?
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