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第一話 婚約破棄? ああ、とうとうですか。
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私の名前はエルシカ・ガルルファング。
緩い性格してるけど、これでも一応、公爵令嬢。
ほんでもって、ついでに第三王子の婚約者だったりもする。
「──そういう訳だ。私はエルシカ・ガルルファングとの婚約を破棄する!」
──訂正。
元第三王子の婚約者、になりそう。
驚きはない。
王子の横にいるふわふわピンク頭のぱっちり金目で色白小顔低身長子ウサギ系美少女を見れば、大体察する。
婚約破棄を申し伝えられた私の第一の感想。
──ああ、とうとう第三王子も毒牙にかかったかぁ。
この子ウサギ美少女、名前はなんて言ったっけ?
元・平民の子爵令嬢という彼女の噂は有名だった。
見た目はウサギ、中身は肉食獣ってね。
何でも、彼女は編入早々に幾多ものハイスペックイケメンを食い散らか──魅了して、自分の陣営に取り込んだらしい。
何だっけ? 公爵令息に、騎士の名家の子息、豪商の息子に、学園長の孫に、その他もろもろ・・・・・・。うーん、何というハングリー精神。いっそ感服するわ。
とまぁ、多くの男を虜にしてきた恐るべき美少女である。近くでみると、ほんとに可愛い。中身肉食獣だけど。
殿下もまぁ、顔はいいし? それに王子様だからそのうち毒牙にかかりそうだな~って思ってたら、予想通りだよ。
「えーっと、理由をお訊きしても?」
「俺はこのミルミードと愛を誓い合った。ゆくゆくは彼女を王子妃に迎えるつもりだ。だから、お前には婚約者の座を退いてもらう」
「なるほど。その言葉に嘘はありませんね?」
「この愛に誓って本当だ」
「殿下・・・・・・! ミミィ、嬉しい・・・・・・!」
はい、言質頂きましたー。
完全に恋愛脳になってるみたいだし、言い分変える気配はないわね。
これならすんなりと殿下有責の上で、婚約破棄出来そうだわ。
あと、せめてこんな時くらいイチャコラするのやめない? 一応、まだ婚約者の前だぞ?
「左様でございますか。分かりました。帰り次第、父に事の次第を報告し、なるべく早く婚約破棄出来るようにしますわ」
「おお! 俺達の愛を分かってくれるか! エルシカ!」
「エルシカ様、ごめんなさい・・・・・・私が殿下の心を奪ってしまって──けれど、自分の心に嘘をつくのは殿下にとっても、エルシカ様にとっても良くないことだと思うから・・・・・・!」
あー、はいはい。そういうのは、いいから。
恋だ愛だに酔った男にも、悲劇のヒロイン装ったマウントにも興味はないの。
「イエイエー、オ気二ナサラズー。オシアワセニー」
「ミミィ・・・・・・!」
「殿下・・・・・・!」
あれまぁ、とっくに二人の世界だったわ。
ま、いいや。帰ろーっと。
迎えの馬車へと向かいながら、婚約破棄について考える。
婚約破棄、婚約破棄ねぇ。
それってつまり、面倒臭い王族にならなくて済む上に、今までしなきゃいけなかった妃教育やパーティーとかの参加義務が無くなるってこと?
・・・・・・え!? それって控えめに言って最高じゃない!!?
緩い性格してるけど、これでも一応、公爵令嬢。
ほんでもって、ついでに第三王子の婚約者だったりもする。
「──そういう訳だ。私はエルシカ・ガルルファングとの婚約を破棄する!」
──訂正。
元第三王子の婚約者、になりそう。
驚きはない。
王子の横にいるふわふわピンク頭のぱっちり金目で色白小顔低身長子ウサギ系美少女を見れば、大体察する。
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何でも、彼女は編入早々に幾多ものハイスペックイケメンを食い散らか──魅了して、自分の陣営に取り込んだらしい。
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とまぁ、多くの男を虜にしてきた恐るべき美少女である。近くでみると、ほんとに可愛い。中身肉食獣だけど。
殿下もまぁ、顔はいいし? それに王子様だからそのうち毒牙にかかりそうだな~って思ってたら、予想通りだよ。
「えーっと、理由をお訊きしても?」
「俺はこのミルミードと愛を誓い合った。ゆくゆくは彼女を王子妃に迎えるつもりだ。だから、お前には婚約者の座を退いてもらう」
「なるほど。その言葉に嘘はありませんね?」
「この愛に誓って本当だ」
「殿下・・・・・・! ミミィ、嬉しい・・・・・・!」
はい、言質頂きましたー。
完全に恋愛脳になってるみたいだし、言い分変える気配はないわね。
これならすんなりと殿下有責の上で、婚約破棄出来そうだわ。
あと、せめてこんな時くらいイチャコラするのやめない? 一応、まだ婚約者の前だぞ?
「左様でございますか。分かりました。帰り次第、父に事の次第を報告し、なるべく早く婚約破棄出来るようにしますわ」
「おお! 俺達の愛を分かってくれるか! エルシカ!」
「エルシカ様、ごめんなさい・・・・・・私が殿下の心を奪ってしまって──けれど、自分の心に嘘をつくのは殿下にとっても、エルシカ様にとっても良くないことだと思うから・・・・・・!」
あー、はいはい。そういうのは、いいから。
恋だ愛だに酔った男にも、悲劇のヒロイン装ったマウントにも興味はないの。
「イエイエー、オ気二ナサラズー。オシアワセニー」
「ミミィ・・・・・・!」
「殿下・・・・・・!」
あれまぁ、とっくに二人の世界だったわ。
ま、いいや。帰ろーっと。
迎えの馬車へと向かいながら、婚約破棄について考える。
婚約破棄、婚約破棄ねぇ。
それってつまり、面倒臭い王族にならなくて済む上に、今までしなきゃいけなかった妃教育やパーティーとかの参加義務が無くなるってこと?
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