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第二話 私に非はありません。本当ですよ?

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「はぁ!? 婚約破棄されただぁ?」

 帰宅して早々、休息の間にいた兄に学園での出来事を報告すると、思いっきり顔をしかめられた。

「何やったんだ? おめぇ」

「待って。私が品行方正な妹じゃないことは認めますけれど、何で私が悪い前提で訊いてくんの?」

 一方的に婚約破棄されたって説明してんのに、何その反応~。こーゆーのって、まずは一も二もなく怒るもんじゃないの? 家族ならさ!

「俺が今まで、どんだけお前のやらかしの後始末してやったと思ってんだ。王宮の窓硝子ブチ破ったり、領の家畜逃がしたり、美術館の宝剣借りパクしたり・・・・・・疑われねぇと思う方がおかしいだろ」

 ・・・・・・あ~、まぁ、そんなこともあったっけ?
 いやいや、でもさ、どれも悪気があった訳じゃないのよ?

 王宮の窓の件は、まぁ、事故? だし(お兄様の隠蔽で強風のせいになった)。
 家畜の件は、ちょっと触りたいなぁ~って思って、小屋の中入って鍵開けっぱにしてたら、気づいたら逃げられてて。まぁ、子供心ってやつよ(大人たちが気づく前にお兄様が全て捕獲した)。
 美術館の宝剣の件は、忘れてただけだし! 誰にだってうっかりはあるわよ! (お兄様が諸々誤魔化している間に色々あって、宝剣の正式な所有者は私になった)。

 ・・・・・・けど、まぁ。お兄様に疑われても仕方ないことくらいはしてる、のかしらね?

「でもでも、今回は私ほんとーに悪くないですよ?」

「ほーお。じゃあ、何があったんだ?」

「王子様 子ウサギ誘惑 抗えず そしてとうとう 婚約破棄」

「妹よ 一句詠んでも 妹よ 歌じゃわからん 普通に話せ」

「殿下が学園で噂のハイスペイケメン誘惑しまくり、子ウサギ系逆ハーレム作成美少女の毒牙にかかって、彼女を王子妃にするから婚約破棄してくれって言われました」

「あー、そうか・・・・・・慰め、いる?」

「いらない」

 別に落ち込んでないし。

「そっか! ならいい。まぁ、お前が婚約者に指名された時、俺も父さんも母さんもオニキスも、揃ってこの国もう終わりだって思ったからな! むしろ、良かったんじゃないか?」

 ・・・・・・何だろう。婚約破棄は嬉しいんだけど、家族の私に対する扱い、ちょっと雑過ぎない?
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