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第二十九話 覚悟
しおりを挟む「大好きだよ、お兄さん。」
神奈が口にした言葉に対して暁は
「…………神奈、」
「なに?」
「悪いけど、俺にはその気持ちに応えれないし、応える資格も無いんだよ。」
「な、なんでなの?」
「……まず、俺にはパートナーがいる、」
「知っているよ、ルシさんでしょ。でもね、問題はないんだよ、この世界には重婚があるから!」
「そ、そうか、だけどな俺は罪を償わなくちゃあならないんだ、神奈を殺してしまったという最大の過ちを。」
「お兄さん!それはもういいんだよ!」
「いや、ダメなんだよ!この罪は重いんだよ、家族のような存在だった神奈を死なせてしまった、それは許されない、俺の罪だ。」
神奈は俯いてしまった、そうしてポツリと呟た。
「家族、かぁ、お兄さんは私を女として見てくれないのかなぁ?」
「か、神奈?」
「ふ、ふふ、ふふふ、そうだ、わかったよ最初からこうすれば良かったんだ!」
「あ、あのぉ、神奈さん?」
「うん、やっぱりそうじゃないとね!そうしよう!」
「おーい、神奈さん?」
「決めたよ!お兄さん!」
「うおっ、な、何を?」
「私はお兄さんにね、ついていくことにしたの!」
「…………は?」
「やっぱりそれが一番良いかなって思ってさ、お兄さんが受け入れてくれないなら私から攻めていけば良いんだ!」
「いやいやいや、なんでそうなるんだよ?」
「だーかーらー、お兄さんが私をお嫁さんにしてくれるまでつきまとうことにしました!」
「お前はストーカーかよ!?」
「むぅ、失礼な、私はストーカーじゃなくて好きな人の後を追うだけだよ!」
「それを、ストーカーって言うんだよ!」
はぁ、と暁は疲れた顔をしていた。
「もういいや、どうしてもついて来たいならルシを説得できたらいいぞ。」
その言葉を聞いてパァァ!と顔を輝かせて、尻尾はブンブンと振られていた。
「うんっ!じゃあ説得してくる!」
「待て待て、もう夜遅いから明日にしろ。」
それが聞こえたかは知らないが足早に出て行ってしまった。
(まあ、ルシなら拒否するだろ、心配するだけ無駄だな。)
そうして、暁は再び寝始めた。
次の日
「…………」
「…………」
「おはようございます、お兄さん!」
俺たちはもう出発しようとして村を出て行こうとしたら、なぜか神奈がいた。
「おいルシ、お前許可したのか?」
「…………私も最初は拒んだ、だけど熱意に負けた。」
どうやらあの後ルシファーの部屋に突撃して夜通し説得したらしい、ルシファーも流石に拒否しきれなかったようだ。
「………まあいいや、神奈。」
「なんでしょうか、お兄さん?」
「お前は村はいいのか?」
「もう、お別れは済ませています。」
「俺たちの旅は危険と隣り合わせだ、また命をおとすかもしれないぞ?」
「私はそうなっても後悔しません!自分の身は自分で守ります!」
「俺はお前の気持ちに応えることはできないぞ?」
「そんなの関係ないです!私はお兄さんと結婚したい!そのエゴを貫き通します!」
「……………わかった、別について来たいならついてくるといい、俺はもう何も言わないよ。」
「うんっ!ありがとうお兄さん!」
こうして、俺たちの旅に新しい仲間が加わった。
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