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混沌を極める2学期
七十二話
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姫川は説明を求めるように再び瀬戸田に視線を向ける。しかし、瀬戸田は顔面蒼白で怯え切っており、とてもこの状況を説明できる状態になかった。
予想外すぎる展開に姫川自身も困惑していたが、
落ち着け。こいつのペースに巻き込まれてはダメだ!
と無理やり自分を落ち着かせた。
そして柏木を鋭い視線で睨み、唸った。
「なぜお前がここに居る?どういう事か説明しろ。」
「そんなボロボロの状態で凄まれても全然怖くないんだけど。それにここは元々俺の部屋だし、姫ちゃんにそんなこと言われる筋合いはないと思うな。」
姫川の最大限の威嚇も余裕で受け流し、柏木が楽しそうに歩み寄ろうとする。
その行動に姫川は警戒心を滲ませながらゆっくり後退った。
「シラを切るな。生徒会のメンバーはまだ会場にいるはずだろ。どうしてここにいる?」
慎重に間合いを取りながらも、姫川は柏木の真意を量ろうと質問を重ねた。
「もう姫ちゃんは知りたがりなんだから、困っちゃうな。生徒会の奴らには体調が悪いって嘘を吐いて抜けさせてもらったよ。だってこんな面白い状況、ほっとけないでしょ?史人が男達に犯されそうになった事や、姫ちゃんが怪我をした事を翔から聞いてさ。居ても立っても居られなくなってここまで来たんだよ。」
ただの世間話をするような軽さでそんな事を言う柏木の異様さが姫川には到底理解できなかった。
「面白い?ふざけるなよ!!俺のことは気に食わなかったとしても、瀬戸田は・・・瀬戸田はお前を信用して本当に頼っていたのに、そんな人間をどうして簡単に裏切ることができるんだ!瀬戸田がどんな辛い気持ちだったか・・・」
苦しげに姫川は眉を寄せる。信用していた柏木に裏切られ、男達にまで襲われた瀬戸田の気持ちを考えると、姫川は声を上げずにはいられなかった。
「はいはい。もう綺麗事はいいから。前にも言ったよね?姫ちゃんの偽善ぶった態度がムカつくって!」
柏木は姫川の必死の訴えをあっさり聞き流すと、そう言った。そして一気に距離を詰め、姫川の体を思いっきり突き飛ばした。
ダンっ!!
けたたましい音と共に姫川が床に倒れ込んだ。
「あ“っ!」
転んだ際に圭介に蹴られた腹が激しく痛み、自然に声が漏れる。それに加え、尻や背中も鈍く痛み、姫川のコンディションは最悪だった。
しかし痛みに冷や汗をかきながらも姫川は、楽しそうに自身を見下ろす男を睨みつける。
「ごめん。痛かった?でも突然の攻撃だったとしても、いつもの姫ちゃんなら受け身くらいとれるでしょ?」
確信犯のくせにとぼけたような態度の柏木を、しかしどうする事もできず苦々しく見つめ返す。
「あぁ、そっか。怪我してるんだったね。うっかり忘れてたよ。うわぁ、仰々しい包帯だね。そんなに痛いの?大丈夫?」
「やめっー」
嫌な予感がして、姫川は直ぐに柏木を制止しようとした。しかしそれよりも早く柏木は姫川の近くにしゃがみ込むと、包帯の上から足首を強く握りしめた。
「ぐっ! あぁぁ!」
針を何本も刺されたような激しい痛みに姫川は思わず叫んだ。
予想外すぎる展開に姫川自身も困惑していたが、
落ち着け。こいつのペースに巻き込まれてはダメだ!
と無理やり自分を落ち着かせた。
そして柏木を鋭い視線で睨み、唸った。
「なぜお前がここに居る?どういう事か説明しろ。」
「そんなボロボロの状態で凄まれても全然怖くないんだけど。それにここは元々俺の部屋だし、姫ちゃんにそんなこと言われる筋合いはないと思うな。」
姫川の最大限の威嚇も余裕で受け流し、柏木が楽しそうに歩み寄ろうとする。
その行動に姫川は警戒心を滲ませながらゆっくり後退った。
「シラを切るな。生徒会のメンバーはまだ会場にいるはずだろ。どうしてここにいる?」
慎重に間合いを取りながらも、姫川は柏木の真意を量ろうと質問を重ねた。
「もう姫ちゃんは知りたがりなんだから、困っちゃうな。生徒会の奴らには体調が悪いって嘘を吐いて抜けさせてもらったよ。だってこんな面白い状況、ほっとけないでしょ?史人が男達に犯されそうになった事や、姫ちゃんが怪我をした事を翔から聞いてさ。居ても立っても居られなくなってここまで来たんだよ。」
ただの世間話をするような軽さでそんな事を言う柏木の異様さが姫川には到底理解できなかった。
「面白い?ふざけるなよ!!俺のことは気に食わなかったとしても、瀬戸田は・・・瀬戸田はお前を信用して本当に頼っていたのに、そんな人間をどうして簡単に裏切ることができるんだ!瀬戸田がどんな辛い気持ちだったか・・・」
苦しげに姫川は眉を寄せる。信用していた柏木に裏切られ、男達にまで襲われた瀬戸田の気持ちを考えると、姫川は声を上げずにはいられなかった。
「はいはい。もう綺麗事はいいから。前にも言ったよね?姫ちゃんの偽善ぶった態度がムカつくって!」
柏木は姫川の必死の訴えをあっさり聞き流すと、そう言った。そして一気に距離を詰め、姫川の体を思いっきり突き飛ばした。
ダンっ!!
けたたましい音と共に姫川が床に倒れ込んだ。
「あ“っ!」
転んだ際に圭介に蹴られた腹が激しく痛み、自然に声が漏れる。それに加え、尻や背中も鈍く痛み、姫川のコンディションは最悪だった。
しかし痛みに冷や汗をかきながらも姫川は、楽しそうに自身を見下ろす男を睨みつける。
「ごめん。痛かった?でも突然の攻撃だったとしても、いつもの姫ちゃんなら受け身くらいとれるでしょ?」
確信犯のくせにとぼけたような態度の柏木を、しかしどうする事もできず苦々しく見つめ返す。
「あぁ、そっか。怪我してるんだったね。うっかり忘れてたよ。うわぁ、仰々しい包帯だね。そんなに痛いの?大丈夫?」
「やめっー」
嫌な予感がして、姫川は直ぐに柏木を制止しようとした。しかしそれよりも早く柏木は姫川の近くにしゃがみ込むと、包帯の上から足首を強く握りしめた。
「ぐっ! あぁぁ!」
針を何本も刺されたような激しい痛みに姫川は思わず叫んだ。
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