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混沌を極める2学期
五十八話
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立野と別れた姫川は急いで、立野が指差した倉庫へと走った。
元々気の弱そうな優しい瀬戸田があの3人と対峙してどうにかできるなど考え難い。
何も無いことに越したことはないが、立野によって危険な場所に1人きりにされた瀬戸田が姫川には心配で堪らなかった。
目的地である倉庫の辺りまで来た姫川は周囲を軽く見回すが男達の姿も瀬戸田の姿も見当たらなかった。
もしかしたら男達の出現を恐れてどこかに隠れているのかと茂みの裏や所々に生えている木陰などを探すが、それらしい人物は見当たらなかった。
瀬戸田の性格上立野の言葉を無視して勝手に立ち去ることはできないだろうと姫川は考えた。
そして、より集中して周囲に目を配らせた。すると、倉庫の扉付近でふと姫川の目が留まる。
ちょっとした違和感を感じてそちらを凝視した。
何かがおかしい。いつもとどこか違う気がする。
学園から寮までいつも何の気なしに通っている道なので、姫川自身も風景のようにその倉庫を見ていた。その為、なかなか違和感の正体に気づけず焦りだけが募る。
その時、
「%&&%%$$、%%##$%」
倉庫の方で人の声が微かに聞こえた気がした。
姫川が目を凝らすと入り口が少しだけ開いているのが見えた。
その瞬間、姫川はハッとする。姫川の感じた違和感。それは、倉庫の鍵が開いていることだった。
普段は倉庫の扉に大きめの南京錠がぶら下がっているのに、今はその鍵が姿を消し、扉の中央が少しだけ開いている。そしてその隙間から声が漏れてきていることに姫川は気がついたのだった。
直ぐに駆け寄り中に飛び入りたい気持ちを抑えて、姫川は取り敢えず、風紀のメンバーにメッセージを送った。
“寮と学園の間の古い倉庫。直ぐに来てくれ。”
短い文章をパパッと送信すると、姫川は直ぐに倉庫の方まで足を進める。
倉庫に近づくにつれ、微かに聞こえていた声が鮮明になっていった。
「やめてっ!お願いします!」
「ちょっとおとなしくしてろって!ジッとしてたら怪我もなくてすむからよ。」
「嫌っ!離して!」
瀬戸田の切羽詰まった声が聞こえ、続いてそれとは対照的に楽しそうな男の声がした。
その緊迫した状況に姫川は倉庫に駆け寄り、中を確認しようと扉の隙間を覗き込んだ。
そして目の前に繰り広げられている光景に体を硬直させた。
瀬戸田は3人の男達によって床に引き倒され、制服を剥ぎ取られていた。必死に抵抗しているが3人がかりではどうすることもできないようで、男達にされるがまま、体を弄られていた。
「うぅ・・・や、やめてぇ・・・誰か・・・」
シャツのボタンははずされ、その素肌を男達の手や口が縦横無尽に這い回っていた。
「ほら、下も脱いで。可愛がってあげるから。」
下卑た笑いでそう言いながら、1人の男がカチャカチャと瀬戸田のベルトに手をかけた。
「嫌だ!それだけはやめてっ!」
「やめてぇだって。可愛い。」
悲鳴にも近いその声にも男達は興奮するのか、手を止める気配はない。
余りの光景に動き出す事が出来なかった姫川だが、次の瞬間には怒りで手がブルブル震え始めた。
そして、
バンッ!!
とその怒りを示すように力任せに扉を開いたのだった。
元々気の弱そうな優しい瀬戸田があの3人と対峙してどうにかできるなど考え難い。
何も無いことに越したことはないが、立野によって危険な場所に1人きりにされた瀬戸田が姫川には心配で堪らなかった。
目的地である倉庫の辺りまで来た姫川は周囲を軽く見回すが男達の姿も瀬戸田の姿も見当たらなかった。
もしかしたら男達の出現を恐れてどこかに隠れているのかと茂みの裏や所々に生えている木陰などを探すが、それらしい人物は見当たらなかった。
瀬戸田の性格上立野の言葉を無視して勝手に立ち去ることはできないだろうと姫川は考えた。
そして、より集中して周囲に目を配らせた。すると、倉庫の扉付近でふと姫川の目が留まる。
ちょっとした違和感を感じてそちらを凝視した。
何かがおかしい。いつもとどこか違う気がする。
学園から寮までいつも何の気なしに通っている道なので、姫川自身も風景のようにその倉庫を見ていた。その為、なかなか違和感の正体に気づけず焦りだけが募る。
その時、
「%&&%%$$、%%##$%」
倉庫の方で人の声が微かに聞こえた気がした。
姫川が目を凝らすと入り口が少しだけ開いているのが見えた。
その瞬間、姫川はハッとする。姫川の感じた違和感。それは、倉庫の鍵が開いていることだった。
普段は倉庫の扉に大きめの南京錠がぶら下がっているのに、今はその鍵が姿を消し、扉の中央が少しだけ開いている。そしてその隙間から声が漏れてきていることに姫川は気がついたのだった。
直ぐに駆け寄り中に飛び入りたい気持ちを抑えて、姫川は取り敢えず、風紀のメンバーにメッセージを送った。
“寮と学園の間の古い倉庫。直ぐに来てくれ。”
短い文章をパパッと送信すると、姫川は直ぐに倉庫の方まで足を進める。
倉庫に近づくにつれ、微かに聞こえていた声が鮮明になっていった。
「やめてっ!お願いします!」
「ちょっとおとなしくしてろって!ジッとしてたら怪我もなくてすむからよ。」
「嫌っ!離して!」
瀬戸田の切羽詰まった声が聞こえ、続いてそれとは対照的に楽しそうな男の声がした。
その緊迫した状況に姫川は倉庫に駆け寄り、中を確認しようと扉の隙間を覗き込んだ。
そして目の前に繰り広げられている光景に体を硬直させた。
瀬戸田は3人の男達によって床に引き倒され、制服を剥ぎ取られていた。必死に抵抗しているが3人がかりではどうすることもできないようで、男達にされるがまま、体を弄られていた。
「うぅ・・・や、やめてぇ・・・誰か・・・」
シャツのボタンははずされ、その素肌を男達の手や口が縦横無尽に這い回っていた。
「ほら、下も脱いで。可愛がってあげるから。」
下卑た笑いでそう言いながら、1人の男がカチャカチャと瀬戸田のベルトに手をかけた。
「嫌だ!それだけはやめてっ!」
「やめてぇだって。可愛い。」
悲鳴にも近いその声にも男達は興奮するのか、手を止める気配はない。
余りの光景に動き出す事が出来なかった姫川だが、次の瞬間には怒りで手がブルブル震え始めた。
そして、
バンッ!!
とその怒りを示すように力任せに扉を開いたのだった。
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