風紀委員長は××が苦手

乙藤 詩

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混沌を極める2学期

五十四話

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姫川と対峙した後、男達は速やかに先程の教室から距離をとっていた。
「なぁ、圭介!何でこんなに慌てて逃げる必要があるんだよ!さっきの奴腹立つじゃん。一発くらいいれてやってもよかったのによ。」
先頭を歩く圭介という人物に後からついて行く男が不満を漏らす。
「お前らは気づかなかったのか?あれが葵の言ってた姫川だろ?今あいつと揉めるのは不味い。今までの段取りが全部パーになっちまう。とにかく今は風紀や他の奴らに見つかる前に姿を隠すしかない。
「・・・。」
圭介の言葉に納得したのか不満を言っていた男が黙った。するともう1人の男が口を開いた。
「確かに、圭介の言う通りかもな。俺たちは一度夏祭りの時にも失敗してる。あの時でさえ葵は相当な怒りようだったのに、こんな揉め事で今回の計画がダメになって更に怒りを買うなんてマジで真っ平ごめんだ。」
「そ、そうだな・・・」
先程まで不満を口にしていた男もその時の柏木の様子を思い出したのか顔を青くした。
「あぁ、そうだ。取り敢えず今は見つからないよう身を潜めてタイミングが来るのを待つしかないな。」
圭介がそう言うと、
「はぁ、もうちょっと遊びたかったのにな。」
と不貞腐れたように男が不満を漏らした。それを横目に見ながら再び圭介が言った。
「お前らが目立つような態度をとるからこうなるんだよ。まぁ、祭り気分は終わっちまったけど、姫川ってやつにいっぱい食わせる楽しみは残ってるからな。」
すると男2人は顔を見合わせ楽しそうに微笑んだ。
「あぁ、そうだったな。あの生意気な面が歪むまで俺たちで可愛がってやるぜ。」
「ったく悪趣味な奴。」
楽しげにそう話す男達はそのまま時が来るまでひっそりと身を隠すのだった。

「クソっ見つからないな・・・。」
秋が到来し風も冷たくなり、日中過ごしやすくなったといっても走り回った顎には汗が伝う。それを手の甲で拭いながら、あまりの歯痒さに姫川はそう呟いた。
あれから姫川は風紀委員のメンバーに連絡を取り手分けして男達の行方を追ってもらった。事態を重く見た姫川は教師陣にも協力をあおぎ、一緒に捜索をしてもらっている。
そして、姫川自身も最後に男達が逃げていったと牧瀬に教えられた方面をしらみつぶしに探していた。
しかし、30分以上経過した今も男達の足取りは掴めていない。
男達の目的が何かはわからなかったが、夏祭りの時、牧瀬を襲おうとした事もメイド喫茶で、風紀の腕章を見てあっさり引き下がったのも、何かしらの意図があるとしか考えられなかった。そうなるとやはり、あの場で取り逃した事を姫川は後悔せざるを得なかった。
「はぁぁ・・・」
自分の不甲斐なさに姫川が大きな溜息をこぼしたその時、
「何かお困りの事でもありましたか?」
と突然背後で声がした。
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