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混沌を極める2学期
四十四話
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反射的に清木も振り返り、その人物の名前を呼ぶ。
「正木先輩・・・」
正木は不機嫌さを隠そうともせず眉間に皺を寄せ、姫川を睨みつけていた。
正木のその顔に、声に、姫川の心臓がドクンッと大きく跳ねた。
ここ最近の正木は姫川の姿を見つけても直ぐに顔を逸らし、関わろうともしなかったくせにどういう風の吹き回しだと思わずにはいられない。
正木の横には口元に薄く笑みを浮かべた柏木と、気まずそうに視線を逸せる伊東がいた。
「なんとか言ったらどうだ?」
急に正木に話かけられたことで動揺した姫川が言葉を返せずにいると、焦れた正木が追い打ちをかけるようにそう言った。
「おい、やめろよ恭治。」
わざとらしく正木のそばに行き体を密着させて正木を宥めようとする柏木に姫川の劣等感が煽られる。
どうして必死で気持ちを抑えているのにそっとしといてくれないんだ。
わざわざ自分から声を掛けてくる正木の神経が分からなくて姫川の心は酷く乱された。だから、
「お前には関係ないだろ。俺に構わないでくれ。」
と突き放すような言い方をしてしまった。
正木の顔を見ると一瞬傷ついたような顔を見せた。その顔が直視できなくて姫川が視線を逸らす。
その様子を苦々しい顔で伊東が黙って見ていた。
最悪の空気に耐えられなくなり、姫川は次の会場に行こうと歩みを進めた。
「行くぞ。清木。」
そう清木に声を掛けると珍しく戸惑った様子で姫川についてきた。
背後にはいつまでも正木の鋭い視線を感じ、姫川を苦しめた。
「はぁぁ・・・」
少し離れた場所まで行き、完全に正木が見えなくなったところで、姫川が大きくため息を吐いた。
その様子を見て清木が姫川に声を掛ける。
「姫川先輩。大丈夫ですか?正木先輩って人に平気でああいうことを言う人でしたっけ?少なくとも生徒会の人達や姫川先輩には優しい方なのだと思っていました。」
2人の時以外はいつも無表情の清木の顔が不愉快そうに歪められていた。
「明日は文化祭であいつもそれなりに重圧もあってピリピリしてるんだろ。清木も気にしなくていい。」
姫川は努めて冷静にそう言うが、果たして今の動揺が表情に表れていないか内心ヒヤヒヤした。
あの冷たい言葉の裏で一瞬傷ついたような顔をした正木の姿が姫川の瞼に張り付いてなかなか消えてくれず、姫川は軽く拳を握った。
「そうですか。それはいらない心配をしてすみません。」
姫川の言葉にどう感じたかは分からなかったが、そう言った清木はすっかり無表情に戻っていた。
その後、残りの会場を2人で回った。
正木が登場するまではそれなりに和やかな雰囲気であったのにすっかり気まずい空気が姫川と清木の間に流れ、只、業務的に残りの会場を回った2人であった。
「正木先輩・・・」
正木は不機嫌さを隠そうともせず眉間に皺を寄せ、姫川を睨みつけていた。
正木のその顔に、声に、姫川の心臓がドクンッと大きく跳ねた。
ここ最近の正木は姫川の姿を見つけても直ぐに顔を逸らし、関わろうともしなかったくせにどういう風の吹き回しだと思わずにはいられない。
正木の横には口元に薄く笑みを浮かべた柏木と、気まずそうに視線を逸せる伊東がいた。
「なんとか言ったらどうだ?」
急に正木に話かけられたことで動揺した姫川が言葉を返せずにいると、焦れた正木が追い打ちをかけるようにそう言った。
「おい、やめろよ恭治。」
わざとらしく正木のそばに行き体を密着させて正木を宥めようとする柏木に姫川の劣等感が煽られる。
どうして必死で気持ちを抑えているのにそっとしといてくれないんだ。
わざわざ自分から声を掛けてくる正木の神経が分からなくて姫川の心は酷く乱された。だから、
「お前には関係ないだろ。俺に構わないでくれ。」
と突き放すような言い方をしてしまった。
正木の顔を見ると一瞬傷ついたような顔を見せた。その顔が直視できなくて姫川が視線を逸らす。
その様子を苦々しい顔で伊東が黙って見ていた。
最悪の空気に耐えられなくなり、姫川は次の会場に行こうと歩みを進めた。
「行くぞ。清木。」
そう清木に声を掛けると珍しく戸惑った様子で姫川についてきた。
背後にはいつまでも正木の鋭い視線を感じ、姫川を苦しめた。
「はぁぁ・・・」
少し離れた場所まで行き、完全に正木が見えなくなったところで、姫川が大きくため息を吐いた。
その様子を見て清木が姫川に声を掛ける。
「姫川先輩。大丈夫ですか?正木先輩って人に平気でああいうことを言う人でしたっけ?少なくとも生徒会の人達や姫川先輩には優しい方なのだと思っていました。」
2人の時以外はいつも無表情の清木の顔が不愉快そうに歪められていた。
「明日は文化祭であいつもそれなりに重圧もあってピリピリしてるんだろ。清木も気にしなくていい。」
姫川は努めて冷静にそう言うが、果たして今の動揺が表情に表れていないか内心ヒヤヒヤした。
あの冷たい言葉の裏で一瞬傷ついたような顔をした正木の姿が姫川の瞼に張り付いてなかなか消えてくれず、姫川は軽く拳を握った。
「そうですか。それはいらない心配をしてすみません。」
姫川の言葉にどう感じたかは分からなかったが、そう言った清木はすっかり無表情に戻っていた。
その後、残りの会場を2人で回った。
正木が登場するまではそれなりに和やかな雰囲気であったのにすっかり気まずい空気が姫川と清木の間に流れ、只、業務的に残りの会場を回った2人であった。
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