風紀委員長は××が苦手

乙藤 詩

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混沌を極める2学期

三十二話

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「お前らいい加減にしろよ。周りの人を傷つけて楽しそうに笑ってるんじゃない!」
山田を掴んでる襟元に自然に力が入る。首を圧迫される形になった山田は、顔を歪ませながらも人を揶揄うような態度を続けた。
「はぁ、ダメじゃん風紀委員長ともあろうものが、キレて生徒に手を出すなんて。」
「黙れ!」
そんな山田の言葉を姫川が一蹴する。
「おぉ、怖~い。」
それに反応して面白がるように後ろから柏木の声が聞こえた。そのふざけた様子にカーッと姫川の頭に血が昇る。
「馬鹿だなぁ、姫ちゃんは。そうやって直ぐムキになるから、俺たちにいい様にされちゃうんだよ。」
そう言うと柏木は山田を押し付けている壁に近づいてくると、姫川の背後に立ち、耳元で囁いた。
「姫ちゃんは知らないかも知れないけど、もう直ぐここに恭治が来るよ。2人で話したいかなっと思って、俺たちが呼んであげたんだ。」
嵌められた!
そうハッとして姫川は直ぐに山田の襟元を離すと、2人と距離を取ろうとした。しかし、その前に山田に腕を取られそのまま壁に押し付けられた。
側から見たら、姫川が山田に所謂壁ドンをしている形になる。
「離せっ!」
形勢が逆転した姫川は焦って、目の前の山田を睨む。
「さっきまであんなに怒ってたのに急に焦ってどうしたの?他の男といる所を恭治に見られたくないのかな?」
それを揶揄うように柏木が後ろで声を上げる。しかし、姫川もそれどころではなかった。只でさえ山田との関係を誤解されているのにこんな姿を見られたらもう今のような関係でいられなくなるかもしれない。それが今の姫川にはとてつもなく恐ろしかった。
「あっ、噂をすれば恭治が来たみたいだよ。」
柏木の言葉に姫川の心臓がドクッと跳ねた。渾身の力を入れて山田から離れようとするが、山田の力も強くなかなか離れることができない。
「いい加減にしろっ!」
そう山田に罵声を浴びせた瞬間、山田は握っていた姫川の手をパッと離した。そしてそのまま姫川の襟元を掴むと強引に唇を合わせた。
「!?っ」
流石に山田がそんな行動に出ると思っていなかった姫川は虚を突かれ一瞬驚きで動きを止めた。
それに気をよくしたのか山田はあろう事か自分の舌を姫川の口の中に侵入させた。
「んんっ!」
我に帰った姫川が必死に抵抗しようとするが、慣れない刺激と気持ち悪さに思うように抵抗が出来なくなる。
その間にも縦横無尽に動き回る山田の舌に姫川はただ翻弄される。段々と足に力が入らなくなり、体を支えようと自然に壁についた手に力が入る。
「お前ら何やってんだ?」
その時、後ろから正木の声がした。その声を聞いた途端姫川の心に絶望感が広がった。




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