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混沌を極める2学期
二十五話
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姫川が柏木の腕の中でジタバタと藻掻く。姫川も力が無いわけではないのに、どこにそんな力があるのかと恐ろしくなる。
「そんなに警戒しないでよ。恭治に無視されている姫ちゃんを俺が慰めてあげようとしてるんだから。」
ダメだ!相手にするな。
柏木の吐息までもを感じてしまうような距離で、過剰に反応しないよう、姫川は目を強く瞑りこの状況に耐える。
「でも、姫ちゃんも悪いよ。恭治の気持ちを知っときながら山田喜月とも仲良くしてるんだから。そりゃあ恭治だって嫌な気持ちになるでしょ。」
柏木の言葉でどうして正木が自分にあんな態度をとっていたのかを姫川は悟った。
「お前だったのか。正木にある事ない事吹き込んだのは。」
怒りで声が低くなるのを姫川は抑えられなかった。
しかし柏木は何が可笑しいのか笑いを耐えるように口を開く。
「くくっ、ねぇ姫ちゃん知ってる?たとえ俺が言ったことが嘘だろうと、恭治がそれを信じるならそれは真実になるんだよ。要するに、正木は姫ちゃんより俺を信用したってことだろ?」
柏木の言葉にガンッと頭を殴られたような衝撃を受ける。
正木の冷たい視線を思い出して、姫川は胸が苦しくなった。そして何より柏木の言葉に何も言い返せない自分に1番腹がたった。
「もしかして落ち込んでる?」
何も言い返さない姫川に楽しそうに柏木が声をかける。
「お前は・・・」
苦しそうに姫川が言葉を紡ぐ。
「何の為にこんなことをするんだ・・・お前のこと信用してる奴が沢山いるのそれを裏切って傷つけるようなことをするな。」
「・・・プッ・・・ははははっ」
姫川の言葉を聞いた柏木は少しの沈黙の後、何が可笑しいのか大声で笑い始めた。
「本当に偽善者だよなー姫ちゃんは。・・・俺はさぁ、そんな姫ちゃんを見てると本当にイライラするんだよ。」
柏木は狂気じみた声でそう言うと空いた方の手を姫川の首元に当てた。
「お、おいっ・・・」
ろくに抵抗できない姫川が思わず声を出そうとすると、その手にグッと力が籠る。
「ぐぅっ・・・」
息苦しくて姫川の口からくぐもった声が漏れた。
「生徒会の連中を手懐けた時も、累の時も、夏祭りの時もことごとく邪魔してくれたよな?」
段々と力が強くなる首元の手から逃れようと姫川が柏木の手を掴む。
「俺、我慢できないんだよ。自分のすることを邪魔されるのは。だから・・・姫ちゃんから潰すことにしたんだ。」
姫川の首を絞めながら心底楽しそうな声を出す柏木に恐怖を感じる。
「まぁ、でも簡単に潰したりしないから。時間を掛けてじっくりと2度と起き上がれないように痛ぶってあげるから。」
そう言うと柏木は突然姫川を突き飛ばすように解放した。
四つん這いに倒れた姫川は空気を求めて荒い呼吸を繰り返した。
「はぁ、ゲホッゲホッ・・・はぁ・・・やっぱり流も夏祭りの男達もお前が仕組んだことなんだな・・・」
姫川は苦しそうにしながらも体勢を整え、柏木に向き直った。
「そうだよ。本当は隠しておきたかったけど、姫ちゃん俺の事信じてくれないんだもん。だったら、嘘つく必要もないしな。それに姫ちゃんに知られたところでどうって事ないよ。だって俺と姫ちゃんだったら皆俺の言うことを信じると思うし。まぁ、姫ちゃんの事を信じるって言ったら、風紀の連中くらいだけど・・・たった5人で俺に盾突くのは無謀だと思うよ。誰かが怪我でもしたら大変だ。」
安に脅すような言い方に姫川の双眸が鋭くなる。
「だから、それが嫌だったら・・・黙って俺に喰われろよ。」
本当に今にも自分を捕食してしまいそうな目の前の男に姫川は寒気がする。しかし、意地でも相手の顔から目を離さなかった。
すると柏木はクククッと笑いながら姫川の横を通り過ぎていった。
「まぁ、精々そうやって強がってなよ。」
通りぎわにそう言った柏木の声が酷く姫川の頭に響いて、姫川は当分の間、そこから動くことが出来なかった。
「そんなに警戒しないでよ。恭治に無視されている姫ちゃんを俺が慰めてあげようとしてるんだから。」
ダメだ!相手にするな。
柏木の吐息までもを感じてしまうような距離で、過剰に反応しないよう、姫川は目を強く瞑りこの状況に耐える。
「でも、姫ちゃんも悪いよ。恭治の気持ちを知っときながら山田喜月とも仲良くしてるんだから。そりゃあ恭治だって嫌な気持ちになるでしょ。」
柏木の言葉でどうして正木が自分にあんな態度をとっていたのかを姫川は悟った。
「お前だったのか。正木にある事ない事吹き込んだのは。」
怒りで声が低くなるのを姫川は抑えられなかった。
しかし柏木は何が可笑しいのか笑いを耐えるように口を開く。
「くくっ、ねぇ姫ちゃん知ってる?たとえ俺が言ったことが嘘だろうと、恭治がそれを信じるならそれは真実になるんだよ。要するに、正木は姫ちゃんより俺を信用したってことだろ?」
柏木の言葉にガンッと頭を殴られたような衝撃を受ける。
正木の冷たい視線を思い出して、姫川は胸が苦しくなった。そして何より柏木の言葉に何も言い返せない自分に1番腹がたった。
「もしかして落ち込んでる?」
何も言い返さない姫川に楽しそうに柏木が声をかける。
「お前は・・・」
苦しそうに姫川が言葉を紡ぐ。
「何の為にこんなことをするんだ・・・お前のこと信用してる奴が沢山いるのそれを裏切って傷つけるようなことをするな。」
「・・・プッ・・・ははははっ」
姫川の言葉を聞いた柏木は少しの沈黙の後、何が可笑しいのか大声で笑い始めた。
「本当に偽善者だよなー姫ちゃんは。・・・俺はさぁ、そんな姫ちゃんを見てると本当にイライラするんだよ。」
柏木は狂気じみた声でそう言うと空いた方の手を姫川の首元に当てた。
「お、おいっ・・・」
ろくに抵抗できない姫川が思わず声を出そうとすると、その手にグッと力が籠る。
「ぐぅっ・・・」
息苦しくて姫川の口からくぐもった声が漏れた。
「生徒会の連中を手懐けた時も、累の時も、夏祭りの時もことごとく邪魔してくれたよな?」
段々と力が強くなる首元の手から逃れようと姫川が柏木の手を掴む。
「俺、我慢できないんだよ。自分のすることを邪魔されるのは。だから・・・姫ちゃんから潰すことにしたんだ。」
姫川の首を絞めながら心底楽しそうな声を出す柏木に恐怖を感じる。
「まぁ、でも簡単に潰したりしないから。時間を掛けてじっくりと2度と起き上がれないように痛ぶってあげるから。」
そう言うと柏木は突然姫川を突き飛ばすように解放した。
四つん這いに倒れた姫川は空気を求めて荒い呼吸を繰り返した。
「はぁ、ゲホッゲホッ・・・はぁ・・・やっぱり流も夏祭りの男達もお前が仕組んだことなんだな・・・」
姫川は苦しそうにしながらも体勢を整え、柏木に向き直った。
「そうだよ。本当は隠しておきたかったけど、姫ちゃん俺の事信じてくれないんだもん。だったら、嘘つく必要もないしな。それに姫ちゃんに知られたところでどうって事ないよ。だって俺と姫ちゃんだったら皆俺の言うことを信じると思うし。まぁ、姫ちゃんの事を信じるって言ったら、風紀の連中くらいだけど・・・たった5人で俺に盾突くのは無謀だと思うよ。誰かが怪我でもしたら大変だ。」
安に脅すような言い方に姫川の双眸が鋭くなる。
「だから、それが嫌だったら・・・黙って俺に喰われろよ。」
本当に今にも自分を捕食してしまいそうな目の前の男に姫川は寒気がする。しかし、意地でも相手の顔から目を離さなかった。
すると柏木はクククッと笑いながら姫川の横を通り過ぎていった。
「まぁ、精々そうやって強がってなよ。」
通りぎわにそう言った柏木の声が酷く姫川の頭に響いて、姫川は当分の間、そこから動くことが出来なかった。
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