風紀委員長は××が苦手

乙藤 詩

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混沌を極める2学期

二十三話

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4日間ほど続いた生徒会との企画書の選定も今日で終わりを迎えた。その間も正木は姫川と目を合わせることはなかった。
風紀のメンバーも今までと明らかに違う正木の態度に戸惑い、姫川に気遣いの声をかけていたが、その度に姫川は大丈夫としか言わないので、その内何も言えなくなった。
腫れ物と接するような態度で接してくる風紀委員のメンバーに申し訳なさを感じながらも、姫川自身対処の仕方が分からずただ時間だけが無常に過ぎていった。
「じゃあ、これで選定作業を終わろうと思う。今日、選ばれた38件の企画については、準備が出来次第、掲示板に張り出そうと思う。おそらく、明後日か明々後日には張り出せるはずだ。では、お疲れ様。」
連絡事項だけをササっと話すと、いつも通り正木は資料を片付け始めた。そんな正木の姿を見ているとまるで自分を拒絶されたような気になり、早々に生徒会室を後にした。
「はぁ、マジでなんなの?あの空気。」
心底嫌そうな顔で呟く三田に牧瀬が頷く。
「俺たちはたった4日だったからいいけど、生徒会の奴らは気の毒だな。」
佐々木も疲れた様子でそう同調した。
「皆、正木の様子を窺っている感じだったが、柏木だけはケロッとしていたな。」
珍しく庄司がそう言うとジッと姫川の方を見た。
「何だ?」
何か言いたげな庄司の顔に姫川が聞き返す。
「本当に正木と何もないのか?姫川とは特に顔を合わそうとしないし、柏木は時々嫌な目でお前を見てた。柏木かそれとも正木と何かあったんじゃないのか?」
ハッキリとそう伝えてくる庄司に何を返せば良いのか分からなくなる。他のメンバーもそう思っているようで庄司と同じような視線を姫川に向けた。
この前伊東も同じような事を言っていたな。
そう思い出した姫川だったが、やはり思い当たる節がなかった。これだけ周りは自分たちの事ばかり心配してくれているのに、姫川は正木とあれから話す機会を設けられずにいた。
ああなった時の正木の怖さを姫川も知っているからだ。
はぁぁぁ・・・
姫川は片手で顔を覆いながら、疲れたように呟いた。
「心配してくれてありがとう。俺も何でこんなことになったのか本当に分からないんだが。でも、このまま皆に気を遣わせるのも申し訳ないからな。一度きちんと話をしてみるよ。」
「ごめん。こうやって色々心配することが逆に姫川を追い詰めているのかもしれないけど、そんな顔のお前を放っておけないんだ。何かあったらいつでも力になるから。」
何時になくよく喋る庄司はそれだけ本気で姫川を心配しているようだった。
「柏木とは1人で絶対関わるなよ。本当に嫌な目つきでお前のこと何度も見てたんだ。」
佐々木が横から顔を顰めながらそう言った。
「あぁ、あいつとは俺も出来るだけ関わりたくない。関わる時は必ずお前達に相談する。」
その言葉に、風紀のメンバー全員ホッとした顔を見せた。
そして1人事情を知らない清木は口を挟みことなく興味深気にこの話を黙って聞いていたのだった。

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