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混沌を極める2学期
十三話
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眠気と戦いながら、なんとか放課後を迎えた姫川はその日佐々木に呼び出され、屋上に来ていた。
まだ佐々木は来ていなかった。
姫川はここに来ると正木が血を流していた光景を思い出す。あの時は無我夢中で対処したが、今考えると恐ろしい光景だったなと姫川は思う。
そして、今正木があの笑顔で自分の前に立っていることを素直に嬉しいと感じることが出来た。
そんなことを考えていると屋上の扉が不意に開いた。
そちらに目を遣ると、丁度佐々木が姫川の方に向かってやってくるところだった。
「ごめん。待った?」
少し小走りで自分の前までやってきた佐々木に姫川は首を振りながら答えた。
「いや、俺も今来たところだ。」
姫川がそう返すと、よかったと言いながら佐々木が資料を手渡してきた。
「こんな屋上に呼び出して悪かったな。でも姫川も他の人にあまり聞かれたくないだろうと思って・・・」
「いや、助かるよ。企画書に目を通すだけでも大変なのに、厄介な事を頼んで悪かったな。」
姫川はそう佐々木に素直に礼を言うと、手元の資料に目を通した。
そこには、写真付きで瀬戸田の最近の様子や、関わっている人物などが詳細に書かれていた。
佐々木を信頼して頼んだことには間違いないが、それでも丁寧に調べ上げられた資料を見て、姫川は改めて佐々木の能力の高さに驚かざるを得なかった。
「こんなんでよかった?」
「あぁ、寧ろ詳細すぎるぐらいだ。助かるよ。」
そう言うと佐々木が照れたのか頭を掻きながら口を開いた。
「瀬戸田は最近、別のクラスの生徒に頻繁に呼び出されているみたいだ。」
姫川が写真に目を遣ると、見た事のない生徒が瀬戸田と教室に入るところだった。
「空き教室や、鍵の閉まる場所に頻繁に連れ込まれている。実際に中で何が行われているかは分からないけど、瀬戸田は始終怯えた様子だったからあまりいい話ではないんだろうな。」
「暴力を振るわれたり、いじめに遭ったりしてるんじゃないのか?」
姫川が瀬戸田の体を見た時、痣や擦り傷がたくさんあったその光景を姫川は忘れることなど出来なかった。
「うーん、多分そういうのが発覚しないように見えないところを攻撃したり、わざわざ鍵のかかる場所に連れ込んだりしてるんだろうね。」
そう言うと、佐々木は姫川の手元の資料を取ると、ページをペラペラとめくり、姫川に渡してきた。それを見て姫川は目を見開く。
それは瀬戸田が体操服に着替えようとする時の写真で、その体にはやはり無数の痣が出来ていた。
瀬戸田は他の生徒にバレないよう、皆が教室移動をした後を見計らって着替えている様で、教室に他の生徒の姿はなかった。
「なんて酷いことを・・・」
そう呟きながら、姫川の眉間の皺が濃くなった。
「うん。俺もこれは早めに対処したほうがいいと思うよ。いつからこういう事が行われているのか。実際に本人に聞いて確かめるのが1番だと思うけど•••」
姫川は一度頷いて、佐々木の意見を肯定する。そしてゆっく。口を開いた。
「少なくとも夏休み前まではそんな様子はなかった。この件は俺が瀬戸田と話してみるよ。調べてくれてありがとう。」
その姫川の答えに佐々木が笑みを漏らす。
「いや、別にいいよ。姫川も気をつけろよ。もし何かあったらその時は必ず知らせて。」
佐々木の頼もしい言葉に姫川は軽く微笑みながら今度は力強く頷いた。
まだ佐々木は来ていなかった。
姫川はここに来ると正木が血を流していた光景を思い出す。あの時は無我夢中で対処したが、今考えると恐ろしい光景だったなと姫川は思う。
そして、今正木があの笑顔で自分の前に立っていることを素直に嬉しいと感じることが出来た。
そんなことを考えていると屋上の扉が不意に開いた。
そちらに目を遣ると、丁度佐々木が姫川の方に向かってやってくるところだった。
「ごめん。待った?」
少し小走りで自分の前までやってきた佐々木に姫川は首を振りながら答えた。
「いや、俺も今来たところだ。」
姫川がそう返すと、よかったと言いながら佐々木が資料を手渡してきた。
「こんな屋上に呼び出して悪かったな。でも姫川も他の人にあまり聞かれたくないだろうと思って・・・」
「いや、助かるよ。企画書に目を通すだけでも大変なのに、厄介な事を頼んで悪かったな。」
姫川はそう佐々木に素直に礼を言うと、手元の資料に目を通した。
そこには、写真付きで瀬戸田の最近の様子や、関わっている人物などが詳細に書かれていた。
佐々木を信頼して頼んだことには間違いないが、それでも丁寧に調べ上げられた資料を見て、姫川は改めて佐々木の能力の高さに驚かざるを得なかった。
「こんなんでよかった?」
「あぁ、寧ろ詳細すぎるぐらいだ。助かるよ。」
そう言うと佐々木が照れたのか頭を掻きながら口を開いた。
「瀬戸田は最近、別のクラスの生徒に頻繁に呼び出されているみたいだ。」
姫川が写真に目を遣ると、見た事のない生徒が瀬戸田と教室に入るところだった。
「空き教室や、鍵の閉まる場所に頻繁に連れ込まれている。実際に中で何が行われているかは分からないけど、瀬戸田は始終怯えた様子だったからあまりいい話ではないんだろうな。」
「暴力を振るわれたり、いじめに遭ったりしてるんじゃないのか?」
姫川が瀬戸田の体を見た時、痣や擦り傷がたくさんあったその光景を姫川は忘れることなど出来なかった。
「うーん、多分そういうのが発覚しないように見えないところを攻撃したり、わざわざ鍵のかかる場所に連れ込んだりしてるんだろうね。」
そう言うと、佐々木は姫川の手元の資料を取ると、ページをペラペラとめくり、姫川に渡してきた。それを見て姫川は目を見開く。
それは瀬戸田が体操服に着替えようとする時の写真で、その体にはやはり無数の痣が出来ていた。
瀬戸田は他の生徒にバレないよう、皆が教室移動をした後を見計らって着替えている様で、教室に他の生徒の姿はなかった。
「なんて酷いことを・・・」
そう呟きながら、姫川の眉間の皺が濃くなった。
「うん。俺もこれは早めに対処したほうがいいと思うよ。いつからこういう事が行われているのか。実際に本人に聞いて確かめるのが1番だと思うけど•••」
姫川は一度頷いて、佐々木の意見を肯定する。そしてゆっく。口を開いた。
「少なくとも夏休み前まではそんな様子はなかった。この件は俺が瀬戸田と話してみるよ。調べてくれてありがとう。」
その姫川の答えに佐々木が笑みを漏らす。
「いや、別にいいよ。姫川も気をつけろよ。もし何かあったらその時は必ず知らせて。」
佐々木の頼もしい言葉に姫川は軽く微笑みながら今度は力強く頷いた。
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