112 / 178
混沌を極める2学期
十話
しおりを挟む
姫川は風紀委員室で頭を抱えていた。今は放課後だが、日中の授業も殆ど上の空で、気がつけば昨日の正木との行為を思い出していた。
何であんな事をっ!
後悔が自分の中に押し寄せる。流されてしまったとはいえ、自らが正木のモノを握り達するなどという行為をしてしまった自分を姫川は未だに信じられない。
不思議と嫌悪感はなく、代わりにいつもは見せない正木の眉根を寄せた野生的で魅惑的なその顔に魅入ってしまっていた。
昨日の正木の顔を思い浮かべ、姫川の心臓がドクリッと音を立てた。
それを誤魔化すように姫川は首を左右に振った。
そして今日、何度目かもわからない長いため息を漏らした。
「今までの幸運が全部逃げそうなため息だな。」
佐々木が部屋に入ってきたことに、その声を聞いて初めて気がついた。
「何?また問題事?」
佐々木が姫川に近寄りながら話しかけてくる。
「いや、別に。プライベートな事だ。」
「へぇ、プライベートねぇ。それって正木の事だったりして。」
鋭い佐々木の言葉に姫川の目が驚きに見開かれた。
「なっなっ何を・・・」
焦って意味のある言葉を発せなくなった姫川を見て、佐々木が吹き出す。
「ははっ!わかりやすっ!いつも仏頂面なのに、そんな反応したらそうですって言ってるようなもんだからね。昨日たまたま正木が姫川の部屋に入るのを見たんだよ。まさかとは思ったけどまさかねぇ・・・」
含みのある佐々木の言い方に姫川は目線を下げ、赤くなる顔を見られないようにするだけで必死だった。
「別に好き同士ならいいじゃん。そんなに恥ずかしがらなくても。この学校では珍しいことでもないよ。まぁ相手が正木っていうのには驚いたけど。」
何でもないことの様にいう佐々木を、姫川が恨めしそうな顔で見る。
「別に好き同士っていう関係じゃない。」
そう言うと佐々木は目を丸くした。
「えっ?付き合ってもないのに、そんな恥ずかしがる様なことをしちゃうなんて、姫川って結構穢れてるんだね。」
「穢れてる・・・」
佐々木の言ったことに大きなショックを受けた姫川が呆然と言葉を繰り返した。
今まで中学の友達などに奥手奥手とは言われてきたが、穢れてるなどと言われたのは初めてだった。
あからさまにショックを受けている姫川を見て佐々木は揶揄いすぎたと反省した。
なんとなく今までの姫川の様子からこう言った話題が苦手なのは知っていたが、あまりに過剰に反応する姫川が面白くて遂揶揄ってしまった。
しかし、結果姫川は目の前で佐々木に穢れてると言われて、魂が抜けた様になっている。
「言い過ぎた。悪かったよ。もし正木が無理に姫川に何かしてるんだったら、俺も力になるよ。」
佐々木の言葉に何とか気持ちを立て直した姫川が口を開いた。
「いや、大丈夫だ。これはきちんと自分で答えを出さないといけないことだから。」
正木の事を思い出しているのか、その表情はいつもより優しく見えて、佐々木は苦笑する。
案外姫川も正木のことが好きになってるんじゃないのか。
姫川のその表情を見て佐々木はそう思わずにはいられなかった。
何であんな事をっ!
後悔が自分の中に押し寄せる。流されてしまったとはいえ、自らが正木のモノを握り達するなどという行為をしてしまった自分を姫川は未だに信じられない。
不思議と嫌悪感はなく、代わりにいつもは見せない正木の眉根を寄せた野生的で魅惑的なその顔に魅入ってしまっていた。
昨日の正木の顔を思い浮かべ、姫川の心臓がドクリッと音を立てた。
それを誤魔化すように姫川は首を左右に振った。
そして今日、何度目かもわからない長いため息を漏らした。
「今までの幸運が全部逃げそうなため息だな。」
佐々木が部屋に入ってきたことに、その声を聞いて初めて気がついた。
「何?また問題事?」
佐々木が姫川に近寄りながら話しかけてくる。
「いや、別に。プライベートな事だ。」
「へぇ、プライベートねぇ。それって正木の事だったりして。」
鋭い佐々木の言葉に姫川の目が驚きに見開かれた。
「なっなっ何を・・・」
焦って意味のある言葉を発せなくなった姫川を見て、佐々木が吹き出す。
「ははっ!わかりやすっ!いつも仏頂面なのに、そんな反応したらそうですって言ってるようなもんだからね。昨日たまたま正木が姫川の部屋に入るのを見たんだよ。まさかとは思ったけどまさかねぇ・・・」
含みのある佐々木の言い方に姫川は目線を下げ、赤くなる顔を見られないようにするだけで必死だった。
「別に好き同士ならいいじゃん。そんなに恥ずかしがらなくても。この学校では珍しいことでもないよ。まぁ相手が正木っていうのには驚いたけど。」
何でもないことの様にいう佐々木を、姫川が恨めしそうな顔で見る。
「別に好き同士っていう関係じゃない。」
そう言うと佐々木は目を丸くした。
「えっ?付き合ってもないのに、そんな恥ずかしがる様なことをしちゃうなんて、姫川って結構穢れてるんだね。」
「穢れてる・・・」
佐々木の言ったことに大きなショックを受けた姫川が呆然と言葉を繰り返した。
今まで中学の友達などに奥手奥手とは言われてきたが、穢れてるなどと言われたのは初めてだった。
あからさまにショックを受けている姫川を見て佐々木は揶揄いすぎたと反省した。
なんとなく今までの姫川の様子からこう言った話題が苦手なのは知っていたが、あまりに過剰に反応する姫川が面白くて遂揶揄ってしまった。
しかし、結果姫川は目の前で佐々木に穢れてると言われて、魂が抜けた様になっている。
「言い過ぎた。悪かったよ。もし正木が無理に姫川に何かしてるんだったら、俺も力になるよ。」
佐々木の言葉に何とか気持ちを立て直した姫川が口を開いた。
「いや、大丈夫だ。これはきちんと自分で答えを出さないといけないことだから。」
正木の事を思い出しているのか、その表情はいつもより優しく見えて、佐々木は苦笑する。
案外姫川も正木のことが好きになってるんじゃないのか。
姫川のその表情を見て佐々木はそう思わずにはいられなかった。
34
お気に入りに追加
371
あなたにおすすめの小説
学園の天使は今日も嘘を吐く
まっちゃ
BL
「僕って何で生きてるんだろ、、、?」
家族に幼い頃からずっと暴言を言われ続け自己肯定感が低くなってしまい、生きる希望も持たなくなってしまった水無瀬瑠依(みなせるい)。高校生になり、全寮制の学園に入ると生徒会の会計になったが家族に暴言を言われたのがトラウマになっており素の自分を出すのが怖くなってしまい、嘘を吐くようになる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿です。文がおかしいところが多々あると思いますが温かい目で見てくれると嬉しいです。
残業リーマンの異世界休暇
はちのす
BL
【完結】
残業疲れが祟り、不慮の事故(ドジともいう)に遭ってしまった幸薄主人公。
彼の細やかな願いが叶い、15歳まで若返り異世界トリップ?!
そこは誰もが一度は憧れる魔法の世界。
しかし主人公は魔力0、魔法にも掛からない体質だった。
◯普通の人間の主人公(鈍感)が、魔法学校で奇人変人個性強めな登場人物を無自覚にたらしこみます。
【attention】
・Tueee系ではないです
・主人公総攻め(?)
・勘違い要素多分にあり
・R15保険で入れてます。ただ動物をモフッてるだけです。
★初投稿作品
僕の兄は◯◯です。
山猫
BL
容姿端麗、才色兼備で周囲に愛される兄と、両親に出来損ない扱いされ、疫病除けだと存在を消された弟。
兄の監視役兼影のお守りとして両親に無理やり決定づけられた有名男子校でも、異性同性関係なく堕としていく兄を遠目から見守って(鼻ほじりながら)いた弟に、急な転機が。
「僕の弟を知らないか?」
「はい?」
これは王道BL街道を爆走中の兄を躱しつつ、時には巻き込まれ、時にはシリアス(?)になる弟の観察ストーリーである。
文章力ゼロの思いつきで更新しまくっているので、誤字脱字多し。広い心で閲覧推奨。
ちゃんとした小説を望まれる方は辞めた方が良いかも。
ちょっとした笑い、息抜きにBLを好む方向けです!
ーーーーーーーー✂︎
この作品は以前、エブリスタで連載していたものです。エブリスタの投稿システムに慣れることが出来ず、此方に移行しました。
今後、こちらで更新再開致しますのでエブリスタで見たことあるよ!って方は、今後ともよろしくお願い致します。
ある意味王道ですが何か?
ひまり
BL
どこかにある王道学園にやってきたこれまた王道的な転校生に気に入られてしまった、庶民クラスの少年。
さまざまな敵意を向けられるのだが、彼は動じなかった。
だって庶民は逞しいので。
継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したから継母退治するぜ!
ミクリ21 (新)
BL
継母から虐待されて死ぬ兄弟の兄に転生したダンテ(8)。
弟のセディ(6)と生存のために、正体が悪い魔女の継母退治をする。
後にBLに発展します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる