風紀委員長は××が苦手

乙藤 詩

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混沌を極める2学期

二話

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始業式は滞りなく終わった。
終業式の時とは違い、姫川が登壇する事もないのでクラスの場所で校長や正木が壇上で話すのを聞いた。
大勢が体育館に集まる中、自分のことなど見つけられる筈もないのに、正木が登壇中何度も自分を見ている気がして姫川はなんだか落ち着かない気持ちになった。
そんな事もあり若干の疲労を感じて姫川は3年の教室に戻った。
次の授業までまだ時間があるので適当に自分の席で時間を潰していると、そこに山田喜月がやってきた。
今までテスト期間以外は殆ど話す事もなかった去年までの同室者はどういうわけか朝からやたらと絡んでくる。
「姫川、今日昼飯一緒に食お?」
姫川の腕を取りながら気安く話しかけてくる男を胡乱げに姫川が見つめる。
「お前、何を企んでるんだ?本当は俺とご飯を食べたいなんて思ってないだろ?」
山田が興味があるのは自分に利のある人間だけ。何もないのに姫川と関わろうとするとは思えなかった。
「別に。最近は色々な人と仲良いみたいだし、俺も混ぜてもらいたいって思っただけだよ。特に生徒会長とは、今日の朝も親密だったらしいな。」
そう言って顔に伸ばそうとした山田の手を姫川が邪険に振り払う。
「そんな嘘、誰が信じるっていうんだ?今朝のだって只あいつの服装を正してただけだ。それ以外に意味はない。」
そう言うと、姫川は立ち上がり山田に鋭い視線を送る。そしてそのまま教室を後にした。
その後ろ姿を山田がジッと眺めている。
「はぁ、やたらと噛みつきやがって。面倒くさいなぁ。」
呟くように言う山田は、口元に僅かに笑みを浮かべていた。

廊下を歩きながら、姫川は思わずため息を吐く。教室ぐらいはゆっくり過ごしたかったが、やたらと山田が絡んで来たためそれも叶わなかった。
「あいつどういうつもりだ?」
確かに夏休み前までは、態度も変わらなかったが新学期が始まって明らかに態度を一変させた。そんな山田に姫川は警戒心を抱く。
同室だった時でさえ殆ど関わらなかった相手だ。今更関わろうとする理由がない。
そう考えて、姫川は表情を険しくさせた。
「出来るだけ距離を置くしかないな。」
そう呟くと、行く当てもなくブラブラ歩きながら、次の授業までの時間を潰すしかなかった。
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