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高校最後の夏休み
十九話
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「お前、また来たのかよ。」
次の日、祖母の代わりに店番をしていると正木がやってきた。その姿に姫川が顔を引き攣らせる。昨日の今日で若干の気恥ずかしさもあるからだ。
「あぁ、ちょっとでも顔を出してお前にアピールしとかなきゃな。」
そんな正木の言葉を聞いて、姫川は呆れるしかなかった。
「はぁ、お前って自意識過剰で俺様なのかと思ってたけど、意外に健気で努力家なんだな。」
「それって褒められてんの?なんかバカにされているようにしか聞こえないんだけど・・・」
正木の不満そうな顔が面白くて姫川が笑う。その顔を正木も嬉しそうに眺めた。
そして、なんだかんだと姫川は正木を受け入れていった。
正木が姫川の家に通うようになってから1週間以上が経とうとしていた。
姫川の祖母にも好かれた正木は頻繁に晩御飯に誘われ、その度に食べて帰っていた。そうなると必然的に泊まることも増え、その度に正木は姫川に手を出した。
この日も例外ではなかった。
「お前、横になるたびに手を出すな。俺はまだお前の気持ちに応えてないだろうが。」
正木が伸ばす手から必死に逃げながら姫川が抗議の言葉を口にする。
「いや、こういう事にも少しずつ慣れていかないと、恋愛どころじゃないだろ。俺が手伝ってやるって!」
「そんな手伝いいるかっ!」
今にもズボンと下着を脱がしに掛かろうとする正木の肩口を姫川が足で蹴飛ばした。
「痛っ!ったくこんなんじゃ付き合えたとしても一生最後まで出来ないぞ。」
「??」
正木のその言葉に姫川は首を傾げる。
「まさかお前、セックスのやり方も知らないのか?」
「セッ!?お、俺だってそれくらい知ってる。でも男同士では出来ないだろ!」
正木が恥ずかしげもなく言う言葉に顔を赤くしながらなんとか姫川が返す。しかし姫川の返しを聞いて正木がニヤニヤ笑い出した。
「なんだ?お前男同士のやり方を知らないのか。」
そう言うと正木は姫川に近寄る。何となく答えを聞きたくなくて姫川が後退る。
「男同士でやる時はな・・・」
そう言うと正木は姫川の襟元を捕まえて、グッと自分の方に引き寄せると耳元で囁いた。
その言葉を聞いて姫川の顔がみるみる青くなった。
「う、嘘だろ・・・」
姫川の絞り出すような声に正木はクスッと笑うとあっさり姫川を離した。
「っな?お前にはハードルが高いだろ?だから今からちょっとずつ練習しとかないと。」
「だ、だとしてもだ。何で俺がお前の為に頑張らないといけないんだよ。お前が俺を好きなんだから、お前が頑張ればいいだろ。」
完全に混乱した姫川は自分が今何を言っているかもよく分からない状態で取り敢えず正木に言い返す。
「えっ?お前俺のケツに突っ込みたいの?」
しかし正木から帰ってきた答えは余りにも的外れだった。
「そんな訳あるか!」
夜の部屋で姫川の大声が室内に響き渡った。
次の日、祖母の代わりに店番をしていると正木がやってきた。その姿に姫川が顔を引き攣らせる。昨日の今日で若干の気恥ずかしさもあるからだ。
「あぁ、ちょっとでも顔を出してお前にアピールしとかなきゃな。」
そんな正木の言葉を聞いて、姫川は呆れるしかなかった。
「はぁ、お前って自意識過剰で俺様なのかと思ってたけど、意外に健気で努力家なんだな。」
「それって褒められてんの?なんかバカにされているようにしか聞こえないんだけど・・・」
正木の不満そうな顔が面白くて姫川が笑う。その顔を正木も嬉しそうに眺めた。
そして、なんだかんだと姫川は正木を受け入れていった。
正木が姫川の家に通うようになってから1週間以上が経とうとしていた。
姫川の祖母にも好かれた正木は頻繁に晩御飯に誘われ、その度に食べて帰っていた。そうなると必然的に泊まることも増え、その度に正木は姫川に手を出した。
この日も例外ではなかった。
「お前、横になるたびに手を出すな。俺はまだお前の気持ちに応えてないだろうが。」
正木が伸ばす手から必死に逃げながら姫川が抗議の言葉を口にする。
「いや、こういう事にも少しずつ慣れていかないと、恋愛どころじゃないだろ。俺が手伝ってやるって!」
「そんな手伝いいるかっ!」
今にもズボンと下着を脱がしに掛かろうとする正木の肩口を姫川が足で蹴飛ばした。
「痛っ!ったくこんなんじゃ付き合えたとしても一生最後まで出来ないぞ。」
「??」
正木のその言葉に姫川は首を傾げる。
「まさかお前、セックスのやり方も知らないのか?」
「セッ!?お、俺だってそれくらい知ってる。でも男同士では出来ないだろ!」
正木が恥ずかしげもなく言う言葉に顔を赤くしながらなんとか姫川が返す。しかし姫川の返しを聞いて正木がニヤニヤ笑い出した。
「なんだ?お前男同士のやり方を知らないのか。」
そう言うと正木は姫川に近寄る。何となく答えを聞きたくなくて姫川が後退る。
「男同士でやる時はな・・・」
そう言うと正木は姫川の襟元を捕まえて、グッと自分の方に引き寄せると耳元で囁いた。
その言葉を聞いて姫川の顔がみるみる青くなった。
「う、嘘だろ・・・」
姫川の絞り出すような声に正木はクスッと笑うとあっさり姫川を離した。
「っな?お前にはハードルが高いだろ?だから今からちょっとずつ練習しとかないと。」
「だ、だとしてもだ。何で俺がお前の為に頑張らないといけないんだよ。お前が俺を好きなんだから、お前が頑張ればいいだろ。」
完全に混乱した姫川は自分が今何を言っているかもよく分からない状態で取り敢えず正木に言い返す。
「えっ?お前俺のケツに突っ込みたいの?」
しかし正木から帰ってきた答えは余りにも的外れだった。
「そんな訳あるか!」
夜の部屋で姫川の大声が室内に響き渡った。
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