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嵐のような怒涛の1学期
自覚と困惑
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姫川が去った後の部屋で、正木はソファに座って項垂れていた。姫川の一言で自分の気持ちを自覚してしてしまった。
1年生の頃から正木は姫川が嫌いだった。家柄も申し分ない上に、誰も寄せ付けないような冷たい態度と、文武両道で隙のないあの男が最初から気に入らなかった。
だから姫川にだけは負けないよう、この2年間必死で努力してきた。あいつより上に立っている事だけが一般家庭で育った正木にとって唯一優越感を感じられる所だった。
1年生の冬、初めて姫川よりいい成績を取って一位になった。正木は姫川の悔しがる顔を見るのが何よりも楽しみだった。しかし、姫川は貼り出された成績順位を一瞬一瞥すると無表情に去って行った。
どこまでいっても姫川の目に自分が写る事はないと正木はその時拳を握り締めた。
3年になっても関係は相変わらずで、犬猿の仲と呼ぶのも憚られる程関係は冷めきっていた。
しかし、姫川の体質を知ってからはその印象は大きく変わった。正木の一挙手一投足に顔を赤らめる姫川が面白くて堪らなかった。他の人が知らない姫川の一面を自分だけが知っている事に背徳感や高揚感も感じていた。揶揄うと素直に反応を返す姫川に正木は興味を持った。
単純に興味を持っただけだったのになぁ•••
正木は先程の姫川の顔を思い出した。
いつもは仏頂面で感情を示すことは殆どないのに、その顔を真っ赤にして、少し瞳を潤ませて•••
思い返しただけで、心臓が高鳴る。
「クソが!重症じゃねぇか。」
ポソリと呟くように言うと、はぁぁぁと大きな溜息を吐きながら、ソファに凭れ掛かり天井を見上げた。
姫川は足早に自室に戻ると、早々に扉を閉めた。そしてそのままズルズルと扉の前に座り込む。少し経っても鼓動が早鐘を打ったまま落ち着く気配をみせない。
「くそっ!」
姫川は吐き捨てるように言うと、乱暴に唇を腕で擦った。正木の唇の感触が頭から離れない。
「あいつ、あんなに怒るくらい柏木の事が好きなら俺になんか構わなければいいのに。」
最近の正木は、ふざけた態度で姫川を揶揄って楽しでいる様子だったが、先程の怒りに満ちた正木の態度は姫川に恐怖を抱かせた。それは風紀委員室で正木が姫川を押し倒した時も同じだ。あの表情で正木に詰め寄られると、それだけで体が竦んで動かなくなる。
姫川の頭を掴む力強い手、正木の舌の感触、下半身を這う手。なかなか頭から離れない先程の行為に、姫川は強く目を瞑る。
何とか姫川の放った一言で落ち着いた正木だが、あのまま何も言えなかったら自分はどうなっていたんだろうと思うと、姫川は恐怖でブルっと体を震わせた。
あいつの考えてることがさっぱりわからない。
そう考えながら姫川は自分の膝に頭を乗せる。
まさか正木が自分に好意を抱いているとは思ってもいない姫川は只々正木の行動に戸惑うだけだった。
1年生の頃から正木は姫川が嫌いだった。家柄も申し分ない上に、誰も寄せ付けないような冷たい態度と、文武両道で隙のないあの男が最初から気に入らなかった。
だから姫川にだけは負けないよう、この2年間必死で努力してきた。あいつより上に立っている事だけが一般家庭で育った正木にとって唯一優越感を感じられる所だった。
1年生の冬、初めて姫川よりいい成績を取って一位になった。正木は姫川の悔しがる顔を見るのが何よりも楽しみだった。しかし、姫川は貼り出された成績順位を一瞬一瞥すると無表情に去って行った。
どこまでいっても姫川の目に自分が写る事はないと正木はその時拳を握り締めた。
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しかし、姫川の体質を知ってからはその印象は大きく変わった。正木の一挙手一投足に顔を赤らめる姫川が面白くて堪らなかった。他の人が知らない姫川の一面を自分だけが知っている事に背徳感や高揚感も感じていた。揶揄うと素直に反応を返す姫川に正木は興味を持った。
単純に興味を持っただけだったのになぁ•••
正木は先程の姫川の顔を思い出した。
いつもは仏頂面で感情を示すことは殆どないのに、その顔を真っ赤にして、少し瞳を潤ませて•••
思い返しただけで、心臓が高鳴る。
「クソが!重症じゃねぇか。」
ポソリと呟くように言うと、はぁぁぁと大きな溜息を吐きながら、ソファに凭れ掛かり天井を見上げた。
姫川は足早に自室に戻ると、早々に扉を閉めた。そしてそのままズルズルと扉の前に座り込む。少し経っても鼓動が早鐘を打ったまま落ち着く気配をみせない。
「くそっ!」
姫川は吐き捨てるように言うと、乱暴に唇を腕で擦った。正木の唇の感触が頭から離れない。
「あいつ、あんなに怒るくらい柏木の事が好きなら俺になんか構わなければいいのに。」
最近の正木は、ふざけた態度で姫川を揶揄って楽しでいる様子だったが、先程の怒りに満ちた正木の態度は姫川に恐怖を抱かせた。それは風紀委員室で正木が姫川を押し倒した時も同じだ。あの表情で正木に詰め寄られると、それだけで体が竦んで動かなくなる。
姫川の頭を掴む力強い手、正木の舌の感触、下半身を這う手。なかなか頭から離れない先程の行為に、姫川は強く目を瞑る。
何とか姫川の放った一言で落ち着いた正木だが、あのまま何も言えなかったら自分はどうなっていたんだろうと思うと、姫川は恐怖でブルっと体を震わせた。
あいつの考えてることがさっぱりわからない。
そう考えながら姫川は自分の膝に頭を乗せる。
まさか正木が自分に好意を抱いているとは思ってもいない姫川は只々正木の行動に戸惑うだけだった。
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