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嵐のような怒涛の1学期
変わる2人の関係
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「悪かった•••」
沈黙の中、ボソッと正木が呟いた。
「お前にテラスで言われたこと、まぁ正論だよな。でもお前の指示で動くのがどうしても嫌で伊東の事は気になりつつも結局放置しちまった。」
姫川は正木の話を静かに聞いていた。
「実は昨日、仕事の進捗状況が気になって生徒会室に行ったんだ。そしたら、お前たちが伊東と作業してて、伊東も姫川を受け入れていて、それを見たらなんか我慢できなくなった。」
「お前が俺の事を嫌っている事は知っていた。でもだからってこんな事・・・」
姫川が苦しそうに眉間に皺を寄せる。
「お前も知ってると思うけど、俺一般家庭出身なんだよね。」
急に話が変わった事で姫川が正木の方を見る。
「一年の時から、色々なやつに馬鹿にされてきたよ。一般人のくせにってな。」
姫川は目を丸くする。そんな話は聞いた事なかった。
「そいつら見返したくてこの2年、頑張ってきたんだよな。で、成績一位をとっていざ生徒会長になったら、急に手のひら返してくるんだよ。そういう奴らに限って。」
忌々しそうに髪を掻き上げながら正木が悪態をつく。
「それが俺とどういう関係があるんだ?」
心底わからないという様に姫川が聞き返す。
「お前の俺たちを見る目が、俺を馬鹿にしてきた奴らと同じに見えてた。」
「そうだったのか•••」
それが理由であんな態度だったのか。と納得はするものの、姫川はやはり少しショックをうけた。
「でも俺はお前たちを馬鹿にしたり、見下した事はない。それは本当に嘘じゃない。確かに目つきが悪いのは認めるが。それに俺は正木が一般家庭出身だと今知った。」
「はっ?」
姫川の言葉に正木が驚いた様子で返す。
「嘘だろ?結構有名な話だと自分でも思っていたが•••姫川って本当に俺たちに興味ないのな。」
「別に誰がどこの家庭で育とうが関係ないな。それに俺にそんな感情を抱くのはお門違いだろ。俺はお前ほど成績もよくない。」
「だからだろ!一般家庭出身者如きがと思われてると思ってた。」
はぁぁぁ、と姫川が大きな溜息を吐いた。
「そんな事思う訳ないだろ。テラスでの事だって別に俺は正木達を馬鹿にしたわけじゃない。只、自分のやるべき事を放棄して遊び回っていることに腹が立っただけだ。」
「それに関しては反省してる。」
やけにしおらしく正木が謝る。そんな正木を見ながら姫川が言う。
「お前、これからどうするつもりなんだ。親衛隊の事も、生徒会の事も。」
「流石に今回はマジでやばいと俺も思ってる。柏木と過ごす時間が心地よくてついな。取り敢えず伊東には謝って、これからは風紀にも迷惑かけない様精進します。」
「やけに素直だな。」
そう言ったあと、姫川はふと疑問に思った事を正木に尋ねた。
「ところで正木や他の奴らも何でそんなに柏木に執着するんだ?」
柏木の話を出した途端、正木の表情が和らぐ。
「あいつは俺の事を一般家庭出身だからとか、生徒会長だからとか、そういう色眼鏡で一切見ないからな。誰にでも同じ態度で接することができる。あの、歳明治の息子だぞ。そういう部分に俺は惹かれたんだと思う。」
正木は一般家庭出身ということに、物凄いコンプレックスを抱えていたのだということに姫川はこの時初めて気づいた。
「そうか•••生徒会の他の連中も柏木が歳明治の息子だって知ってるのか?」
知ってたら、他の生徒会役員が柏木に夢中なのも頷けた。
「いや、まさか言うはずねぇ。でも、皆誰でも劣等感の一つや二つ抱えてるからな。あいつらも柏木と接したことで救われた事があったんじゃないか?」
歳明治の息子だと知っているのは当初の3人だけだと、改めて知って姫川は安心した。それと同時に、柏木がこれ程までに生徒会の面々から好かれていることに驚いた。少しの間柏木の事を考えていると、じっと姫川を見る正木の視線とぶつかった。
「なんだ?」
「いや、でもまさか姫川があんな反応をするとは思ってもみなかった。」
と、少しニヤついた顔で正木が言った。
「なっ!お前あんな事しといて、よくそんな顔できるな。」
信じられないと言う様に姫川が正木を見る。
「だって!信じられないだろ?あの姫川があんな
な初々しい反応。」
「誰だって、急にあんな事されたら取り乱すだろ!」
自分の反応を馬鹿にされてる気がして姫川が語気を荒げる。
「いや、怒るなって。俺は心配してんの。いつも冷徹で無表情のお前があんな態度とったら、もしそれを他の奴に知られたら、お前襲われちまうぞ。」
「おっ襲われないだろ。こんな強面の男誰が襲うって言うだよ!」
姫川が必死で正木の言葉を否定する。すると不意に正木が距離を詰めてきて、姫川に顔を寄せた。
それに驚いて、体がビクッと硬直すると、その隙に正木が姫川の耳に息を吹きかけた。
「~~っ!」
その瞬間顔を真っ赤にした姫川は物凄い勢いで正木から離れた。
「ほらっ、その反応。絶対他のやつに見せたらやばいと思うぞ。」
「お前が1番やばいだろ!」
姫川が耳を押さえながら言う言葉を軽く躱して、正木がさも楽しそうに姫川に詰め寄る。
「なぁ、俺が協力してやろうか?」
「はっ?」
何の事か分からず姫川がポカンとする。
「だから!お前が少しでもこういうことに耐性がつく様に俺が協力してやるよ。」
「いや、断る。」
間髪入れずに姫川が答えると、正木が意地の悪い顔をした。
「ずっとそのままでもいいのか?このままじゃお前、碌な恋愛出来ずに一生終わるよ。」
「ぐっ・・・」
正木の言葉に姫川は何も言い返せなかった。
「じゃあこれからは仲良くしような、姫川。」
今まで見たことないくらい嬉しそうに笑う正木に姫川は只々顔を引き攣らせるのだった。
沈黙の中、ボソッと正木が呟いた。
「お前にテラスで言われたこと、まぁ正論だよな。でもお前の指示で動くのがどうしても嫌で伊東の事は気になりつつも結局放置しちまった。」
姫川は正木の話を静かに聞いていた。
「実は昨日、仕事の進捗状況が気になって生徒会室に行ったんだ。そしたら、お前たちが伊東と作業してて、伊東も姫川を受け入れていて、それを見たらなんか我慢できなくなった。」
「お前が俺の事を嫌っている事は知っていた。でもだからってこんな事・・・」
姫川が苦しそうに眉間に皺を寄せる。
「お前も知ってると思うけど、俺一般家庭出身なんだよね。」
急に話が変わった事で姫川が正木の方を見る。
「一年の時から、色々なやつに馬鹿にされてきたよ。一般人のくせにってな。」
姫川は目を丸くする。そんな話は聞いた事なかった。
「そいつら見返したくてこの2年、頑張ってきたんだよな。で、成績一位をとっていざ生徒会長になったら、急に手のひら返してくるんだよ。そういう奴らに限って。」
忌々しそうに髪を掻き上げながら正木が悪態をつく。
「それが俺とどういう関係があるんだ?」
心底わからないという様に姫川が聞き返す。
「お前の俺たちを見る目が、俺を馬鹿にしてきた奴らと同じに見えてた。」
「そうだったのか•••」
それが理由であんな態度だったのか。と納得はするものの、姫川はやはり少しショックをうけた。
「でも俺はお前たちを馬鹿にしたり、見下した事はない。それは本当に嘘じゃない。確かに目つきが悪いのは認めるが。それに俺は正木が一般家庭出身だと今知った。」
「はっ?」
姫川の言葉に正木が驚いた様子で返す。
「嘘だろ?結構有名な話だと自分でも思っていたが•••姫川って本当に俺たちに興味ないのな。」
「別に誰がどこの家庭で育とうが関係ないな。それに俺にそんな感情を抱くのはお門違いだろ。俺はお前ほど成績もよくない。」
「だからだろ!一般家庭出身者如きがと思われてると思ってた。」
はぁぁぁ、と姫川が大きな溜息を吐いた。
「そんな事思う訳ないだろ。テラスでの事だって別に俺は正木達を馬鹿にしたわけじゃない。只、自分のやるべき事を放棄して遊び回っていることに腹が立っただけだ。」
「それに関しては反省してる。」
やけにしおらしく正木が謝る。そんな正木を見ながら姫川が言う。
「お前、これからどうするつもりなんだ。親衛隊の事も、生徒会の事も。」
「流石に今回はマジでやばいと俺も思ってる。柏木と過ごす時間が心地よくてついな。取り敢えず伊東には謝って、これからは風紀にも迷惑かけない様精進します。」
「やけに素直だな。」
そう言ったあと、姫川はふと疑問に思った事を正木に尋ねた。
「ところで正木や他の奴らも何でそんなに柏木に執着するんだ?」
柏木の話を出した途端、正木の表情が和らぐ。
「あいつは俺の事を一般家庭出身だからとか、生徒会長だからとか、そういう色眼鏡で一切見ないからな。誰にでも同じ態度で接することができる。あの、歳明治の息子だぞ。そういう部分に俺は惹かれたんだと思う。」
正木は一般家庭出身ということに、物凄いコンプレックスを抱えていたのだということに姫川はこの時初めて気づいた。
「そうか•••生徒会の他の連中も柏木が歳明治の息子だって知ってるのか?」
知ってたら、他の生徒会役員が柏木に夢中なのも頷けた。
「いや、まさか言うはずねぇ。でも、皆誰でも劣等感の一つや二つ抱えてるからな。あいつらも柏木と接したことで救われた事があったんじゃないか?」
歳明治の息子だと知っているのは当初の3人だけだと、改めて知って姫川は安心した。それと同時に、柏木がこれ程までに生徒会の面々から好かれていることに驚いた。少しの間柏木の事を考えていると、じっと姫川を見る正木の視線とぶつかった。
「なんだ?」
「いや、でもまさか姫川があんな反応をするとは思ってもみなかった。」
と、少しニヤついた顔で正木が言った。
「なっ!お前あんな事しといて、よくそんな顔できるな。」
信じられないと言う様に姫川が正木を見る。
「だって!信じられないだろ?あの姫川があんな
な初々しい反応。」
「誰だって、急にあんな事されたら取り乱すだろ!」
自分の反応を馬鹿にされてる気がして姫川が語気を荒げる。
「いや、怒るなって。俺は心配してんの。いつも冷徹で無表情のお前があんな態度とったら、もしそれを他の奴に知られたら、お前襲われちまうぞ。」
「おっ襲われないだろ。こんな強面の男誰が襲うって言うだよ!」
姫川が必死で正木の言葉を否定する。すると不意に正木が距離を詰めてきて、姫川に顔を寄せた。
それに驚いて、体がビクッと硬直すると、その隙に正木が姫川の耳に息を吹きかけた。
「~~っ!」
その瞬間顔を真っ赤にした姫川は物凄い勢いで正木から離れた。
「ほらっ、その反応。絶対他のやつに見せたらやばいと思うぞ。」
「お前が1番やばいだろ!」
姫川が耳を押さえながら言う言葉を軽く躱して、正木がさも楽しそうに姫川に詰め寄る。
「なぁ、俺が協力してやろうか?」
「はっ?」
何の事か分からず姫川がポカンとする。
「だから!お前が少しでもこういうことに耐性がつく様に俺が協力してやるよ。」
「いや、断る。」
間髪入れずに姫川が答えると、正木が意地の悪い顔をした。
「ずっとそのままでもいいのか?このままじゃお前、碌な恋愛出来ずに一生終わるよ。」
「ぐっ・・・」
正木の言葉に姫川は何も言い返せなかった。
「じゃあこれからは仲良くしような、姫川。」
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