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痛いくらいに激しく抱いて⑨
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「近藤さん!?』
俺の行動に驚いた明成が声を上げる。
「俺はお前を裏切ろうとしたのに怒ってないのか?」
「勿論怒ってます。でも、それ以上に申し訳なさそうに苦しそうに毎回俺に抱かれる近藤さんを見るのが辛かったんです。もう僕の事好きじゃないって言われてるみたいで悲しかった。」
明成の言葉を聞いて、俺は自分の事ばかり考えていたことに気づいた。
「でも、さっきの近藤さんの言葉を聞いてやっと貴方の気持ちが分かりました。僕たちに足りなかったのは、互いの気持ちを伝える勇気です。」
余りにも真剣な明成の顔を直視出来なくて、さり気なく目線を外す。
「これからは僕はもう我慢なんてしません。思いのままに欲望のままに貴方を抱こうと思います。だから、近藤さんも本当の気持ちを僕に聞かせてください。」
明成の真剣な思いに居た堪れなくなって、両手で顔を隠す。
「俺はこんな性癖だし、こんな歳になっても、真剣な恋の一つもしてきてない。そんな俺が、明成とこれから真剣に付き合っていくなんて、自信がないんだよ。怖いんだ・・・全部を見せて嫌われるのも・・・次またお前を知らず知らずのうちに傷つけてしまうことも・・・だからこれ以上明成とはー」
そう言いかけた時、フワッと体が包まれる。直ぐに明成に抱きしめられていることに気づいた。
「絶対に貴方を愛し続けます!信じられないのなら信じてくれるまで好きだって伝え続けますから、どうか一緒に居てください。」
強く自分を抱きしめる腕に、心地よい安心感を感じる。
さっきまで只過ぎていくだけだった日常が明成が側に居てくれると思うだけで、鮮やかに色づくようだった。
「凄いな、お前。俺の一世一代の悩みを簡単に言いくるめやがって。」
これだけ自分を思ってくれる男が他にいるだろうか。そう思うと居ても立ってもいられず明成の体を強く抱き返していた。
一度心を許すと、途端に明成への気持ちが燃え上がる。互いにキスをしながらベッドへと雪崩れ込んだ。
「はぁ、この前は怒りに任せて貴方を抱いてしまいましたからね。今日は優しく甘く時間をかけて抱きます。」
うっとりするような笑顔で俺を見つめながら明成が言う。逆に俺は挑発的に
「俺の好みは解っただろ?優しくなんてしなくていい。痛くてもいいから、明成の気持ちを感じられるよう激しく抱いてくれ。」
と言った。
明成に触れてほしくて体が疼く。強く強く思いのままに抱いてほしい。
目の前の愛おしい男を見ながら俺はそう思った。
気がついたら次の日になっていた。昨日明成と体を重ね、3回達したところまでは記憶があるが、その後の記憶がない。
激しくとは言ったが、まさか明成があそこまで絶倫だとは思っていなかった。寧ろ今までのセックスは何だったのかと疑いたくなる。
痛む腰を抑えながら、ゆっくり起き上がると隣で寝ている明成も、もぞもぞと動き出した。
「おはようございます。昨日は本当に素敵でした。やすさんが可愛すぎて、僕は興奮が抑えられませんでした。」
布団から少しだけ顔を覗かせてそう言う明成を俺は睨みつける。昨晩抱き合った時から、俺の事をさり気なく下の名前で呼ぶようになった明成。やすさんと呼ばれると昨日の情事を思い出し、顔が熱くなった。
「何が興奮を抑えられなかっただよ。俺の歳の事も少しは考えくれよ。」
赤くなった顔を見られないよう、目を逸らしながらそう言うと、
「えぇー、激しく抱いてくれって言ったじゃないですか。」
と、途端に明成が頬を膨らませた。
「いや、限度があるだろ!」
俺がそう言うと明成は誤魔化すようにニコッと笑ってみせた。
しかし、その顔を見ると俺も明成が可愛くて何も言い返せなくなる。昨日は本当に激しかった。明成には恥ずかしさもありああは言ったが、本音を言えば昨日の情事は最高だった。
俺は今回の事で互いの嗜好を知り、お互いを知り合う事が如何に大切であるかを知った。
これからは自分の思いを隠さず、臆さず明成に伝えようと思った。そして、明成とのこの幸せな時間がいつまでも続くことを夢見るのだった。
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見切り発車で出発したこの作品。辛かった~!
気づけば短編に1ヶ月近くかけてしまっていました。
俺視点難しかった(T-T)
全部読んでくださった皆さん本当にありがとうございます!
俺の行動に驚いた明成が声を上げる。
「俺はお前を裏切ろうとしたのに怒ってないのか?」
「勿論怒ってます。でも、それ以上に申し訳なさそうに苦しそうに毎回俺に抱かれる近藤さんを見るのが辛かったんです。もう僕の事好きじゃないって言われてるみたいで悲しかった。」
明成の言葉を聞いて、俺は自分の事ばかり考えていたことに気づいた。
「でも、さっきの近藤さんの言葉を聞いてやっと貴方の気持ちが分かりました。僕たちに足りなかったのは、互いの気持ちを伝える勇気です。」
余りにも真剣な明成の顔を直視出来なくて、さり気なく目線を外す。
「これからは僕はもう我慢なんてしません。思いのままに欲望のままに貴方を抱こうと思います。だから、近藤さんも本当の気持ちを僕に聞かせてください。」
明成の真剣な思いに居た堪れなくなって、両手で顔を隠す。
「俺はこんな性癖だし、こんな歳になっても、真剣な恋の一つもしてきてない。そんな俺が、明成とこれから真剣に付き合っていくなんて、自信がないんだよ。怖いんだ・・・全部を見せて嫌われるのも・・・次またお前を知らず知らずのうちに傷つけてしまうことも・・・だからこれ以上明成とはー」
そう言いかけた時、フワッと体が包まれる。直ぐに明成に抱きしめられていることに気づいた。
「絶対に貴方を愛し続けます!信じられないのなら信じてくれるまで好きだって伝え続けますから、どうか一緒に居てください。」
強く自分を抱きしめる腕に、心地よい安心感を感じる。
さっきまで只過ぎていくだけだった日常が明成が側に居てくれると思うだけで、鮮やかに色づくようだった。
「凄いな、お前。俺の一世一代の悩みを簡単に言いくるめやがって。」
これだけ自分を思ってくれる男が他にいるだろうか。そう思うと居ても立ってもいられず明成の体を強く抱き返していた。
一度心を許すと、途端に明成への気持ちが燃え上がる。互いにキスをしながらベッドへと雪崩れ込んだ。
「はぁ、この前は怒りに任せて貴方を抱いてしまいましたからね。今日は優しく甘く時間をかけて抱きます。」
うっとりするような笑顔で俺を見つめながら明成が言う。逆に俺は挑発的に
「俺の好みは解っただろ?優しくなんてしなくていい。痛くてもいいから、明成の気持ちを感じられるよう激しく抱いてくれ。」
と言った。
明成に触れてほしくて体が疼く。強く強く思いのままに抱いてほしい。
目の前の愛おしい男を見ながら俺はそう思った。
気がついたら次の日になっていた。昨日明成と体を重ね、3回達したところまでは記憶があるが、その後の記憶がない。
激しくとは言ったが、まさか明成があそこまで絶倫だとは思っていなかった。寧ろ今までのセックスは何だったのかと疑いたくなる。
痛む腰を抑えながら、ゆっくり起き上がると隣で寝ている明成も、もぞもぞと動き出した。
「おはようございます。昨日は本当に素敵でした。やすさんが可愛すぎて、僕は興奮が抑えられませんでした。」
布団から少しだけ顔を覗かせてそう言う明成を俺は睨みつける。昨晩抱き合った時から、俺の事をさり気なく下の名前で呼ぶようになった明成。やすさんと呼ばれると昨日の情事を思い出し、顔が熱くなった。
「何が興奮を抑えられなかっただよ。俺の歳の事も少しは考えくれよ。」
赤くなった顔を見られないよう、目を逸らしながらそう言うと、
「えぇー、激しく抱いてくれって言ったじゃないですか。」
と、途端に明成が頬を膨らませた。
「いや、限度があるだろ!」
俺がそう言うと明成は誤魔化すようにニコッと笑ってみせた。
しかし、その顔を見ると俺も明成が可愛くて何も言い返せなくなる。昨日は本当に激しかった。明成には恥ずかしさもありああは言ったが、本音を言えば昨日の情事は最高だった。
俺は今回の事で互いの嗜好を知り、お互いを知り合う事が如何に大切であるかを知った。
これからは自分の思いを隠さず、臆さず明成に伝えようと思った。そして、明成とのこの幸せな時間がいつまでも続くことを夢見るのだった。
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見切り発車で出発したこの作品。辛かった~!
気づけば短編に1ヶ月近くかけてしまっていました。
俺視点難しかった(T-T)
全部読んでくださった皆さん本当にありがとうございます!
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