76 / 79
番外編
黒の執着21
しおりを挟む
流されかけていた冬馬はそのドアの音に驚きビクッと体を跳ねさせた。
ラティーヌは鋭い眼光でドアの方を睨みつけている。
ドンドンドンっ!
再び叩くドアの音に冬馬は若干戸惑ったように
「何でインターフォンもあるのにわざわざドアを叩くんだよ。」
と言った。
「私が出ます。」
冬馬との甘いひと時を邪魔されたラティーヌが忌々しそうにそう言うのをため息をこぼした冬馬が止めた。
「いい。俺が出る。隣の部屋の人かもしれないだろ。そんな凶悪な顔を見せられないから。」
冬馬はあっさりラティーヌの腕を抜け出し玄関口へと向かってしまった。その様子を恨めしそうにラティーヌが見ていた。
少しすると、
「どの面さげて此処に来てんだよ!帰れ!」
という冬馬の怒鳴り声が聞こえてきた。
何事かとラティーヌが急いで玄関口まで駆けつけると、
「知らない仲でもないんだから入れろよ。とって食やしないからよ。」
と、無理やり玄関口に足を突っ込もうとするクロノの姿があった。
ラティーヌの顔からスッと表情が消える。そして体勢を低くすると、今にも殴りかかりそうな獰猛なオーラを放ち始めた。
その殺気に振り返った冬馬が慌てたように声を上げる。
「ラティーヌ!こんな所で暴れようとするな!」
そんな冬馬の焦りなど無視して、クロノが玄関のドアに片手をかけながらニヤッと笑って見せた。
「よぉ、ラティーヌ。久しぶりだな。俺も最近はおとなしくしているから体が鈍ってんだ。喜んで相手してやるよ。」
そのクロノの言葉と表情にラティーヌの理性が簡単に弾け飛ぶ。
「いいですか?あなたが私に勝てるとは思えませんね。」
「おい!よせって言ってんだろうがっ!」
冬馬の制止も虚しく、ラティーヌは凄まじいオーラを放ちながらクロノの方に1歩近寄った。クロノも体からユラっと黒いオーラが立ち昇り、途端にピリピリしたような緊張感が辺りを包み込んだ。まさに一触即発の状態である。
そんな2人を見て冬馬の焦りが増した。この2人がここで本気でやり合えば玄関のドアが壊されるどころじゃ済まないと、本気で心配になる。
半壊。賠償金。借金。逮捕。
そして嫌な言葉ばかりが思い浮かび冬馬の頭を支配する。放っておけば2人は今にも互いに喰ってかかろうという勢いだ。
「2度とこの地を踏めないようにしてやりますよ。」
「お前こそ、そのお綺麗な面を2度と拝めないようにしてやるよ。」
冬馬の心配などお構いなしに今まさに取っ組み合おうとする2人にとうとうキレて、
「ご近所迷惑だって言ってんだろー!!」
と、冬馬は叫んだのであった。
ラティーヌは鋭い眼光でドアの方を睨みつけている。
ドンドンドンっ!
再び叩くドアの音に冬馬は若干戸惑ったように
「何でインターフォンもあるのにわざわざドアを叩くんだよ。」
と言った。
「私が出ます。」
冬馬との甘いひと時を邪魔されたラティーヌが忌々しそうにそう言うのをため息をこぼした冬馬が止めた。
「いい。俺が出る。隣の部屋の人かもしれないだろ。そんな凶悪な顔を見せられないから。」
冬馬はあっさりラティーヌの腕を抜け出し玄関口へと向かってしまった。その様子を恨めしそうにラティーヌが見ていた。
少しすると、
「どの面さげて此処に来てんだよ!帰れ!」
という冬馬の怒鳴り声が聞こえてきた。
何事かとラティーヌが急いで玄関口まで駆けつけると、
「知らない仲でもないんだから入れろよ。とって食やしないからよ。」
と、無理やり玄関口に足を突っ込もうとするクロノの姿があった。
ラティーヌの顔からスッと表情が消える。そして体勢を低くすると、今にも殴りかかりそうな獰猛なオーラを放ち始めた。
その殺気に振り返った冬馬が慌てたように声を上げる。
「ラティーヌ!こんな所で暴れようとするな!」
そんな冬馬の焦りなど無視して、クロノが玄関のドアに片手をかけながらニヤッと笑って見せた。
「よぉ、ラティーヌ。久しぶりだな。俺も最近はおとなしくしているから体が鈍ってんだ。喜んで相手してやるよ。」
そのクロノの言葉と表情にラティーヌの理性が簡単に弾け飛ぶ。
「いいですか?あなたが私に勝てるとは思えませんね。」
「おい!よせって言ってんだろうがっ!」
冬馬の制止も虚しく、ラティーヌは凄まじいオーラを放ちながらクロノの方に1歩近寄った。クロノも体からユラっと黒いオーラが立ち昇り、途端にピリピリしたような緊張感が辺りを包み込んだ。まさに一触即発の状態である。
そんな2人を見て冬馬の焦りが増した。この2人がここで本気でやり合えば玄関のドアが壊されるどころじゃ済まないと、本気で心配になる。
半壊。賠償金。借金。逮捕。
そして嫌な言葉ばかりが思い浮かび冬馬の頭を支配する。放っておけば2人は今にも互いに喰ってかかろうという勢いだ。
「2度とこの地を踏めないようにしてやりますよ。」
「お前こそ、そのお綺麗な面を2度と拝めないようにしてやるよ。」
冬馬の心配などお構いなしに今まさに取っ組み合おうとする2人にとうとうキレて、
「ご近所迷惑だって言ってんだろー!!」
と、冬馬は叫んだのであった。
46
お気に入りに追加
97
あなたにおすすめの小説
変態村♂〜俺、やられます!〜
ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。
そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。
暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。
必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。
その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。
果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?
ヒロイン不在の異世界ハーレム
藤雪たすく
BL
男にからまれていた女の子を助けに入っただけなのに……手違いで異世界へ飛ばされてしまった。
神様からの謝罪のスキルは別の勇者へ授けた後の残り物。
飛ばされたのは神がいなくなった混沌の世界。
ハーレムもチート無双も期待薄な世界で俺は幸せを掴めるのか?
少年ペット契約
眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。
↑上記作品を知らなくても読めます。
小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。
趣味は布団でゴロゴロする事。
ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。
文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。
文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。
文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。
三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。
文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。
※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。
※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。
アダルトショップでオナホになった俺
ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。
覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。
バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。
※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)
真面目系委員長の同室は王道転校生⁉~王道受けの横で適度に巻き込まれて行きます~
シキ
BL
全寮制学園モノBL。
倉科誠は真面目で平凡な目立たない学級委員長だった。そう、だった。季節外れの王道転入生が来るまでは……。
倉科の通う私立藤咲学園は山奥に位置する全寮制男子高校だ。外界と隔絶されたそこでは美形生徒が信奉され、親衛隊が作られ、生徒会には俺様会長やクール系副会長が在籍する王道学園と呼ぶに相応しいであろう場所。そんな学園に一人の転入生がやってくる。破天荒な美少年の彼を中心に巻き起こる騒動に同室・同クラスな委員長も巻き込まれていき……?
真面目で平凡()な学級委員長が王道転入生くんに巻き込まれ何だかんだ総受けする青春系ラブストーリー。
一部固定CP(副会長×王道転入生)もいつつ、基本は主人公総受けです。
こちらは個人サイトで数年前に連載していて、途中だったお話です。
今度こそ完走させてあげたいと思いたってこちらで加筆修正して再連載させていただいています。
当時の企画で書いた番外編なども掲載させていただきますが、生暖かく見守ってください。
俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる