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三十五話
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「僕が、オンブレーヤードに連れて行かれたのは11月の初め頃だったかな。気がつくと全く知らない世界にいた。でも暫くしてそこが異世界だとわかった。女神から国の話を聞いたり、勇者だと聞かされて、自分の使命もその時に理解した。」
その話を聞いて冬馬は驚いた。勇者は自分1人ではなく、期間をおいて次々に現れるのだということを初めて知ったからだ。
「初めて霊獣と戦ったときは興奮したよ。女神の力を借りて、好きなだけ霊獣を薙飛ばしていった。女神の力がなくなっても他の騎士たちが僕を守ってくれた。ボロボロになりながら、必死で僕を助ける姿は本当に興奮したよ。」
雅の目に狂気の色が浮かんできて、冬馬は顔を顰める。
「色々な騎士たちとも夜を共にしたよ。僕にとって騎士たちに体を開くことは、そんなに苦痛じゃなかった。寧ろ、新しい感覚に夢中になった。僕を女神様みたいに大切に扱う彼等が僕は大好きだったんだ。」
自分の考えとはあまりにも違う雅に、冬馬は只愕然とする。そうするとそこから一気に雅の口調が変わった。
「でも一つどうしても許せないことがあった。僕と夜を共にした騎士たちが、最後に冬馬の名前を口にするんだ。」
雅の言葉に冬馬は目を見開く。その間も忌々しげに雅が話を続ける。
「冬馬は手強くてなかなか思うように手が出せなかった。冬馬の霊獣を倒す姿は美しかった。俺は冬馬を抱いた。一度でいいから冬馬と寝てみたかった。冬馬は女神の力に頼らず霊獣を倒すことができた。冬馬を物にしたラティーヌが羨ましかった。冬馬、冬馬、冬馬、冬馬、冬馬!」
ダン!
突然雅は拳を床に叩きつけた。その狂った様な行動を冬馬が呆然と見つめる。雅がゆっくりと顔を上げると暗い目を冬馬に向ける。
「ねぇ、自分を散々抱いた相手から最後に違う男の名前を聞くのってどんな気分だと思う?」
どこか猟奇的な雰囲気の雅に冬馬の額から自然に汗が流れる。すると、突然今度は明るい声で話し始める。
「でも、僕はねぇ本当はずっとオンブレーヤードで暮らしてもいいなって思ってたんだ。あの国の人たちが僕は好きだったからね。抱かれるのも気持ちよかった。だけど、やっぱりどうしても許せなかった。あっちの国の人の事を好きになればなるほどね。国から居なくなってなお、ずっと騎士たちの頭に残り続けるお前の存在が!」
そう言うと、突然雅が冬馬の鳩尾を蹴り上げた。
ひゅっ!
冬馬の息が一瞬止まる。
「ハァ•••ハァ、くそっ!」
息が上手く出来なくて悪態を吐く。そんな冬馬の顎を雅は掴むと上に持ち上げ強引に目を合わせる。苦しそうに眉を寄せる冬馬を雅は一度妖しい顔で見つめる。そしてそのまま話を続けた。
「10年だよ。僕があっちの世界にいた時間は。その間ずっとお前という存在が鬱陶しくてしょうがなかったよ。だってお前があの国から去ってもう、30年以上が経ってるっていうのに皆お前の事を忘れてないんだよ。」
冬馬の顎をもつ手にギリギリと力が入る。その雅の目には確かに憎しみが篭っていた。
「でも、まさか僕があっちで過ごした10年がこっちの世界ではたった10日だったのを知った時には驚いたよ。でもお陰で冬馬がオンブレーヤードに居た時と同じ姿で会うことが出来た。だってつまんないだろ。お前が変に年取ってたり、体が弱かったりしたら。思う存分遊べないもん。」
ウットリとした表情で自分を見る雅に冬馬は恐怖心が湧く。
その話を聞いて冬馬は驚いた。勇者は自分1人ではなく、期間をおいて次々に現れるのだということを初めて知ったからだ。
「初めて霊獣と戦ったときは興奮したよ。女神の力を借りて、好きなだけ霊獣を薙飛ばしていった。女神の力がなくなっても他の騎士たちが僕を守ってくれた。ボロボロになりながら、必死で僕を助ける姿は本当に興奮したよ。」
雅の目に狂気の色が浮かんできて、冬馬は顔を顰める。
「色々な騎士たちとも夜を共にしたよ。僕にとって騎士たちに体を開くことは、そんなに苦痛じゃなかった。寧ろ、新しい感覚に夢中になった。僕を女神様みたいに大切に扱う彼等が僕は大好きだったんだ。」
自分の考えとはあまりにも違う雅に、冬馬は只愕然とする。そうするとそこから一気に雅の口調が変わった。
「でも一つどうしても許せないことがあった。僕と夜を共にした騎士たちが、最後に冬馬の名前を口にするんだ。」
雅の言葉に冬馬は目を見開く。その間も忌々しげに雅が話を続ける。
「冬馬は手強くてなかなか思うように手が出せなかった。冬馬の霊獣を倒す姿は美しかった。俺は冬馬を抱いた。一度でいいから冬馬と寝てみたかった。冬馬は女神の力に頼らず霊獣を倒すことができた。冬馬を物にしたラティーヌが羨ましかった。冬馬、冬馬、冬馬、冬馬、冬馬!」
ダン!
突然雅は拳を床に叩きつけた。その狂った様な行動を冬馬が呆然と見つめる。雅がゆっくりと顔を上げると暗い目を冬馬に向ける。
「ねぇ、自分を散々抱いた相手から最後に違う男の名前を聞くのってどんな気分だと思う?」
どこか猟奇的な雰囲気の雅に冬馬の額から自然に汗が流れる。すると、突然今度は明るい声で話し始める。
「でも、僕はねぇ本当はずっとオンブレーヤードで暮らしてもいいなって思ってたんだ。あの国の人たちが僕は好きだったからね。抱かれるのも気持ちよかった。だけど、やっぱりどうしても許せなかった。あっちの国の人の事を好きになればなるほどね。国から居なくなってなお、ずっと騎士たちの頭に残り続けるお前の存在が!」
そう言うと、突然雅が冬馬の鳩尾を蹴り上げた。
ひゅっ!
冬馬の息が一瞬止まる。
「ハァ•••ハァ、くそっ!」
息が上手く出来なくて悪態を吐く。そんな冬馬の顎を雅は掴むと上に持ち上げ強引に目を合わせる。苦しそうに眉を寄せる冬馬を雅は一度妖しい顔で見つめる。そしてそのまま話を続けた。
「10年だよ。僕があっちの世界にいた時間は。その間ずっとお前という存在が鬱陶しくてしょうがなかったよ。だってお前があの国から去ってもう、30年以上が経ってるっていうのに皆お前の事を忘れてないんだよ。」
冬馬の顎をもつ手にギリギリと力が入る。その雅の目には確かに憎しみが篭っていた。
「でも、まさか僕があっちで過ごした10年がこっちの世界ではたった10日だったのを知った時には驚いたよ。でもお陰で冬馬がオンブレーヤードに居た時と同じ姿で会うことが出来た。だってつまんないだろ。お前が変に年取ってたり、体が弱かったりしたら。思う存分遊べないもん。」
ウットリとした表情で自分を見る雅に冬馬は恐怖心が湧く。
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