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本編
誘い2
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「さっきの見てたよ」
「…」
私はいくつか間を置く。何と返事するのが正解か分からない。まあ、見たくなくともあれは目に入るだろう。あんなに騒がれては。しかし、ケイリー様がとなれば。キャラメルミルクで笑われた時よりも遥かに恥ずかしくて仕方がない。
「面白いものだったでしょう?当事者の私ですら笑ってしまいそうになりましたもの」
「そうかな、とても辛くて去りたそうな顔だったけど」
「あら、察しが良いですわね。その通りですわ」
ふふっ、と私は笑う。自分の顔を崩さない為には笑っていることしかできなかった。
ケイリー様はしゃがみ、私と目を合わせ、手を取った。
「な、何を…」
「イアリス様、良かったら僕の国に来ませんか」
私は思わぬ急な誘いに固まってしまう。
「それは、何故ですの」
目をきょろきょろと動かし、戸惑いながら私は聞く。
「来て欲しいのもあるし、君が心配なのもある。でも、今じゃなくて良い。もし来たいってなったらこれに願って欲しい。僕が迎えにくるから」
そう言ってケイリー様は胸ポケットから一つのミサンガを取り出した。
私の手にぐるりとミサンガを巻き付ける。
「これは貴方がお作りに?」
ミサンガは売りもののようなしっかりとしたものではなく、手作りであろう柔らかい見た目をしていた。かわいい、その一言に限る。
「ええ、まあ。…下手で申し訳無いんだけど、」
「いえ…凄く嬉しいですわ」
私は貰ったミサンガを空に掲げてみる。暗い今でも輝いて見える。そして、これには何か魔法がかかっているような気もした。
願えば、ケイリー様が出てきてくれたりするのだろうか。
「…」
私はいくつか間を置く。何と返事するのが正解か分からない。まあ、見たくなくともあれは目に入るだろう。あんなに騒がれては。しかし、ケイリー様がとなれば。キャラメルミルクで笑われた時よりも遥かに恥ずかしくて仕方がない。
「面白いものだったでしょう?当事者の私ですら笑ってしまいそうになりましたもの」
「そうかな、とても辛くて去りたそうな顔だったけど」
「あら、察しが良いですわね。その通りですわ」
ふふっ、と私は笑う。自分の顔を崩さない為には笑っていることしかできなかった。
ケイリー様はしゃがみ、私と目を合わせ、手を取った。
「な、何を…」
「イアリス様、良かったら僕の国に来ませんか」
私は思わぬ急な誘いに固まってしまう。
「それは、何故ですの」
目をきょろきょろと動かし、戸惑いながら私は聞く。
「来て欲しいのもあるし、君が心配なのもある。でも、今じゃなくて良い。もし来たいってなったらこれに願って欲しい。僕が迎えにくるから」
そう言ってケイリー様は胸ポケットから一つのミサンガを取り出した。
私の手にぐるりとミサンガを巻き付ける。
「これは貴方がお作りに?」
ミサンガは売りもののようなしっかりとしたものではなく、手作りであろう柔らかい見た目をしていた。かわいい、その一言に限る。
「ええ、まあ。…下手で申し訳無いんだけど、」
「いえ…凄く嬉しいですわ」
私は貰ったミサンガを空に掲げてみる。暗い今でも輝いて見える。そして、これには何か魔法がかかっているような気もした。
願えば、ケイリー様が出てきてくれたりするのだろうか。
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