上 下
18 / 43
本編

響く余韻

しおりを挟む
あの後私はすぐに家に帰ることができた。

その日は、身体が限界でやることを終わらし、すぐに眠ってしまった。



次の日、私は心地よい朝を迎えた。
なぜだろう、全く憂鬱に感じない。新しい人生が始まったと決意したときのようなすかすがしさ。私のストレスはどこかに消え去ったのだろう。ありがとうケイリー様にアルツ様。

侍女もそんな私を察したのか、ポーニーテールにしようか?等聞かなかった。

そんな時、コンコンと扉が手によって鳴らされた音が聞こえる。

「どうぞ、」

「失礼しますお嬢様、クロウ様がお見えです」


ああ、清々しい朝は終わりね。私が呆れたような顔をしていると、侍女も怒った。

「んもう!イアリス様出なくていいですよ!」

私も出たくないわ。彼はどんな顔で私に会おうとしているのだろう。今は全く理解出来ない。


私はドレスを着て、玄関に向かう。

「イアリス!」


扉を開けてすぐにクロウ様の声が聞こえた。
不機嫌かと思ったけれど…意外ね。


「どうしたんです?こんな早朝に」

「俺が来て悪いことがあるのか?」

ああ、面倒だ。彼は私の浮気を疑うように、ニヤつきながら言う。彼のことだ、これが面白いと思っていっているのだろう。彼の笑いは、人を傷つける笑いで面白いなんて、冗談でも言えないわね。


「そういうことではありませんが…何か用がおありで?」

「ふっ…、イアリス。今日、遊びに行こう!」


私が了承する、その選択肢以外はないだろう?と自信に溢れた顔で私を見る。ああ…ほんと、これ以上振り回されるのはごめんよ。当日に、なんてほんとうに公爵家の長男とは思えない。


「申し訳ありません…先約がありますので」


私は頭を下げ、謝った。
流石に、先約という言葉があれば、帰ってくれるだろう。


しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

悪役令嬢シルベチカの献身

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:687

婚約者は三人の女性を妊娠させました

恋愛 / 完結 24h.ポイント:248pt お気に入り:296

好きなのはあなただけじゃない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:589pt お気に入り:1,770

公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】

恋愛 / 完結 24h.ポイント:355pt お気に入り:3,742

お飾り王妃の死後~王の後悔~

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,462pt お気に入り:7,271

処理中です...