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本編

冷たい挨拶

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昼休憩が終わった後、私はクロウ様と目が合う。
すぐさま彼に微笑み、彼の背後にいた友人の元へ先を急いだ。

「…?」

彼は私に手を振ろうとしていたのが、横目にてうっすらと見えた。
 
昔ならば私はしっかり挨拶をしていたはず。…今は私にとってクロウ様より、友人のカナタの方が大切よ。

「イアリス様、次の授業は移動ですよ」 

「あら…、用意をするのを忘れていたわ。少し、時間がかかるので先行っててくださる?」

「…ふふ、そんな事言わず、待たせてください」

「宜しいの?」

そう問うと彼女は、満面の笑みでうなづいてくれた。ああ本当に太陽のような子。アポロンの守護を受けていると、思わせてしまうほどの暖かさや熱意が彼女からは感じられる。


彼女を待たせてはバチが当たる。
私は急ぎでノートや教科書を鞄から取り出せば、彼女と先程居た場所へ戻る。

「お待たせしました」

「さ、行きましょう!」


別教室へ移動している間、クロウ様との話になった。


「イアリス様…クロウ様の事なのですが、」

「ええ、シェリー様と最近仲の良いようで」


大体は予想が付く。カナタさんはご友人も多く、かなりの噂話を持っているでしょう。ならばシェリーさんとの事も友人と交流をして聞いているはず。

「宜しいのですか?…クロウ様は一度失敗を経験しないと、学ばない様な男と思われます」

「カナタ様、ここでそんな事口にしてはいけませんわ」

こそり、と話した彼女だったがカナタ様よりクロウ様の方が地位が高い。
いつクロウ様のご友人がこの話を聞いているか分からない。私のせいで、カナタ様が罰せられる、その様な事あってはなりません。


「…すみません、軽率でした」

「いえ、私が神経質なだけですのでお気になさらないで…」

「イアリス様。」

そうこうしてるまに教室へは着いていて、私は黒板へ近い前列へ座った。どうやらカナタ様も隣に座ってくれるようです。
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