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開店前夜編
第11話 親友との再会
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親友との再会は最悪だった…
「全く!なんでお前の歯ブラシがウチにあるんだよ!」
オレは口を何度も何度も洗いながら、親友を睨みつけていた。
親友の名前はヒデ。小学校の頃からの幼馴染で大親友だ。
この年になるまでお互いに同じ街に住み、馬鹿なことばっかりしてきた。
「シュウが帰って来るまで家を守ろうと思ってさ!住ませて貰ってたのさ」
「家を守る?」
「他に誰が親友の城を守るっていうんだ?」
「…どうせ家賃がタダだから勝手に住み着いたんだろ…」
「う…バレたか…」
どうせそんな事だろうと思ってたよ!白々しい目でヒデを見つめていたオレは、ある事を思い出した。
「あ!」
「どうしたんだ?そんなに慌てて…」
オレはポケットからスマホを取り出し、銀行アプリを起動した。
「残高3250円……」
少ない給料からコツコツ貯めていた貯金が底をつきかけていた…
どうやら各種支払いが、自動引き落としで今までずっと引き落とされていたようだ…
「オレの貯金が…」
頭が真っ白になり、視界がボヤけ歪み始めた。
某カ●ジのふにゃ~状態である…
「あー!そうそう!先月位から、催促書が届き始めてさ、シュウの口座の事なんか知らないからさ、困ってたんだよね。」
「ヒデ君…水道代や光熱費で毎月ものすごい金額引かれているんだけど…君…どんな生活してたの?」
「いやぁ?至って普通だと思うけどぉ…?」
どうせエアコン付けっぱなししたりとかブルジョアな生活をしてたんだろうよ!
「それにだねヒデ君よ。このファミリーストア 3000円ってのは何かね?」
「!!」
「……君…オレのクレジットカード使ったね?」
ヒデの顔が青ざめて行く事がわかった
「ご、誤解だよシュウさま…」
「誤解?ほう…ではこの『パズル&もふもふ』ガチャとは?」
「うぐっ!…」
「おー!これはこれは…『女魔王を懲らしめる為あんなコトこんなコト』ダウンロード版」
「おい!やめてくれ!」
「うわ…これはエグいな……女王さ…」
「わかった!俺が悪かった!スマン!使った!」
ヒデは瞬時に土下座をし、額を床に擦りつけている。
「はじめから認めろ!まったく!」
「正直すまんかった!仕事が急になくなって、金に困ってしまって…ふとシュウの財布の事思い出したんだよ。就職したら金は返すつもりだった!本当だ!お許しを~!」
他の奴ならとても許せる事ではないが、ヒデの言っている事は本当だろう。
ヒデは昔から正義感が強く、悪事を許さない男だ。
本当に切羽詰まった上での最後の手段だったのだろう。
奴には昔からとても助けられていて、困った時はいつも俺の側にいて、助けてくれていた。
「…色々解せない事はあるが…お前はオレに大きな借りを作ったぞ?」
「わかってる!すまん」
そう言うとシュウはサッと立ち上がり後ろを向いた。
切り替えの早い奴だまったく…
「それにしても、切羽詰まってるのにこんなもの買うか?なんだこの女王さ…」
「シュウ!その話はもう辞めよう!久しぶりの再会だ!どうだ?」
そう言うとヒデはオレに何かを渡そうとしてきた。
それを見たオレは目を見開いてしまった
「こ…これは!!!」
ヒデの手に握られているのは、冷気でまわりから湯気が立ちのぼる光輝く銀色の物体…表面には『ハイパードライ』との文字が神々しく刻まれている。
「な?久しぶりの再会だし、一杯やろう!」
オレは握られているビールから視線を逸らすことが出来ず、頭を無気力にコクコクと動かした。
ヒデからビールを受け取り、震えた右手でタブを開けた
「プシュュュュウ」
勢いよくガスが飛び出したきて、後を追う様に酵母と麦、ホップの香りが複雑に混ざりあった匂いが鼻を襲った。
「おかえり!シュウ!乾杯~!」
オレは両手でビールを持ち、恐る恐るビールを口に含んだ。
「ゴクリ…」
口の中に香りが広がり、喉にはこん棒でガツンと一撃食らわされた様な衝撃が襲う。
キンキンに冷えた液体が、我先にと胃袋へ流れ込んでいく。まるでビールの100メートル走決勝だ。
口から缶が離れない、離す事が出来ない。
「ゴクゴクゴク…」
オレは一気にビールを飲み干し、勢いよく空き缶をテーブルに叩きつけた。
「カァーッ!うまい!!!」
「もう飲んだのかよ!38歳だぞ無理すんなって!」
何しろ3年ぶりのビールだ。飲む事を止められなかった。
フィリーミにもエールと言う似たような物はあったが、とても薄くて、苦味も強すぎる。
アルコールを摂取する為だけにある様な物で、ビールの味を知っている者からしたら、とても飲める代物ではなかったのだ。
「おかわりいるか?沢山ストックしてあるから」
「おう!今日は飲もう!これで借りを返したと思うなよ?どうせオレの金で買ってるんだろ?」
「その通り!」
「だと思ったよ!」
貯金が無くなって一瞬気が動転したが、考えてみれば今のオレならスキルを使って、いっばいお金が増やせると思うんだよね…
そう思うと再開した大親友のイタズラを楽しんだって気持ちにもなるな…
心でそう思いつつオレとヒデは朝から宴会をはじめるのだった…
「全く!なんでお前の歯ブラシがウチにあるんだよ!」
オレは口を何度も何度も洗いながら、親友を睨みつけていた。
親友の名前はヒデ。小学校の頃からの幼馴染で大親友だ。
この年になるまでお互いに同じ街に住み、馬鹿なことばっかりしてきた。
「シュウが帰って来るまで家を守ろうと思ってさ!住ませて貰ってたのさ」
「家を守る?」
「他に誰が親友の城を守るっていうんだ?」
「…どうせ家賃がタダだから勝手に住み着いたんだろ…」
「う…バレたか…」
どうせそんな事だろうと思ってたよ!白々しい目でヒデを見つめていたオレは、ある事を思い出した。
「あ!」
「どうしたんだ?そんなに慌てて…」
オレはポケットからスマホを取り出し、銀行アプリを起動した。
「残高3250円……」
少ない給料からコツコツ貯めていた貯金が底をつきかけていた…
どうやら各種支払いが、自動引き落としで今までずっと引き落とされていたようだ…
「オレの貯金が…」
頭が真っ白になり、視界がボヤけ歪み始めた。
某カ●ジのふにゃ~状態である…
「あー!そうそう!先月位から、催促書が届き始めてさ、シュウの口座の事なんか知らないからさ、困ってたんだよね。」
「ヒデ君…水道代や光熱費で毎月ものすごい金額引かれているんだけど…君…どんな生活してたの?」
「いやぁ?至って普通だと思うけどぉ…?」
どうせエアコン付けっぱなししたりとかブルジョアな生活をしてたんだろうよ!
「それにだねヒデ君よ。このファミリーストア 3000円ってのは何かね?」
「!!」
「……君…オレのクレジットカード使ったね?」
ヒデの顔が青ざめて行く事がわかった
「ご、誤解だよシュウさま…」
「誤解?ほう…ではこの『パズル&もふもふ』ガチャとは?」
「うぐっ!…」
「おー!これはこれは…『女魔王を懲らしめる為あんなコトこんなコト』ダウンロード版」
「おい!やめてくれ!」
「うわ…これはエグいな……女王さ…」
「わかった!俺が悪かった!スマン!使った!」
ヒデは瞬時に土下座をし、額を床に擦りつけている。
「はじめから認めろ!まったく!」
「正直すまんかった!仕事が急になくなって、金に困ってしまって…ふとシュウの財布の事思い出したんだよ。就職したら金は返すつもりだった!本当だ!お許しを~!」
他の奴ならとても許せる事ではないが、ヒデの言っている事は本当だろう。
ヒデは昔から正義感が強く、悪事を許さない男だ。
本当に切羽詰まった上での最後の手段だったのだろう。
奴には昔からとても助けられていて、困った時はいつも俺の側にいて、助けてくれていた。
「…色々解せない事はあるが…お前はオレに大きな借りを作ったぞ?」
「わかってる!すまん」
そう言うとシュウはサッと立ち上がり後ろを向いた。
切り替えの早い奴だまったく…
「それにしても、切羽詰まってるのにこんなもの買うか?なんだこの女王さ…」
「シュウ!その話はもう辞めよう!久しぶりの再会だ!どうだ?」
そう言うとヒデはオレに何かを渡そうとしてきた。
それを見たオレは目を見開いてしまった
「こ…これは!!!」
ヒデの手に握られているのは、冷気でまわりから湯気が立ちのぼる光輝く銀色の物体…表面には『ハイパードライ』との文字が神々しく刻まれている。
「な?久しぶりの再会だし、一杯やろう!」
オレは握られているビールから視線を逸らすことが出来ず、頭を無気力にコクコクと動かした。
ヒデからビールを受け取り、震えた右手でタブを開けた
「プシュュュュウ」
勢いよくガスが飛び出したきて、後を追う様に酵母と麦、ホップの香りが複雑に混ざりあった匂いが鼻を襲った。
「おかえり!シュウ!乾杯~!」
オレは両手でビールを持ち、恐る恐るビールを口に含んだ。
「ゴクリ…」
口の中に香りが広がり、喉にはこん棒でガツンと一撃食らわされた様な衝撃が襲う。
キンキンに冷えた液体が、我先にと胃袋へ流れ込んでいく。まるでビールの100メートル走決勝だ。
口から缶が離れない、離す事が出来ない。
「ゴクゴクゴク…」
オレは一気にビールを飲み干し、勢いよく空き缶をテーブルに叩きつけた。
「カァーッ!うまい!!!」
「もう飲んだのかよ!38歳だぞ無理すんなって!」
何しろ3年ぶりのビールだ。飲む事を止められなかった。
フィリーミにもエールと言う似たような物はあったが、とても薄くて、苦味も強すぎる。
アルコールを摂取する為だけにある様な物で、ビールの味を知っている者からしたら、とても飲める代物ではなかったのだ。
「おかわりいるか?沢山ストックしてあるから」
「おう!今日は飲もう!これで借りを返したと思うなよ?どうせオレの金で買ってるんだろ?」
「その通り!」
「だと思ったよ!」
貯金が無くなって一瞬気が動転したが、考えてみれば今のオレならスキルを使って、いっばいお金が増やせると思うんだよね…
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