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第6章:迷宮勇者と巨人王編
第235話:頑張ろう会
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「待てッ、止まれ!」
十一層のボス部屋に入ろうする俺達は強めの口調で呼び止められる。
「傭兵か!?所属票を確認させてくれ」
ボス部屋の入口前で数人の帝国兵士に止められ、その内の一人が前に進み出て先頭のダグラスにそう言って来た。
その言葉を受けダグラスが後ろに居る俺にチラリと視線を送る。
大分、分かって来てるな
そんな事を思いつつ俺はダグラスの前に進み出て瞬時に帝国兵士全員の認識、記憶その他諸々を書き換える。
「・・・よし、通っていいぞ」
俺達は傭兵登録をまだ済ませてはいないフリーの傭兵ですら無い一般人なのだ。世間一般からすれば。
なので、そんな一般人が魔界を彷徨いているとなると要らぬ誤解を招いたり、面倒臭い事に巻き込まれ兼ねないので俺達はこう言う時は俺に全てを委ねると決めている。
「・・・・・・」
確認を済ませた事にいつの間にかなって、ボス部屋の入口を封鎖する様に立っていた兵士達が脇へ逸れて俺達を通す素振りをする。
そこを何とも言えぬ表情をしながらダグラスが通り、他の者も順に通り抜けボス部屋へと入った。
「おぉ、結構大規模なキャンプを張ってるな・・・」
ボス部屋に入るや否や、そんな事を独り言の様に呟くドエインを尻目に俺は適当な空いている空間を見付けてそこに歩き出す。
入口の兵士達を書き換えた際に情報収集も当然の様に行ったのだが、この十一層のボス部屋は、既にボスは過去に倒されている。
再出現しない事をいい事に、ボス部屋は傭兵達の一次休憩場所になっている事が多い。
と言っても、十層くらいまでは最短距離で進んで行けば途中特別何か無い限りは一日も掛からないので、十層を超えるまで俺はボス部屋で休憩やキャンプをしている奴らは見た事は無いのだが。
「帝国兵が多いわね」
イリアは周りをキョロキョロしながら俺の後に続いてそんな事を口にする。
ボス部屋はかなり広く、サッカー場二面程の面積がありそうだが、その内三割から四割はイリアの言う帝国兵と、帝国兵が持ち込んだ物資やらテントやらが占めている。
魔界に入る前の情報収集では十一層までしか辿り着けていないと聞いていたので、最近ここまで辿り着いてキャンプを設営したばかりなのであろう。
ここを足掛かりに十二層、十三層と攻略していき、その都度キャンプも移動するのかも知れない。
「それにしても人数が多いのう」
「そうだな、でもアイツらは各層マッピングしたり隈無く回って情報も集めてるって聞いたからそれでなんだと思うけどな」
アリシエーゼとドエインの会話を聞きながら俺もチラリと帝国兵が多く居る辺りを見てみる。
皆、同じ革に金属を埋め込んでいるであろう鎧に上半身を護られ、主装備は大体が槍で、腰にサブアームとしてロングソードを帯剣し、槍を持つ手とは反対に丸盾を装備していた。
大半がその装いだが、中には槍を持たずにロングソードと盾の奴も居れば、盾も持たずにロングソードのみの者も居る。
ドエインの言う通り、この帝国兵達は各層を回り色々と情報を集め精査しながら進んでいる。
なので、進行速度は遅いのだが、それでもかなりの人数を投入して進んでいる為、最近になって帝国が本格的にこの魔界攻略を開始したにも関わらず既に十層までの凡百情報を収集して進んでいる割には進行速度としては俺は悪く無いと思った。
「何パーティくらい居るんでしょうね・・・?」
「かなり多そうよね」
モニカとサリーの会話をよそ目に俺はその後ろ、最後尾に固まり、辺りに視線を向けるデス隊を見る。
どうやら目で見て分かる情報を収集する事に務めている様だが、既に大半の情報は俺が入手しているのでそれは無駄に終わるかも知れないなと思いつつ何も言わなかった。
「この辺でいいか」
俺は帝国兵が居座るエリアとは十二層の階段を境とした丁度反対側の周囲に余り人の居ない場所で立ち止まる。
ボス部屋を入り十二層への階段を正面とした場合、右側が帝国兵達がキャンプを張っていて、その反対左側が傭兵達と自然と棲み分けられている様だった。
これはきっと誰かが言ったのでは無く、恐らく自然とそうなったのだろうと思う。
帝国はこの魔界に関しては傭兵との協力、共闘を全面に打ち出してはいるが、現場としてはこんな感じなのだろう。
大規模なキャンプなので食料や備品はかなり持ち込んでいるだろうし、各テントに簡易的な色々な設備も整えている。
武具の修復を行う鍛冶師の様な者も帯同しているし、治癒魔法を使える者を集めた簡易的な病院の様なものも存在している。
なので、傭兵達が何か本当に困った事があった場合は助けを求めれば大抵は有償だが手を貸してくれたりする。
其れこそ、食料が底を尽きたから分けてくれと頼めば地上の店で買うよりもかなり割高だが売ってくれたりもすると、入口の兵士から抜き取った情報から分かった。
俺が立ち止まると皆それぞれテキパキと野営の準備をする。
既に地上は夕刻近い時間なので今日はここで迷宮野営しようと話していた為だが、皆手馴れたものである。
全員同じバックパックを装備しており、それぞれ必要な物は自分で管理しているが、全員で使う薪などは分散している。
今日はドエインが持っていた薪を使うからだろう、ドエイン以外は薪を取り出す事なは無かったが、いつの間にそんな事話し合っていたのだろうと疑問に思った。
まぁ、俺が居なくても色々と話し合ったりしてるんだろうし良い事だよな
そんな事を思いつつ、俺は外套を脱いで敷物代わりとし、その上に座りながらバックパックからカップを取り出す。
因みに俺は水の出る魔導具を持ってはいない。
ちょっと嵩張ると言う事もあるし、この人数なら一つか二つパーティとして持っていれば事足りるからだ。
マサムネがその水の出る魔導具を持っているので各自のカップに水を出して注いでいく。
「ハル様、あの中に帝国の間者が複数紛れ込んでいます」
俺のカップに水を注ぎながらマサムネは俺の顔を見ずにそう言った。
「まぁ、そうだろうな・・・」
見ただけでは兵士に紛れてなのか、他の要員に紛れてなのかは俺には分からなかったが、帝国本国がかなり力を入れてこの魔界攻略に乗り出している以上、何かしらの理由がありそれに対して純粋な戦力として帝国兵を投入するのは分かるし、裏の情報等を取り扱う者として暗部を投入するのも頷ける。
「・・・どう致しますか」
「どうもこうも無いよ。別に無視だ、無視」
だが、帝国にどう言う思惑があるにせよ此方から何かを仕掛けてやる事は無い。
「宜しいので?」
「何か怪しい動きをしたら調べればいいよ。それまではこっちも様子見でいいでしょ」
俺が調べれば何故此処に暗部が居るのか、帝国が何をしようとしているのか、ある程度分かるだろう。
だが、それよりも俺は今はこの魔界攻略を優先したかった。
これから先、この迷宮を攻略する際にもしかしたら帝国兵達は使えるかも知れないしな
その使うがどう言う事を指すのかは敢えて考えない様にしながら、薄く声を出さずに嗤う。
「おーい、マサムネ。持たせた例のアレちと持って来てくれー」
俺とマサムネの密談を知ってか知らずか、ドエインが熾した焚き火の前に居るアリシエーゼが声を張る。
アレって何だ?
「あ、はい。今持って行きます」
マサムネは俺に「では!」と言ってアリシエーゼの元に小走りで戻って行くが、一体何なんだろうかと首を傾げた。
気になったので立ち上がり俺はアリシエーゼの元に歩いていく。
マサムネは自分のバックパックの中をゴソゴソと手探りで漁っているが、どうにも嫌な予感がした。
「アリシエーゼ様が持ち込んだ物も今日使うのですか?」
大きな固まりを両手に持ってアリシエーゼに近付いたマサムネがそう言って焚き火の前に居るドエインに何かを手渡す。
「いやいやッ、量が明らかに多いだろ!?」
「何を言っておるッ、早く使わんと腐ってしまうじゃろ!」
「そうだが、こんな量一気に調理なんて出来ねぇって!」
アリシエーゼとドエインは、マサムネが持ち込んだ物とアリシエーゼが持ち込んだ物を見て悲痛な叫びを上げる。
「お前ら何やって―――」
「あッ、旦那!ちょっと姉御に言ってくれよ!魔界で何でこんな大量にボア肉焼かないといけないんだよ!?」
あー、そう言う事か・・・
ドエインの目の前にはもの凄い大きさのボア肉の生肉、その塊が二つ鎮座している。
その大きさはマサムネが両手で抱える程なのでそれだけで一体何人前のボア肉のステーキが焼けるのか分からない。
「・・・お前、バックパックがめちゃくちゃこんもりしてると思ったら、そんなもん持ち込んでたのか」
「そうじゃ!今日は記念すべきオフェの本気魔界攻略初日じゃろ!?じゃから夕飯は精の付くものをたんと食べて、明日からまた気合いを入れて頑張ろう!の会をしようと思ったのじゃッ」
どんな会だよと心の中でツッコミを入れながら改めて肉の固まりを見るが、どう考えても魔界の中でする食事の、それも一食の量では無い。
それが二つもあるのだから、どんだけ肉が食いたかったんだと呆れながらもある意味、凄い奴だと感心してしまった。
「それにしても、マサムネにも持たせるとかやり過ぎだろ・・・」
「何を言っておる、ムネチカとコテツにも持たせておるぞ?」
「ぇ・・・」
アリシエーゼの言葉にムネチカとコテツの方を見ると、二人は苦笑いをしていた。
マジかよ・・・
まぁ、持ち込んでしまったもの仕方無いので、ドエインに謝りつつ、美味しく調理してくれと頼んだ。
ドエインは「マジかよ」と言いながら早速調理の準備を始めるが、これが後にあんな出来事に発展するとは―――
いやいやッ、無いよ!
そんなテンプレみたいな展開無いよ!
ぇ、無い・・・よね・・・?
十一層のボス部屋に入ろうする俺達は強めの口調で呼び止められる。
「傭兵か!?所属票を確認させてくれ」
ボス部屋の入口前で数人の帝国兵士に止められ、その内の一人が前に進み出て先頭のダグラスにそう言って来た。
その言葉を受けダグラスが後ろに居る俺にチラリと視線を送る。
大分、分かって来てるな
そんな事を思いつつ俺はダグラスの前に進み出て瞬時に帝国兵士全員の認識、記憶その他諸々を書き換える。
「・・・よし、通っていいぞ」
俺達は傭兵登録をまだ済ませてはいないフリーの傭兵ですら無い一般人なのだ。世間一般からすれば。
なので、そんな一般人が魔界を彷徨いているとなると要らぬ誤解を招いたり、面倒臭い事に巻き込まれ兼ねないので俺達はこう言う時は俺に全てを委ねると決めている。
「・・・・・・」
確認を済ませた事にいつの間にかなって、ボス部屋の入口を封鎖する様に立っていた兵士達が脇へ逸れて俺達を通す素振りをする。
そこを何とも言えぬ表情をしながらダグラスが通り、他の者も順に通り抜けボス部屋へと入った。
「おぉ、結構大規模なキャンプを張ってるな・・・」
ボス部屋に入るや否や、そんな事を独り言の様に呟くドエインを尻目に俺は適当な空いている空間を見付けてそこに歩き出す。
入口の兵士達を書き換えた際に情報収集も当然の様に行ったのだが、この十一層のボス部屋は、既にボスは過去に倒されている。
再出現しない事をいい事に、ボス部屋は傭兵達の一次休憩場所になっている事が多い。
と言っても、十層くらいまでは最短距離で進んで行けば途中特別何か無い限りは一日も掛からないので、十層を超えるまで俺はボス部屋で休憩やキャンプをしている奴らは見た事は無いのだが。
「帝国兵が多いわね」
イリアは周りをキョロキョロしながら俺の後に続いてそんな事を口にする。
ボス部屋はかなり広く、サッカー場二面程の面積がありそうだが、その内三割から四割はイリアの言う帝国兵と、帝国兵が持ち込んだ物資やらテントやらが占めている。
魔界に入る前の情報収集では十一層までしか辿り着けていないと聞いていたので、最近ここまで辿り着いてキャンプを設営したばかりなのであろう。
ここを足掛かりに十二層、十三層と攻略していき、その都度キャンプも移動するのかも知れない。
「それにしても人数が多いのう」
「そうだな、でもアイツらは各層マッピングしたり隈無く回って情報も集めてるって聞いたからそれでなんだと思うけどな」
アリシエーゼとドエインの会話を聞きながら俺もチラリと帝国兵が多く居る辺りを見てみる。
皆、同じ革に金属を埋め込んでいるであろう鎧に上半身を護られ、主装備は大体が槍で、腰にサブアームとしてロングソードを帯剣し、槍を持つ手とは反対に丸盾を装備していた。
大半がその装いだが、中には槍を持たずにロングソードと盾の奴も居れば、盾も持たずにロングソードのみの者も居る。
ドエインの言う通り、この帝国兵達は各層を回り色々と情報を集め精査しながら進んでいる。
なので、進行速度は遅いのだが、それでもかなりの人数を投入して進んでいる為、最近になって帝国が本格的にこの魔界攻略を開始したにも関わらず既に十層までの凡百情報を収集して進んでいる割には進行速度としては俺は悪く無いと思った。
「何パーティくらい居るんでしょうね・・・?」
「かなり多そうよね」
モニカとサリーの会話をよそ目に俺はその後ろ、最後尾に固まり、辺りに視線を向けるデス隊を見る。
どうやら目で見て分かる情報を収集する事に務めている様だが、既に大半の情報は俺が入手しているのでそれは無駄に終わるかも知れないなと思いつつ何も言わなかった。
「この辺でいいか」
俺は帝国兵が居座るエリアとは十二層の階段を境とした丁度反対側の周囲に余り人の居ない場所で立ち止まる。
ボス部屋を入り十二層への階段を正面とした場合、右側が帝国兵達がキャンプを張っていて、その反対左側が傭兵達と自然と棲み分けられている様だった。
これはきっと誰かが言ったのでは無く、恐らく自然とそうなったのだろうと思う。
帝国はこの魔界に関しては傭兵との協力、共闘を全面に打ち出してはいるが、現場としてはこんな感じなのだろう。
大規模なキャンプなので食料や備品はかなり持ち込んでいるだろうし、各テントに簡易的な色々な設備も整えている。
武具の修復を行う鍛冶師の様な者も帯同しているし、治癒魔法を使える者を集めた簡易的な病院の様なものも存在している。
なので、傭兵達が何か本当に困った事があった場合は助けを求めれば大抵は有償だが手を貸してくれたりする。
其れこそ、食料が底を尽きたから分けてくれと頼めば地上の店で買うよりもかなり割高だが売ってくれたりもすると、入口の兵士から抜き取った情報から分かった。
俺が立ち止まると皆それぞれテキパキと野営の準備をする。
既に地上は夕刻近い時間なので今日はここで迷宮野営しようと話していた為だが、皆手馴れたものである。
全員同じバックパックを装備しており、それぞれ必要な物は自分で管理しているが、全員で使う薪などは分散している。
今日はドエインが持っていた薪を使うからだろう、ドエイン以外は薪を取り出す事なは無かったが、いつの間にそんな事話し合っていたのだろうと疑問に思った。
まぁ、俺が居なくても色々と話し合ったりしてるんだろうし良い事だよな
そんな事を思いつつ、俺は外套を脱いで敷物代わりとし、その上に座りながらバックパックからカップを取り出す。
因みに俺は水の出る魔導具を持ってはいない。
ちょっと嵩張ると言う事もあるし、この人数なら一つか二つパーティとして持っていれば事足りるからだ。
マサムネがその水の出る魔導具を持っているので各自のカップに水を出して注いでいく。
「ハル様、あの中に帝国の間者が複数紛れ込んでいます」
俺のカップに水を注ぎながらマサムネは俺の顔を見ずにそう言った。
「まぁ、そうだろうな・・・」
見ただけでは兵士に紛れてなのか、他の要員に紛れてなのかは俺には分からなかったが、帝国本国がかなり力を入れてこの魔界攻略に乗り出している以上、何かしらの理由がありそれに対して純粋な戦力として帝国兵を投入するのは分かるし、裏の情報等を取り扱う者として暗部を投入するのも頷ける。
「・・・どう致しますか」
「どうもこうも無いよ。別に無視だ、無視」
だが、帝国にどう言う思惑があるにせよ此方から何かを仕掛けてやる事は無い。
「宜しいので?」
「何か怪しい動きをしたら調べればいいよ。それまではこっちも様子見でいいでしょ」
俺が調べれば何故此処に暗部が居るのか、帝国が何をしようとしているのか、ある程度分かるだろう。
だが、それよりも俺は今はこの魔界攻略を優先したかった。
これから先、この迷宮を攻略する際にもしかしたら帝国兵達は使えるかも知れないしな
その使うがどう言う事を指すのかは敢えて考えない様にしながら、薄く声を出さずに嗤う。
「おーい、マサムネ。持たせた例のアレちと持って来てくれー」
俺とマサムネの密談を知ってか知らずか、ドエインが熾した焚き火の前に居るアリシエーゼが声を張る。
アレって何だ?
「あ、はい。今持って行きます」
マサムネは俺に「では!」と言ってアリシエーゼの元に小走りで戻って行くが、一体何なんだろうかと首を傾げた。
気になったので立ち上がり俺はアリシエーゼの元に歩いていく。
マサムネは自分のバックパックの中をゴソゴソと手探りで漁っているが、どうにも嫌な予感がした。
「アリシエーゼ様が持ち込んだ物も今日使うのですか?」
大きな固まりを両手に持ってアリシエーゼに近付いたマサムネがそう言って焚き火の前に居るドエインに何かを手渡す。
「いやいやッ、量が明らかに多いだろ!?」
「何を言っておるッ、早く使わんと腐ってしまうじゃろ!」
「そうだが、こんな量一気に調理なんて出来ねぇって!」
アリシエーゼとドエインは、マサムネが持ち込んだ物とアリシエーゼが持ち込んだ物を見て悲痛な叫びを上げる。
「お前ら何やって―――」
「あッ、旦那!ちょっと姉御に言ってくれよ!魔界で何でこんな大量にボア肉焼かないといけないんだよ!?」
あー、そう言う事か・・・
ドエインの目の前にはもの凄い大きさのボア肉の生肉、その塊が二つ鎮座している。
その大きさはマサムネが両手で抱える程なのでそれだけで一体何人前のボア肉のステーキが焼けるのか分からない。
「・・・お前、バックパックがめちゃくちゃこんもりしてると思ったら、そんなもん持ち込んでたのか」
「そうじゃ!今日は記念すべきオフェの本気魔界攻略初日じゃろ!?じゃから夕飯は精の付くものをたんと食べて、明日からまた気合いを入れて頑張ろう!の会をしようと思ったのじゃッ」
どんな会だよと心の中でツッコミを入れながら改めて肉の固まりを見るが、どう考えても魔界の中でする食事の、それも一食の量では無い。
それが二つもあるのだから、どんだけ肉が食いたかったんだと呆れながらもある意味、凄い奴だと感心してしまった。
「それにしても、マサムネにも持たせるとかやり過ぎだろ・・・」
「何を言っておる、ムネチカとコテツにも持たせておるぞ?」
「ぇ・・・」
アリシエーゼの言葉にムネチカとコテツの方を見ると、二人は苦笑いをしていた。
マジかよ・・・
まぁ、持ち込んでしまったもの仕方無いので、ドエインに謝りつつ、美味しく調理してくれと頼んだ。
ドエインは「マジかよ」と言いながら早速調理の準備を始めるが、これが後にあんな出来事に発展するとは―――
いやいやッ、無いよ!
そんなテンプレみたいな展開無いよ!
ぇ、無い・・・よね・・・?
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