216 / 335
第5章:帝国と教会使者編
第216話:余暇
しおりを挟む
ホルスを出発して四日目。俺達は順調に旅を続けていた。
篤が作成指揮を行った移動要塞型馬車ゴリアテでの旅は今迄の通常の馬車や馬を使った旅から考えれば格段に便利に、そして快適となったと言っていいだろう。
尻があまり痛くならないベンチを始め、サスペンションの様な物やスタビライザー的な何かを組み込んだ車体はかなりの揺れを低減してくれているし、そもそも馬車内には必要な物はトイレと風呂以外は全て揃ってると言っても良かった。
野営だろうが何だろうが、調理器具一式に食事場所となるテーブルも直ぐに展開出来るし、器具自体も収納に全て格納されているし、食材や水と言った消耗品も全て格納している。
まぁ、料理を作れるのが目下ドエインしか居ないんだけどな・・・
そう、俺達はドエイン以外誰も料理を作れなかった。もしかしたら、何かを焼く、炒める位は出来るかも知れないが、それだけだ。
それでは料理とは言えないし、きっと誰もそんな物を望んでもいない。
贅沢な話だが、折角調理器具や食材が有り料理が出来る環境があるのなら誰しもちゃんとした料理が食べたいと思うのは当然と言えば当然だが・・・
何はともあれ、例え何日も連続して野営となっても特に問題は無かった。
ただ、そうなると風呂に入れずお湯で身体を拭くなどしか出来ないのが玉に瑕だが、それさえどうにかすれば間違いなく快適と言えるのだろう。
そして、このゴリアテを使った旅で一番のメリットは―――
「まさかここまで速く移動出来るとは思わなかったなぁ」
「そうですね、馬の休憩が要らないと言うのはかなり大きいですね」
俺は今、デス1―――では無い、マサムネと共に御者台に座っている。
ゴリアテの旅となり先ず決めた事は、御者の当番と料理当番だった。
料理の方は結局、ドエインが全て担当する事になり、代わりにドエインは御者は免除する事となった。
後は、ユーリーは全てを免除されている。勿論、可愛いからだ。
そんな訳で俺も当然御者の当番に組み込まれているのだが、馬の操作等は他人からその経験などを抜き取っているので問題は無い。
ただ、篤に関しては馬の操作などは出来ないので、当番となっても座っているだけだが・・・
「そうなんだよなぁ、イリアの継続回復魔法で馬も疲れ知らずで走り続ける事が出来るのもデカい」
「ですね」
手網を握っているマサムネとそんな会話を行っているが、現在は四日目の夜だ。
ゴリアテは一階と二階にあるベンチを展開すると二弾ベッドになる。
なので、御者さえ起きて馬を操れば、他は寝ながら移動が出来る。
更に、イリアの継続回復魔法であるリジェ―――げふんげふんッ―――基、心体活性継復魔と言う、継続的に体力や傷を癒す神聖魔法を馬に掛ける事により、黒王は疲れ知らずでどんどんとその走行距離を伸ばすのだ。
ただし、これは休憩があまり必要と成らないと言うだけで、睡眠や食事の時間は必要となるのでその場合は当然、立ち止まりその時間を取る。
イリア曰く―――
「私くらいの使い手になれば、一度掛けたら一日は効果が持続するわ!」
―――との事だったので、必要最低限の休息にして、黒王達には頑張って貰っている。
ゴリアテのベッドもかなり揺れ等は低減されている為、急発進、急停止、大きな段差等が無い限りは皆、特に不満も無く眠り続ける事が出来た。
「途中で立ち寄った村は二箇所で食材の補給と、宿屋の風呂に入っただけかぁ」
「アレはラッキーでしたね。まさかあの小さな村の宿に風呂があるとは思いませんでした」
「そうだな、街道には魔物もそれ程出ないし、何だか拍子抜けしてるけど」
「魔物が出ても殆ど素通りですしね」
帝国の街道には魔物は出る事には出る。サリー曰く、帝国も兵士が大きな街道等は巡回しているらしく定期的に魔物の間引きが行われているとのことだったが、それでも出る時は出る。
ただ、ゴブリンだのコボルトだのの低位の魔物は此方に気付き近寄って来るが、俺達は無視して走り去っていた。
大体は追い付けずその内諦めるのだが、中には追い付いて来る奴らや、急に横から現れて強襲してくる手合いも居るので、そう言った場合は対応を行っている。
盗賊とかバンバン現れてくれれば張り合いがあるってもんだけどなぁ
等と若干フラグを立ててみるが、あまり期待せずにいようとマサムネと会話を行いながら心の中で思う。
目的地となる帝国の西魔界は、帝国領の西側に位置し、ホルスからでは通常の馬車移動だと一ヶ月弱掛かる道程だ。
だが、かなり順調に一日の走行距離もなかなかのものの為、このままいけば二週間も掛からず到着するだろうとサリーは言っていた。
それから結局何も起きずに朝となり、一度、朝飯を伴った休憩を行う。
ドエインの作る料理はなかなか美味い。ソニ程では無いにしてもドエインの料理の腕は料理が出来ると言う評価に値するものだった。
ソニがプロの料理人だとすると、ドエインはさしずめ家庭料理が得意なお母さん的なポジションだ。
「お母さん、おかわり」
「誰がお母さんだッ!!」
俺がシチューの皿をドエインに差し出すと、文句を言いながらもおかわりをくれる。
何だかそんなやり取りもポカポカするなぁ等と思いながらも朝食を終えて、次の御者担当にバトンタッチを行い、俺とマサムネは仮眠を取る事にした。
「順調じゃのう」
「そうだな」
ゴリアテの二階で仮眠の準備をしていると、一緒に二階に上がって来たアリシエーゼがそんな事を言い始めるので、同じ思いなのかと思いながら返事を返す。
「何かこう、盗賊みたいな輩が襲って来たりせんかのう」
「・・・・・・」
あれ、俺とアリシエーゼって同レベルの思考回路なんだっけか・・・
若干―――そう、若干ではあるがちょっとその・・・恥ずかしくなってきた。
「のう、そう思わんか?」
「あ、あぁ、そうだな・・・今後に期待しよう」
「??」
俺の若干ぎこち無い返答にアリシエーゼは怪訝そうな表情をするが、それを無視して俺は仮眠を取る事にした。
俺が寝る間ずっと、アリシエーゼはつまらないだの、身体を動かしたいだのと小言を言っていたが、俺はそれを子守唄に眠りについた。
今日は何かイベントが起こります様に・・・
篤が作成指揮を行った移動要塞型馬車ゴリアテでの旅は今迄の通常の馬車や馬を使った旅から考えれば格段に便利に、そして快適となったと言っていいだろう。
尻があまり痛くならないベンチを始め、サスペンションの様な物やスタビライザー的な何かを組み込んだ車体はかなりの揺れを低減してくれているし、そもそも馬車内には必要な物はトイレと風呂以外は全て揃ってると言っても良かった。
野営だろうが何だろうが、調理器具一式に食事場所となるテーブルも直ぐに展開出来るし、器具自体も収納に全て格納されているし、食材や水と言った消耗品も全て格納している。
まぁ、料理を作れるのが目下ドエインしか居ないんだけどな・・・
そう、俺達はドエイン以外誰も料理を作れなかった。もしかしたら、何かを焼く、炒める位は出来るかも知れないが、それだけだ。
それでは料理とは言えないし、きっと誰もそんな物を望んでもいない。
贅沢な話だが、折角調理器具や食材が有り料理が出来る環境があるのなら誰しもちゃんとした料理が食べたいと思うのは当然と言えば当然だが・・・
何はともあれ、例え何日も連続して野営となっても特に問題は無かった。
ただ、そうなると風呂に入れずお湯で身体を拭くなどしか出来ないのが玉に瑕だが、それさえどうにかすれば間違いなく快適と言えるのだろう。
そして、このゴリアテを使った旅で一番のメリットは―――
「まさかここまで速く移動出来るとは思わなかったなぁ」
「そうですね、馬の休憩が要らないと言うのはかなり大きいですね」
俺は今、デス1―――では無い、マサムネと共に御者台に座っている。
ゴリアテの旅となり先ず決めた事は、御者の当番と料理当番だった。
料理の方は結局、ドエインが全て担当する事になり、代わりにドエインは御者は免除する事となった。
後は、ユーリーは全てを免除されている。勿論、可愛いからだ。
そんな訳で俺も当然御者の当番に組み込まれているのだが、馬の操作等は他人からその経験などを抜き取っているので問題は無い。
ただ、篤に関しては馬の操作などは出来ないので、当番となっても座っているだけだが・・・
「そうなんだよなぁ、イリアの継続回復魔法で馬も疲れ知らずで走り続ける事が出来るのもデカい」
「ですね」
手網を握っているマサムネとそんな会話を行っているが、現在は四日目の夜だ。
ゴリアテは一階と二階にあるベンチを展開すると二弾ベッドになる。
なので、御者さえ起きて馬を操れば、他は寝ながら移動が出来る。
更に、イリアの継続回復魔法であるリジェ―――げふんげふんッ―――基、心体活性継復魔と言う、継続的に体力や傷を癒す神聖魔法を馬に掛ける事により、黒王は疲れ知らずでどんどんとその走行距離を伸ばすのだ。
ただし、これは休憩があまり必要と成らないと言うだけで、睡眠や食事の時間は必要となるのでその場合は当然、立ち止まりその時間を取る。
イリア曰く―――
「私くらいの使い手になれば、一度掛けたら一日は効果が持続するわ!」
―――との事だったので、必要最低限の休息にして、黒王達には頑張って貰っている。
ゴリアテのベッドもかなり揺れ等は低減されている為、急発進、急停止、大きな段差等が無い限りは皆、特に不満も無く眠り続ける事が出来た。
「途中で立ち寄った村は二箇所で食材の補給と、宿屋の風呂に入っただけかぁ」
「アレはラッキーでしたね。まさかあの小さな村の宿に風呂があるとは思いませんでした」
「そうだな、街道には魔物もそれ程出ないし、何だか拍子抜けしてるけど」
「魔物が出ても殆ど素通りですしね」
帝国の街道には魔物は出る事には出る。サリー曰く、帝国も兵士が大きな街道等は巡回しているらしく定期的に魔物の間引きが行われているとのことだったが、それでも出る時は出る。
ただ、ゴブリンだのコボルトだのの低位の魔物は此方に気付き近寄って来るが、俺達は無視して走り去っていた。
大体は追い付けずその内諦めるのだが、中には追い付いて来る奴らや、急に横から現れて強襲してくる手合いも居るので、そう言った場合は対応を行っている。
盗賊とかバンバン現れてくれれば張り合いがあるってもんだけどなぁ
等と若干フラグを立ててみるが、あまり期待せずにいようとマサムネと会話を行いながら心の中で思う。
目的地となる帝国の西魔界は、帝国領の西側に位置し、ホルスからでは通常の馬車移動だと一ヶ月弱掛かる道程だ。
だが、かなり順調に一日の走行距離もなかなかのものの為、このままいけば二週間も掛からず到着するだろうとサリーは言っていた。
それから結局何も起きずに朝となり、一度、朝飯を伴った休憩を行う。
ドエインの作る料理はなかなか美味い。ソニ程では無いにしてもドエインの料理の腕は料理が出来ると言う評価に値するものだった。
ソニがプロの料理人だとすると、ドエインはさしずめ家庭料理が得意なお母さん的なポジションだ。
「お母さん、おかわり」
「誰がお母さんだッ!!」
俺がシチューの皿をドエインに差し出すと、文句を言いながらもおかわりをくれる。
何だかそんなやり取りもポカポカするなぁ等と思いながらも朝食を終えて、次の御者担当にバトンタッチを行い、俺とマサムネは仮眠を取る事にした。
「順調じゃのう」
「そうだな」
ゴリアテの二階で仮眠の準備をしていると、一緒に二階に上がって来たアリシエーゼがそんな事を言い始めるので、同じ思いなのかと思いながら返事を返す。
「何かこう、盗賊みたいな輩が襲って来たりせんかのう」
「・・・・・・」
あれ、俺とアリシエーゼって同レベルの思考回路なんだっけか・・・
若干―――そう、若干ではあるがちょっとその・・・恥ずかしくなってきた。
「のう、そう思わんか?」
「あ、あぁ、そうだな・・・今後に期待しよう」
「??」
俺の若干ぎこち無い返答にアリシエーゼは怪訝そうな表情をするが、それを無視して俺は仮眠を取る事にした。
俺が寝る間ずっと、アリシエーゼはつまらないだの、身体を動かしたいだのと小言を言っていたが、俺はそれを子守唄に眠りについた。
今日は何かイベントが起こります様に・・・
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
魔法使いと彼女を慕う3匹の黒竜~魔法は最強だけど溺愛してくる竜には勝てる気がしません~
村雨 妖
恋愛
森で1人のんびり自由気ままな生活をしながら、たまに王都の冒険者のギルドで依頼を受け、魔物討伐をして過ごしていた”最強の魔法使い”の女の子、リーシャ。
ある依頼の際に彼女は3匹の小さな黒竜と出会い、一緒に生活するようになった。黒竜の名前は、ノア、ルシア、エリアル。毎日可愛がっていたのに、ある日突然黒竜たちは姿を消してしまった。代わりに3人の人間の男が家に現れ、彼らは自分たちがその黒竜だと言い張り、リーシャに自分たちの”番”にするとか言ってきて。
半信半疑で彼らを受け入れたリーシャだが、一緒に過ごすうちにそれが本当の事だと思い始めた。彼らはリーシャの気持ちなど関係なく自分たちの好きにふるまってくる。リーシャは彼らの好意に鈍感ではあるけど、ちょっとした言動にドキッとしたり、モヤモヤしてみたりて……お互いに振り回し、振り回されの毎日に。のんびり自由気ままな生活をしていたはずなのに、急に慌ただしい生活になってしまって⁉ 3人との出会いを境にいろんな竜とも出会うことになり、関わりたくない竜と人間のいざこざにも巻き込まれていくことに!※”小説家になろう”でも公開しています。※表紙絵自作の作品です。
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
異世界でもプログラム
北きつね
ファンタジー
俺は、元プログラマ・・・違うな。社内の便利屋。火消し部隊を率いていた。
とあるシステムのデスマの最中に、SIer の不正が発覚。
火消しに奔走する日々。俺はどうやらシステムのカットオーバの日を見ることができなかったようだ。
転生先は、魔物も存在する、剣と魔法の世界。
魔法がをプログラムのように作り込むことができる。俺は、異世界でもプログラムを作ることができる!
---
こんな生涯をプログラマとして過ごした男が転生した世界が、魔法を”プログラム”する世界。
彼は、プログラムの知識を利用して、魔法を編み上げていく。
注)第七話+幕間2話は、現実世界の話で転生前です。IT業界の事が書かれています。
実際にあった話ではありません。”絶対”に違います。知り合いのIT業界の人に聞いたりしないでください。
第八話からが、一般的な転生ものになっています。テンプレ通りです。
注)作者が楽しむ為に書いています。
誤字脱字が多いです。誤字脱字は、見つけ次第直していきますが、更新はまとめてになります。
転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
ミネルヴァ大陸戦記
一条 千種
ファンタジー
遠き異世界、ミネルヴァ大陸の歴史に忽然と現れた偉大なる術者の一族。
その力は自然の摂理をも凌駕するほどに強力で、世界の安定と均衡を保つため、決して邪心を持つ人間に授けてはならないものとされていた。
しかし、術者の心の素直さにつけこんだ一人の野心家の手で、その能力は拡散してしまう。
世界は術者の力を恐れ、次第に彼らは自らの異能を隠し、術者の存在はおとぎ話として語られるのみとなった。
時代は移り、大陸西南に位置するロンバルディア教国。
美しき王女・エスメラルダが戴冠を迎えようとする日に、術者の末裔は再び世界に現れる。
ほぼ同時期、別の国では邪悪な術者が大国の支配権を手に入れようとしていた。
術者の再臨とともに大きく波乱へと動き出す世界の歴史を、主要な人物にスポットを当て群像劇として描いていく。
※作中に一部差別用語を用いていますが、あくまで文学的意図での使用であり、当事者を差別する意図は一切ありません
※作中の舞台は、科学的には史実世界と同等の進行速度ですが、文化的あるいは政治思想的には架空の設定を用いています。そのため近代民主主義国家と封建制国家が同じ科学レベルで共存している等の設定があります
※表現は控えめを意識していますが、一部残酷描写や性的描写があります
世界⇔異世界 THERE AND BACK!!
西順
ファンタジー
ある日、異世界と行き来できる『門』を手に入れた。
友人たちとの下校中に橋で多重事故に巻き込まれたハルアキは、そのきっかけを作った天使からお詫びとしてある能力を授かる。それは、THERE AND BACK=往復。異世界と地球を行き来する能力だった。
しかし異世界へ転移してみると、着いた先は暗い崖の下。しかも出口はどこにもなさそうだ。
「いや、これ詰んでない? 仕方ない。トンネル掘るか!」
これはRPGを彷彿とさせるゲームのように、魔法やスキルの存在する剣と魔法のファンタジー世界と地球を往復しながら、主人公たちが降り掛かる数々の問題を、時に強引に、時に力業で解決していく冒険譚。たまには頭も使うかも。
週一、不定期投稿していきます。
小説家になろう、カクヨム、ノベルアップ+でも投稿しています。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる