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第4章:偽りの聖女編
第197話:偽りの聖女
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ガヤガヤとここが魔界である事も忘れた様に騒いでいた俺達―――いや、主に女子共だが―――は、いつの間にか口を開かなくなり、只管地上を目指した。
最下層から暫くは、他のフロアがどうなっているのか分からず、突然魔物が群れを成して襲って来るのではと警戒していた事も有りゆっくりと歩いていたのだが、二層程そのゆったりとしたペースで上がってみたが、特に問題が起こる事も無かったのでペースを上げた。
しかし、篤は右腕を失っておりバランス感覚もおかしいらしく無理もさせられない為、篤のペースに自然と合わせる形となったのでそこまでハイペースでは無かった。
「お前、その腕どうするんだ?」
自分で言っていてどうするも何も無いよなと思いつつ、俺は篤へ質問する。
「片腕では何かと不便だからな。作ろうと思う」
「は?」
作るって何を?腕を?
「最高級の素材は手に入れた事だし、地上に帰ったらとりあえず暇なのだろ?だったら私は少し研究に没頭したい」
「ぇ、いやいやいや!時間とかの問題じゃ無くてだな・・・」
「ん??」
篤は俺の言葉にまるで意味が分からないと言った様な表情をしていたが、そもそも腕を作るってどう言う事だろうか・・・
出来るのかと言う事もあるし、それが義手の様なものなのか、それとも別物なのか・・・
「別に態々そんな事しなくても、エル教の高位の司祭とかなら、部分欠損治せる奴もいるんじゃないか?俺なら直ぐに話付けられるぞ?」
「・・・いや、この機に私自身の改造計画も始動させたい」
「うん・・・?改造?」
何言ってるんだろうか、此奴は・・・
改造って何だ!?
自分を改造するの!?
剣と魔法のファンタジー世界に、ロボとかの要素持ち込んじゃうの!?
「私の願いは以前言っただろう?理想の女性に出会う前に私自身も理想の自分にならなければならないだろう?」
「ぇ・・・あ、はぃ」
駄目だ・・・
此奴には何を言っても理解されないし無駄だ
篤の能力はハッキリ言って謎だ。
以前に少し聞いたが、それは俺の解釈を「そんな様なものだ」と言っただけで、篤の口から直接どう言ったものかは聞かされていない。
なので、色々と秘密にしている事ほありそうだったが、俺は特にそれを問い質す事はしない。
秘密にしたいと言うならそれでいいさ
篤との会話を早々に切り上げ、後は只管地上を目指した。
途中休憩したり、アリシエーゼの懐中時計の様な物で時間を確認して野営したりもしたが、頗る順調だった。
下層の深いフロアでは、最下層へと集まって来ていたからか、殆ど魔物は居なかった。
階層を上がるにつれ、最下層に集められた者から溢れた魔物が時折襲っては来たものの、特に脅威とは成らず接敵したらアリシエーゼが尽く潰していた。物理的な意味でも・・・
なので二日目の夜には早くも五層まで戻って来る事が出来たのだが、野営中に俺は考えていた事を皆に伝える。
「ちょっと考えていたんだけど、地上への帰還は夜中になる様に調整しないか?」
ダンジョン内で焚火を囲みながら突然そんな話を切り出した俺に皆が注目する。
五層と六層の間の広間の様なスペースで野営をしているが、ダンジョンだから焚火をしては行けないとかは無い筈なので特に気にする事も無く、それぞれバックパックに分けて入れていた木材等を集めて準備したのだが、それを見てファイ達は目を丸くしていたのを思い出す。
それは別にダンジョン内に焚火グッズを持ち込んでいる事に対してでは無く、あれだけの死闘を演じていながら所持品を未だに無事に持ち歩いている事と、その後に何ら普段と変わりなくダンジョン内で寛ぎ始める俺達に対してのものだったが。
まぁ、気にしない、気にしない
「・・・それはどうしてだい?」
パチリと焚火が弾ける音と共にファイが俺に返す。
「あまり今回の件で騒がれたくない。と言うか、あまり目立ちたく無い」
「ある意味、魔界を攻略したんだよ?正当な評価は受けるべきだよ」
「・・・仲間を、家族を犠牲にしちまったって言う評価は甘んじて受けるが、英雄だ何だと持て囃される様な事は何一つしてないし、そんな評価は俺は受け付けない」
「それは・・・・・・いや、そうか。でも遅かれ早かれ私達が帰還した事は知れるだろうし、人々は注目せずにはいられないと思うよ?」
今後、フェイクスや上位の悪魔が居ない事で魔界自体が、その魔界の生態系等がどうなっていくのかは分からない。
ダンジョンと言うか魔界自体はまだ残っているし、きっと魔物も産まれ続けるのだろうが、どうやってやり取りをしていたかは知らないが、地獄産と思われる装備品等は今後望めないかも知れない。
そうなると、ホルスの魔界産業とも言うべき今の経済は先細りする事は目に見えている。
そんな状態にした俺達は一体、英雄なのかそれとも・・・
そんな事を知ったこっちゃ無いんだけどな
ホルスが、どうなろうが自分にはあまり関係が無く興味も無い。
元々ここに永く留まるつもりも無かったし、俺はこの世界を自由に、そして気ままに旅をして面白可笑しく生きていきたいだけなのだ。
「その前にさっさとトンズラするし、本当に面倒な事は遠慮したいんだ」
「いや、でも―――」
「私も攻略者として名乗り出るつもりは無いわよッ」
ファイの言葉を遮ってそれまで黙っていたイリアが口を開く。
「イリア様ッ!?それはどういう意味ですか!?」
「そのままの意味よ。私はもう聖女では無いのだし、そもそもそんな存在しない聖女イリアが表に出て来たら訳が分からなくなるでしょ!?」
イリアの全ての記録や、イリアを監視していた部隊?の者の記憶からイリアを消した事はダグラス含めここに居るものは知っている。
あの後確認はしていないが、上手くいっていればエル教会からイリアの記録自体は全て抹消されているので、聖女イリアを知っている者はかなり多いが、記録が無い以上ただの記憶上の存在でしかない。
また教会がイリアに監視魔法の様なものを仕掛けてくる可能性はあるが、それも一応は手を打っているしそれが上手く行かずイリアに害が及ぶ様なら俺が再度出張っても良いと思っていた。
「し、しかしッ、魔界攻略は教会の、しいては歴代聖女様の悲願ですよ!?それを成したイリア様は胸を張り誇るべきです!正当な評価をされるべきですッ」
「嫌よッ、私はもう聖女では無いの!少なくとも記録上は聖女イリアは存在しない!そうでしょ?」
イリアは強い口調でダグラスに言い、俺に確認をした。
「あぁ、そんな奴はこの世には存在しない。お前はただのイリアだよ」
「・・・そう、良かった」
俺の断言した言葉にイリアは心から安堵した様な表情をしたが四六時中、隙間など無く一切を監視される。
寝てる時も勿論トイレの時も、プライベートなど一秒足りとも存在しない。
そんな生活をイリアはずっと送って来た。それは想像するだけで恐ろしく、惨い。
それを悪びれもせず行う教会にここに居る誰もが疑問と言うより嫌悪感を抱かずにはいられない。
そんな生活から漸く解放されるかも知れないのに、またその残酷な人生を歩めと誰が言えるだろうか。
「・・・ですがッ、私はイリア様をお護りする為に存在しています。私はの剣と盾は聖女様に捧げたのです。死んで行った仲間達も同じです」
「・・・・・・」
ダグラスは騎士だ。この世界の騎士がどう言った者達なのか此奴らしか見て来ていない俺は判断する事は出来ないが、少なくともダグラスは実直で強さも有り、自身の騎士道を誇りに今日まで生きて来て、命を捧げて来た筈だ。
イリアがもう聖女では無いからと言われて、今までやって来た事を忘れろと言われても、ダグラスの言う通り、イリアの為に本当の意味で命を捧げて来た他の騎士達に顔向けも出来ないし、なんと言えば良いのか分からないと言うのは分かる。
今までの自身の、仲間の人生とは何だったのか、これまでの時間は無駄だったのかと思わずにはいられないだろう。
「死んで行った仲間達も聖女イリア様が魔界を攻略されたと胸を張り天へ召されるべきです・・・そうでなければッ―――」
「―――分かりました。貴方達がそう望むなら私は今一度、この瞬間だけ聖女に戻りましょう」
「お、おい・・・」
聖女に戻るって正気か!?
そう思い止めに入ろうかと思う俺をイリアが手で制した。
「ダグラス、そして私の為、教会の悲願の為、全人類の為に今まで本当に良く尽くしてくれました。聖女イリアとその守護たるダリス中央方面軍教会派遣団聖女付き騎士団は、魔界に蔓延る悪とその元凶足る子爵級悪魔フェイクスを討ち取り、ここホルスの地に安寧を齎した事を今この場でッ、この聖女たる私が宣言しますッ!」
「せ、聖女様・・・」
イリアの前で両膝を付き祈る形のダグラスは、堂々とそう宣言するイリアを仰ぎ見る。
イリアはそんなダグラスを見下ろし、一度ニコリと笑い再び表情を引き締めて真正面を見て続けた。
「これで聖女イリア使命は全うされました!そして最後に聖女イリアの名の元命じますッ、只今を持って聖女護衛の任を解きます!!今まで本当にお疲れ様でした!!皆・・・ありがとうございましたぁ!!」
「ぁ、そ、そんな・・・」
イリアは最後泣きながら頭を深々と下げ叫んだ。
ダグラスはそれを受け、放心するかの様に跪きそして項垂れる。
「ダグラス、本当に今までありがとう。私はもう聖女としては生きないって決めたの。騎士の方々はそんな事許さないって言うかも知れないけど、でも・・・」
イリアはダグラスに合わせる様に跪き、そしてダグラスの肩にそっと手を置き言った。
「私は・・・私はこれからはただのイリアとして生きて行きます、ごめんなさい。皆ごめんね、私なんかの為に・・・ごめんね」
ダグラスの肩に額を当ててイリアは泣いた。それまでずっと我慢して、堰き止めて溜め込んでいた気持ちがまるでダムが決壊したかの様に一気に溢れ出す。
子供の様に泣くイリアに直ぐに気を持ち直しダグラスは、一瞬戸惑うがイリアの頭をそっと撫でて抱き締めた。
「・・・貴女はもうただのイリアだ。仲間達も貴女の人生に幸があらん事をきっと天から見て望んでいます」
「・・・うん、ありがとう」
あぁ・・・やっぱりイリアは聖女だったのだろう
こらを見て俺はそう思った。散々、偽物だなんだと罵っていたが、イリアだから、イリアだからこそ聖女たらしめたのだとこの時も理解した。
暫く、大男が、華奢な戻る聖女をあやすと言う何ともシュールな光景が続いたが、イリアは唐突に立ち上がり、ダグラスの肩に手をポンと置いた。
「ダグラス、これからは貴方の好きな様に生きなさい。命令よッ」
「・・・はい」
俺はそんな二人のやり取りを微笑ましく見ていたが、イリアは今度は俺に振り返り何とも言えない悪戯好きの子供の様な顔をして言った。
「ッと、言う訳だからこれからよろしくね!」
「は、はぁ!?」
突然の分けが分からない宣言に俺は目を丸くするが、よろしくとはどう言う事だろうか?
「私がこれからもただのイリアで居られる様にアンタが責任取ってくれるって言ってたでしょ?」
「んな事をは言ってねぇぞ!?」
「じゃあ私がまた教会に狙われてもアンタは関係無いって、他人を決め込むのね?」
「い、いや、それは・・・」
「だったらッ、何かあった時に近くに居た方がアンタも動き易いじゃない!」
「そうだけど・・・」
何だか強引に流されている様な気がしてならないが、確かにアフターケアはするって言った様な気もするし、教会がまたイリアにちょっかいを出してくるのを想像すると他人事だが正直イラついて来る。
「ちょ、ちょっと待つのじゃ!本当にこんな乳臭いガキを一緒に連れて行くのか!?」
「乳臭いって何よッ、アンタの方がよっぽと乳臭いでしょうが!」
「なんじゃと!?妾はもう立派なれでぃじゃ!舐めるでないッ」
あー、また始まったよ・・・
イリアの同行に難癖を付けてアリシエーゼがギャアギャアと騒ぎ始める。
それに頭を抱えてどうしたもんかと思っていると、それまで黙ってことの成り行きを見守っていたドエインが立ち上がり騒ぐ二人に近付く。
「・・・・・・お前は聖女じゃねぇ。俺は認めねぇ。本当の聖女はアカリだ」
「―――私くらいの背にらなってから・・・・・・っえ?あ、うん・・・そうね」
突然のドエインの言葉にアリシエーゼとわちゃわちゃしていたイリアが驚きながらも反応する。
ドエインと真正面から向き合う形となったイリアは臆する事無くドエインの目を見る。
「アカリは、本当に聖女だったんだ。皆助けられただろ。命を救って貰っただろ・・・」
「・・・そうね。私はあの子の力を初めて見た時から確信していたわ、本物の聖女はあの子、アカリさんだって。だから私は偽りの聖女。何の力も無く誰も助けられない名ばかりの聖女よ、私は。元だけど・・・認めるわ、こんな偽りの聖女が認めた所で何にもならないけどね」
イリアはドエインの目を見ながらそう言って小さく笑う。
「・・・・・・そうか。なら、俺から言う事なねぇ」
ドエインは小さく驚いてからそう呟き、また元の位置に戻って行く。
イリアは心からそう思い、明莉の方こそ聖女に相応しいと言った。
そこに嘘偽りが無い事は目を見てしっかりと向き合ったドエインなら分かるのだろう。
これでドエインの気持ちに整理が付いたかどうかは分からないかま、少なくともイリアが今後同行する事に憂いは無くなるだろうと思ってそっとため息を付いた。
「―――と、兎に角じゃ!妾は反対じゃッ!一緒に来る女は・・・そうッ!これくらいバインバインで無ければならんと言う掟があるんじゃッ」
仕切り直しとばかりにこれまでの場の空気をぶち壊してアリシエーゼはイリア加入反対運動を再開するが、何をとち狂ったのか掟等と言うアリもしない物をでっちあげ、モニカを探し素早く背後に回ると小さい手でこれでもかと、モニカのバインバインを揉みしだいた。マジで突然に。
「キャァアアアアッ!?ア、アリシエーゼさんッ!?な、何してるんですか!?」
「これくらいけしからん物を持っておらんとハルと一緒に来る事をは叶わんと知れッ、痴れ者が!!」
痴れ者はお前だろ・・・
俺は敢えてそれを言葉にする事をは無かったが、イリアは一歩も引かなかった。
「はぁ!?だったらアンタなんて論外じゃない!私の方がまだ望みはあるわよッ、この、ペチャガキがッ!!」
ペチャガキ・・・
まぁ、言わんとする意味は分かる・・・
「ペ、ペペッ!?ペチャ!?!?」
俺は大きくため息を付いて、魔界で大騒ぎをしながら野営する自分達を想像した。
はぁ・・・
まぁ、でもいいか
最下層から暫くは、他のフロアがどうなっているのか分からず、突然魔物が群れを成して襲って来るのではと警戒していた事も有りゆっくりと歩いていたのだが、二層程そのゆったりとしたペースで上がってみたが、特に問題が起こる事も無かったのでペースを上げた。
しかし、篤は右腕を失っておりバランス感覚もおかしいらしく無理もさせられない為、篤のペースに自然と合わせる形となったのでそこまでハイペースでは無かった。
「お前、その腕どうするんだ?」
自分で言っていてどうするも何も無いよなと思いつつ、俺は篤へ質問する。
「片腕では何かと不便だからな。作ろうと思う」
「は?」
作るって何を?腕を?
「最高級の素材は手に入れた事だし、地上に帰ったらとりあえず暇なのだろ?だったら私は少し研究に没頭したい」
「ぇ、いやいやいや!時間とかの問題じゃ無くてだな・・・」
「ん??」
篤は俺の言葉にまるで意味が分からないと言った様な表情をしていたが、そもそも腕を作るってどう言う事だろうか・・・
出来るのかと言う事もあるし、それが義手の様なものなのか、それとも別物なのか・・・
「別に態々そんな事しなくても、エル教の高位の司祭とかなら、部分欠損治せる奴もいるんじゃないか?俺なら直ぐに話付けられるぞ?」
「・・・いや、この機に私自身の改造計画も始動させたい」
「うん・・・?改造?」
何言ってるんだろうか、此奴は・・・
改造って何だ!?
自分を改造するの!?
剣と魔法のファンタジー世界に、ロボとかの要素持ち込んじゃうの!?
「私の願いは以前言っただろう?理想の女性に出会う前に私自身も理想の自分にならなければならないだろう?」
「ぇ・・・あ、はぃ」
駄目だ・・・
此奴には何を言っても理解されないし無駄だ
篤の能力はハッキリ言って謎だ。
以前に少し聞いたが、それは俺の解釈を「そんな様なものだ」と言っただけで、篤の口から直接どう言ったものかは聞かされていない。
なので、色々と秘密にしている事ほありそうだったが、俺は特にそれを問い質す事はしない。
秘密にしたいと言うならそれでいいさ
篤との会話を早々に切り上げ、後は只管地上を目指した。
途中休憩したり、アリシエーゼの懐中時計の様な物で時間を確認して野営したりもしたが、頗る順調だった。
下層の深いフロアでは、最下層へと集まって来ていたからか、殆ど魔物は居なかった。
階層を上がるにつれ、最下層に集められた者から溢れた魔物が時折襲っては来たものの、特に脅威とは成らず接敵したらアリシエーゼが尽く潰していた。物理的な意味でも・・・
なので二日目の夜には早くも五層まで戻って来る事が出来たのだが、野営中に俺は考えていた事を皆に伝える。
「ちょっと考えていたんだけど、地上への帰還は夜中になる様に調整しないか?」
ダンジョン内で焚火を囲みながら突然そんな話を切り出した俺に皆が注目する。
五層と六層の間の広間の様なスペースで野営をしているが、ダンジョンだから焚火をしては行けないとかは無い筈なので特に気にする事も無く、それぞれバックパックに分けて入れていた木材等を集めて準備したのだが、それを見てファイ達は目を丸くしていたのを思い出す。
それは別にダンジョン内に焚火グッズを持ち込んでいる事に対してでは無く、あれだけの死闘を演じていながら所持品を未だに無事に持ち歩いている事と、その後に何ら普段と変わりなくダンジョン内で寛ぎ始める俺達に対してのものだったが。
まぁ、気にしない、気にしない
「・・・それはどうしてだい?」
パチリと焚火が弾ける音と共にファイが俺に返す。
「あまり今回の件で騒がれたくない。と言うか、あまり目立ちたく無い」
「ある意味、魔界を攻略したんだよ?正当な評価は受けるべきだよ」
「・・・仲間を、家族を犠牲にしちまったって言う評価は甘んじて受けるが、英雄だ何だと持て囃される様な事は何一つしてないし、そんな評価は俺は受け付けない」
「それは・・・・・・いや、そうか。でも遅かれ早かれ私達が帰還した事は知れるだろうし、人々は注目せずにはいられないと思うよ?」
今後、フェイクスや上位の悪魔が居ない事で魔界自体が、その魔界の生態系等がどうなっていくのかは分からない。
ダンジョンと言うか魔界自体はまだ残っているし、きっと魔物も産まれ続けるのだろうが、どうやってやり取りをしていたかは知らないが、地獄産と思われる装備品等は今後望めないかも知れない。
そうなると、ホルスの魔界産業とも言うべき今の経済は先細りする事は目に見えている。
そんな状態にした俺達は一体、英雄なのかそれとも・・・
そんな事を知ったこっちゃ無いんだけどな
ホルスが、どうなろうが自分にはあまり関係が無く興味も無い。
元々ここに永く留まるつもりも無かったし、俺はこの世界を自由に、そして気ままに旅をして面白可笑しく生きていきたいだけなのだ。
「その前にさっさとトンズラするし、本当に面倒な事は遠慮したいんだ」
「いや、でも―――」
「私も攻略者として名乗り出るつもりは無いわよッ」
ファイの言葉を遮ってそれまで黙っていたイリアが口を開く。
「イリア様ッ!?それはどういう意味ですか!?」
「そのままの意味よ。私はもう聖女では無いのだし、そもそもそんな存在しない聖女イリアが表に出て来たら訳が分からなくなるでしょ!?」
イリアの全ての記録や、イリアを監視していた部隊?の者の記憶からイリアを消した事はダグラス含めここに居るものは知っている。
あの後確認はしていないが、上手くいっていればエル教会からイリアの記録自体は全て抹消されているので、聖女イリアを知っている者はかなり多いが、記録が無い以上ただの記憶上の存在でしかない。
また教会がイリアに監視魔法の様なものを仕掛けてくる可能性はあるが、それも一応は手を打っているしそれが上手く行かずイリアに害が及ぶ様なら俺が再度出張っても良いと思っていた。
「し、しかしッ、魔界攻略は教会の、しいては歴代聖女様の悲願ですよ!?それを成したイリア様は胸を張り誇るべきです!正当な評価をされるべきですッ」
「嫌よッ、私はもう聖女では無いの!少なくとも記録上は聖女イリアは存在しない!そうでしょ?」
イリアは強い口調でダグラスに言い、俺に確認をした。
「あぁ、そんな奴はこの世には存在しない。お前はただのイリアだよ」
「・・・そう、良かった」
俺の断言した言葉にイリアは心から安堵した様な表情をしたが四六時中、隙間など無く一切を監視される。
寝てる時も勿論トイレの時も、プライベートなど一秒足りとも存在しない。
そんな生活をイリアはずっと送って来た。それは想像するだけで恐ろしく、惨い。
それを悪びれもせず行う教会にここに居る誰もが疑問と言うより嫌悪感を抱かずにはいられない。
そんな生活から漸く解放されるかも知れないのに、またその残酷な人生を歩めと誰が言えるだろうか。
「・・・ですがッ、私はイリア様をお護りする為に存在しています。私はの剣と盾は聖女様に捧げたのです。死んで行った仲間達も同じです」
「・・・・・・」
ダグラスは騎士だ。この世界の騎士がどう言った者達なのか此奴らしか見て来ていない俺は判断する事は出来ないが、少なくともダグラスは実直で強さも有り、自身の騎士道を誇りに今日まで生きて来て、命を捧げて来た筈だ。
イリアがもう聖女では無いからと言われて、今までやって来た事を忘れろと言われても、ダグラスの言う通り、イリアの為に本当の意味で命を捧げて来た他の騎士達に顔向けも出来ないし、なんと言えば良いのか分からないと言うのは分かる。
今までの自身の、仲間の人生とは何だったのか、これまでの時間は無駄だったのかと思わずにはいられないだろう。
「死んで行った仲間達も聖女イリア様が魔界を攻略されたと胸を張り天へ召されるべきです・・・そうでなければッ―――」
「―――分かりました。貴方達がそう望むなら私は今一度、この瞬間だけ聖女に戻りましょう」
「お、おい・・・」
聖女に戻るって正気か!?
そう思い止めに入ろうかと思う俺をイリアが手で制した。
「ダグラス、そして私の為、教会の悲願の為、全人類の為に今まで本当に良く尽くしてくれました。聖女イリアとその守護たるダリス中央方面軍教会派遣団聖女付き騎士団は、魔界に蔓延る悪とその元凶足る子爵級悪魔フェイクスを討ち取り、ここホルスの地に安寧を齎した事を今この場でッ、この聖女たる私が宣言しますッ!」
「せ、聖女様・・・」
イリアの前で両膝を付き祈る形のダグラスは、堂々とそう宣言するイリアを仰ぎ見る。
イリアはそんなダグラスを見下ろし、一度ニコリと笑い再び表情を引き締めて真正面を見て続けた。
「これで聖女イリア使命は全うされました!そして最後に聖女イリアの名の元命じますッ、只今を持って聖女護衛の任を解きます!!今まで本当にお疲れ様でした!!皆・・・ありがとうございましたぁ!!」
「ぁ、そ、そんな・・・」
イリアは最後泣きながら頭を深々と下げ叫んだ。
ダグラスはそれを受け、放心するかの様に跪きそして項垂れる。
「ダグラス、本当に今までありがとう。私はもう聖女としては生きないって決めたの。騎士の方々はそんな事許さないって言うかも知れないけど、でも・・・」
イリアはダグラスに合わせる様に跪き、そしてダグラスの肩にそっと手を置き言った。
「私は・・・私はこれからはただのイリアとして生きて行きます、ごめんなさい。皆ごめんね、私なんかの為に・・・ごめんね」
ダグラスの肩に額を当ててイリアは泣いた。それまでずっと我慢して、堰き止めて溜め込んでいた気持ちがまるでダムが決壊したかの様に一気に溢れ出す。
子供の様に泣くイリアに直ぐに気を持ち直しダグラスは、一瞬戸惑うがイリアの頭をそっと撫でて抱き締めた。
「・・・貴女はもうただのイリアだ。仲間達も貴女の人生に幸があらん事をきっと天から見て望んでいます」
「・・・うん、ありがとう」
あぁ・・・やっぱりイリアは聖女だったのだろう
こらを見て俺はそう思った。散々、偽物だなんだと罵っていたが、イリアだから、イリアだからこそ聖女たらしめたのだとこの時も理解した。
暫く、大男が、華奢な戻る聖女をあやすと言う何ともシュールな光景が続いたが、イリアは唐突に立ち上がり、ダグラスの肩に手をポンと置いた。
「ダグラス、これからは貴方の好きな様に生きなさい。命令よッ」
「・・・はい」
俺はそんな二人のやり取りを微笑ましく見ていたが、イリアは今度は俺に振り返り何とも言えない悪戯好きの子供の様な顔をして言った。
「ッと、言う訳だからこれからよろしくね!」
「は、はぁ!?」
突然の分けが分からない宣言に俺は目を丸くするが、よろしくとはどう言う事だろうか?
「私がこれからもただのイリアで居られる様にアンタが責任取ってくれるって言ってたでしょ?」
「んな事をは言ってねぇぞ!?」
「じゃあ私がまた教会に狙われてもアンタは関係無いって、他人を決め込むのね?」
「い、いや、それは・・・」
「だったらッ、何かあった時に近くに居た方がアンタも動き易いじゃない!」
「そうだけど・・・」
何だか強引に流されている様な気がしてならないが、確かにアフターケアはするって言った様な気もするし、教会がまたイリアにちょっかいを出してくるのを想像すると他人事だが正直イラついて来る。
「ちょ、ちょっと待つのじゃ!本当にこんな乳臭いガキを一緒に連れて行くのか!?」
「乳臭いって何よッ、アンタの方がよっぽと乳臭いでしょうが!」
「なんじゃと!?妾はもう立派なれでぃじゃ!舐めるでないッ」
あー、また始まったよ・・・
イリアの同行に難癖を付けてアリシエーゼがギャアギャアと騒ぎ始める。
それに頭を抱えてどうしたもんかと思っていると、それまで黙ってことの成り行きを見守っていたドエインが立ち上がり騒ぐ二人に近付く。
「・・・・・・お前は聖女じゃねぇ。俺は認めねぇ。本当の聖女はアカリだ」
「―――私くらいの背にらなってから・・・・・・っえ?あ、うん・・・そうね」
突然のドエインの言葉にアリシエーゼとわちゃわちゃしていたイリアが驚きながらも反応する。
ドエインと真正面から向き合う形となったイリアは臆する事無くドエインの目を見る。
「アカリは、本当に聖女だったんだ。皆助けられただろ。命を救って貰っただろ・・・」
「・・・そうね。私はあの子の力を初めて見た時から確信していたわ、本物の聖女はあの子、アカリさんだって。だから私は偽りの聖女。何の力も無く誰も助けられない名ばかりの聖女よ、私は。元だけど・・・認めるわ、こんな偽りの聖女が認めた所で何にもならないけどね」
イリアはドエインの目を見ながらそう言って小さく笑う。
「・・・・・・そうか。なら、俺から言う事なねぇ」
ドエインは小さく驚いてからそう呟き、また元の位置に戻って行く。
イリアは心からそう思い、明莉の方こそ聖女に相応しいと言った。
そこに嘘偽りが無い事は目を見てしっかりと向き合ったドエインなら分かるのだろう。
これでドエインの気持ちに整理が付いたかどうかは分からないかま、少なくともイリアが今後同行する事に憂いは無くなるだろうと思ってそっとため息を付いた。
「―――と、兎に角じゃ!妾は反対じゃッ!一緒に来る女は・・・そうッ!これくらいバインバインで無ければならんと言う掟があるんじゃッ」
仕切り直しとばかりにこれまでの場の空気をぶち壊してアリシエーゼはイリア加入反対運動を再開するが、何をとち狂ったのか掟等と言うアリもしない物をでっちあげ、モニカを探し素早く背後に回ると小さい手でこれでもかと、モニカのバインバインを揉みしだいた。マジで突然に。
「キャァアアアアッ!?ア、アリシエーゼさんッ!?な、何してるんですか!?」
「これくらいけしからん物を持っておらんとハルと一緒に来る事をは叶わんと知れッ、痴れ者が!!」
痴れ者はお前だろ・・・
俺は敢えてそれを言葉にする事をは無かったが、イリアは一歩も引かなかった。
「はぁ!?だったらアンタなんて論外じゃない!私の方がまだ望みはあるわよッ、この、ペチャガキがッ!!」
ペチャガキ・・・
まぁ、言わんとする意味は分かる・・・
「ペ、ペペッ!?ペチャ!?!?」
俺は大きくため息を付いて、魔界で大騒ぎをしながら野営する自分達を想像した。
はぁ・・・
まぁ、でもいいか
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・2021/10/29 第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞 こちらの賞をアルファポリス様から頂く事が出来ました。
実家暮らし、25歳のぽっちゃり会社員の俺は、日ごろの不摂生がたたり、読書中に死亡。転生先は、剣と魔法の世界の一種族、エルフだ。一分一秒も無駄にできない前世に比べると、だいぶのんびりしている今世の生活の方が、自分に合っていた。次第に、兄や姉、友人などが、見分のために外に出ていくのを見送る俺を、心配しだす両親や師匠たち。そしてついに、(強制的に)旅に出ることになりました。
※のんびり進むので、戦闘に関しては、話数が進んでからになりますので、ご注意ください。
そして、アドレーヌは眠る。
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ファンタジー
長く続いた大戦、それにより腐りきった大地と生命を『奇跡の力』で蘇らせ終戦へと導いた女王――アドレーヌ・エナ・リンクス。
彼女はその偉業と引き換えに長い眠りについてしまいました。彼女を称え、崇め、祀った人々は彼女の名が付けられた新たな王国を創りました。
眠り続けるアドレーヌ。そこに生きる者たちによって受け継がれていく物語―――そして、辿りつく真実と結末。
これは、およそ千年続いたアドレーヌ王国の、始まりと終わりの物語です。
*あらすじ*
~第一篇~
かつての大戦により鉄くずと化し投棄された負の遺産『兵器』を回収する者たち―――狩人(ハンター)。
それを生業とし、娘と共に旅をするアーサガ・トルトはその活躍ぶりから『漆黒の弾丸』と呼ばれていた。
そんな彼はとある噂を切っ掛けに、想い人と娘の絆が揺れ動くことになる―――。
~第二篇~
アドレーヌ女王の血を継ぐ王族エミレス・ノト・リンクス王女は王国東方の街ノーテルの屋敷で暮らしていた。
中肉中背、そばかすに見た目も地味…そんな引け目から人前を避けてきた彼女はある日、とある男性と出会う。
それが、彼女の過去と未来に関わる大切な恋愛となっていく―――。
~第三篇~
かつての反乱により一斉排除の対象とされ、長い年月虐げられ続けているイニム…ネフ族。
『ネフ狩り』と呼ばれる駆逐行為は隠れ里にて暮らしていた青年キ・シエの全てを奪っていった。
愛する者、腕、両目を失った彼は名も一族の誇りすらも捨て、復讐に呑まれていく―――。
~第四篇~
最南端の村で暮らすソラはいつものように兄のお使いに王都へ行った帰り、謎の男二人組に襲われる。
辛くも通りすがりの旅人に助けられるが、その男もまた全身黒尽くめに口紅を塗った奇抜な出で立ちで…。
この出会いをきっかけに彼女の日常は一変し歴史を覆すような大事件へと巻き込まれていく―――。
*
*2020年まで某サイトで投稿していたものですがサイト閉鎖に伴い、加筆修正して完結を目標に再投稿したいと思います。
*他小説家になろう、アルファポリスでも投稿しています。
*毎週、火・金曜日に更新を予定しています。
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注)第七話+幕間2話は、現実世界の話で転生前です。IT業界の事が書かれています。
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第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
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