180 / 335
第4章:偽りの聖女編
第180話:深淵
しおりを挟む
未来は誰にも分からない
俺はこの言葉が嫌いだ
例え一秒先の事であっても人間に確定した未来は分からないだろう
それでも俺は嫌いだ
未来は誰にも分からない
この言葉を聞くと俺は逃げだと感じる
色々な選択肢とそれにより分岐した数多の未来と言う道があると知りながらも、その選択した先がどんな未来なのか分からず恐れてしまう余りの逃げの言葉に感じる
だからこの言葉は嫌いだ
愛
俺はこの言葉は嫌いだ
心を受けると書いて愛とする
相手の気持ちや人間性そのものを素直に受け入れ、どんな事も受け止める事を良しとしている様に感じる
愛
これについて語る時はどんな時だろうか
恋人、家族、時には愛犬にも語ったりするだろうか
そのどれに対しても自分がどれだけ相手を思って、愛しているのかを一方的に語る
これではまるで心を受けるのでは無く、心を受け入れさせているの間違いだ
一方的な愛は時に醜く、残酷だ
だから俺は愛が嫌いだ
俺は人間が大嫌いだ
ただ百年かそこらしか生きる事が出来ない、地球、もっと言えば宇宙から考えれば矮小な、それが何億と集まろうが塵でしかない存在の癖に、能力の優劣、思想の優劣で争い、自分の掲げる正義が唯一の絶対正義であるかの様な振る舞いが滑稽で、見るに堪えない醜悪でしかない
だから俺は人間が嫌いだ
穏やかで争いの無い、平和な日常を口では望んでいながら、自身と違う価値観、宗教観、思想が存在するとそれを憎悪し排除しようとする
だから俺は人間が嫌いだ
俺は俺が大嫌いだ
他人を信じられず全てに対して否定から入る姿勢が、自分に興味が無い人間には自分も興味を持たず、自分に好意を寄せる相手にしか自分も好意を寄せず、自分に向けられた敵意には敵意で返す、このくだらない生物が大嫌いだ
大切と言ってくれた、命を賭けるに足る存在だと言ってくれた、仲間―――家族を護る事が出来なかった自分が大嫌いだ
これではまるで相手は命を賭けくれたのに、俺は相手に命を賭ける存在では無いと言っている様だ
最低だ
そこまで頭の中かそれとも心がそう思っていたのか、それが分からない程に周囲と溶け合い、一体となる感覚を感じながら俺は意識が覚醒する。
周囲を見回そうにも身体は一切動かず、目を開けているのかさえ自身では分からないが、ただ暗闇が広がるばかりで何も見えない。
闇の中をプカプカと浮いている様な感覚だけを感じる事が出来るが、それ以外は一切何も感じない。
時間と言う感覚も存在しない。そんな風に思える不思議な感覚に俺は何も思う事なく、ただその闇に身体を委ねながら漂った。
言葉を発する事は出来ず、身体を動かす事も出来ない。そんな中で一つだけ、本当に一つだけ何も思う事の無かった心が、闇に浮かぶ感覚だけを感覚と捉え、考える事を辞めた筈の脳がそれを拾う。
彼奴らは全員死んだのかな
誰がどうとかでは無い。仲間や家族はあの後全員が死んだのだろうかとそれだけ思う。
「・・・・・・・・・」
仲間や家族の事を考えたからなのだろうか、ただそう思った事で自身の変化を突然感じる。
それはまるで、冷たく凍り付いていた氷か徐々に溶けていく様な、身体を陽の光に晒し、太陽の熱を身体中に感じ光合成をしていると実感するかの様な、雪遊びをした後で家に帰り直ぐにストーブに当たり翳した手がジンジンとして熱を発するかの様に、徐々に何か暖かいものを何となく上から感じる。
「・・・・・・・・・」
それが感じられると、身体そのものを動かしているのか、感覚だけを其方に向けているのかは分からないが、今度は下の方から無視する事の出来ない何かを感じる様になる。
何だろう?
もう気になって仕方が無かった。上から感じた暖かさなどこの時には既に俺の中では忘れてしまっていたが、その暖かさよりも巨大な何かは俺の心をまるで絡み取るかの様にスルりと自然に俺の中に入って来ていた。
俺の中心と絡み合う何かは、鎖を象っており、俺に絡み付き離さず、下へと引っ張ろうとする。
何も抵抗出来ず、鎖が闇の奥、深淵へと引き摺り込もうとする事に、この頃になって焦りを感じ始めるが、一切の抵抗が出来ずにより深くへと堕ちて行った。
何故抵抗しているのかは自分でも分からなかったが、深い所は行ってはいけないと、子供が親に理由も分からずあそこに行っては行けません、あれをしてはいけませんと言われていた事を思い出してから焦って必死に足掻くかの様に俺は抵抗するが、身体が動いているとは感じない。
そもそも俺は今、どんな状態なのだろうか?
あの絶望を感じた瞬間からその後がよく分からない。今こうして闇の中を漂っていると認識するまでの事が分からない。
俺は死んだのか?
死後がどんな所なのか、どういう状態になるのか、そんな事は結局死なないと分からないが、死後の世界がこんな感じだと言うなら納得出来た。
深淵へと急激に引き込まれて行く中、俺は思考を加速させる。
きっと俺は死んでいない
どう言う状況かは分からなかったが、身体は動かないが今は考える事は出来る。
時間を感じる事が出来ないと言う表現が正しいかどうかは分からないが、たっぷりと時間はある。そんな気がしているので、俺はその考えにて身を委ねる事にした。
「―――まだ残っていたのか」
突然聞こえて来た声に俺は考える事を止めてその声がする方へと意識を向ける。
それは闇の底の更に底の方から聞こえて来た気がして更に何とも言えない不安感を覚える。
誰だ
俺は声が出なかったので心の中でそう問い掛ける。
「―――まさか幻幽体への干渉まで可能とは思わなかったぞ」
幻幽体・・・?
まさか・・・
「―――しかし、物質体と分離していた幻幽体を同時に双方に干渉するとなは・・・まぁ、お前は物質体に干渉していると思い込んでいた様だが」
「――ィ―――ス」
「―――完全に支配したと思っていたが、咄嗟に切り離したのか?器用な事をするな。だが、もう手遅れだがな」
「フェイクスッ!!!!」
「ハハハハハハッ!どうであった!?楽しい夢を見れたであろう!?本当の絶望を知る事が出来て良かったではないか!」
俺を掌握したのかッ!?
いやッ、まだだ!
「・・・返して貰うぞッ」
どうやったのかは分からないが、フェイクスは幻幽体と物質体を分離していたと言っていた。
それが意味するところも、俺が逆にこうして掌握されそうな事、どう言う方法で等殆ど分からないが、俺の一番大事な、根幹、魂と言う方が正しい気がするが、兎も角それは奪わせていない。
「やってみると良い」
遠くからとも近くからとも取れる距離で聞こえてくるフェイクスの声に惑わされる事無く、俺は一点に集中する。
コソコソ隠れてんじゃねぇよッ
俺が俺の意志を持ってフェイクスを認識すると、段々とその輪郭が朧気ながら見えてくる。
ハハッ
俺は思わず笑ってしまった。
「・・・何を笑っている、この状況が理解出来ないのか?」
「いや、別に。ただ思っちまったんだよ―――」
今完全にその姿を表したフェイクスは人の姿をして居らず、黒い羽根を必死に羽ばたかせ、まるで自分を大きく見せようと必死な烏の姿をしていた。
「―――滑稽だなってな」
「何だと?」
これは俺が勝手にイメージしているだけの姿なのかどうかは分からないが、フェイクスの姿は烏に見えるのだ。
サイズも普通から少し大き目程度。
なんと言うか、闇の深淵に鎮座する悪魔の真の姿は馬鹿デカい蛇や気持ち悪い蜘蛛の様なものを勝手に想像していたので、完全に拍子抜けした。
それに俺は唐突に理解する。
今この場と言うか状況は、きっと時間と言う概念を逸脱した場所、または概念上で展開されている。
何故分かるのか理由を説明しろと言われても無理だがそうだと今は確信している。
きっと、あの時最後に見た光景は、このクソ烏が見せた幻影だ。
現実と言っていいかは分からないが、そこにいる仲間たちは無事である可能性が有り、そうならばと思うと笑いが止まらなかった。
「俺はさ、仲間を、家族を信じてるんだ。彼奴らは頼りになるんだぜ?」
「フンッ、お前を完全に掌握してしまえばそれで終わりだろう!」
「いや、そうはならないさ。ほら―――」
そう言って俺は上の方を仰ぎ見る。
釣られてフェイクスも其方に顔を向ける。まぁ、烏なんだが。
暖かな光が差し込む様な、その光を身体に浴びてまるで昇天するかの様な感覚を覚えつつ、俺は自分が悪魔になったのでは無いかと錯覚するくらいの邪悪な笑みをフェイクスに向けた。
「―――お迎えが来た。じゃあな」
俺はそう言って、上からの光に手を伸ばす。
その伸ばした手が直ぐに掴まれる感覚がすると、直ぐに視界が暗転して、五感全てを急激に取り戻す感覚に捕らわれる。
「――ウッ」
「気付いたかッ!?」
俺の呻き声に直ぐに反応したアリシエーゼの声が俺の耳元で聞こえて来たので、其方に顔を向けて目を開ける。
「暖くんッ!?」
「ハルッ!大丈夫か!?」
アリシエーゼの心配そうな顔を見詰めていると、反対から明莉とファイの声が聞こえて来たので俺は立ち上がり、二人の顔を確認する。
うん、やっぱり生きてたな
俺はそれを確認して密かに安堵すると、外套の裾が引っ張られた。
なんだ?と思い顔を向けると、そこには心配そうな表情を浮かべるユーリーが立っていた。
「やっぱりユーリーが引き戻してくれたのか」
「・・・ウン」
そうだろうなと思っていたが、ユーリーの返事を聞いて俺はやはりなと納得した。
さて、第二ラウンド開始だ
俺はこの言葉が嫌いだ
例え一秒先の事であっても人間に確定した未来は分からないだろう
それでも俺は嫌いだ
未来は誰にも分からない
この言葉を聞くと俺は逃げだと感じる
色々な選択肢とそれにより分岐した数多の未来と言う道があると知りながらも、その選択した先がどんな未来なのか分からず恐れてしまう余りの逃げの言葉に感じる
だからこの言葉は嫌いだ
愛
俺はこの言葉は嫌いだ
心を受けると書いて愛とする
相手の気持ちや人間性そのものを素直に受け入れ、どんな事も受け止める事を良しとしている様に感じる
愛
これについて語る時はどんな時だろうか
恋人、家族、時には愛犬にも語ったりするだろうか
そのどれに対しても自分がどれだけ相手を思って、愛しているのかを一方的に語る
これではまるで心を受けるのでは無く、心を受け入れさせているの間違いだ
一方的な愛は時に醜く、残酷だ
だから俺は愛が嫌いだ
俺は人間が大嫌いだ
ただ百年かそこらしか生きる事が出来ない、地球、もっと言えば宇宙から考えれば矮小な、それが何億と集まろうが塵でしかない存在の癖に、能力の優劣、思想の優劣で争い、自分の掲げる正義が唯一の絶対正義であるかの様な振る舞いが滑稽で、見るに堪えない醜悪でしかない
だから俺は人間が嫌いだ
穏やかで争いの無い、平和な日常を口では望んでいながら、自身と違う価値観、宗教観、思想が存在するとそれを憎悪し排除しようとする
だから俺は人間が嫌いだ
俺は俺が大嫌いだ
他人を信じられず全てに対して否定から入る姿勢が、自分に興味が無い人間には自分も興味を持たず、自分に好意を寄せる相手にしか自分も好意を寄せず、自分に向けられた敵意には敵意で返す、このくだらない生物が大嫌いだ
大切と言ってくれた、命を賭けるに足る存在だと言ってくれた、仲間―――家族を護る事が出来なかった自分が大嫌いだ
これではまるで相手は命を賭けくれたのに、俺は相手に命を賭ける存在では無いと言っている様だ
最低だ
そこまで頭の中かそれとも心がそう思っていたのか、それが分からない程に周囲と溶け合い、一体となる感覚を感じながら俺は意識が覚醒する。
周囲を見回そうにも身体は一切動かず、目を開けているのかさえ自身では分からないが、ただ暗闇が広がるばかりで何も見えない。
闇の中をプカプカと浮いている様な感覚だけを感じる事が出来るが、それ以外は一切何も感じない。
時間と言う感覚も存在しない。そんな風に思える不思議な感覚に俺は何も思う事なく、ただその闇に身体を委ねながら漂った。
言葉を発する事は出来ず、身体を動かす事も出来ない。そんな中で一つだけ、本当に一つだけ何も思う事の無かった心が、闇に浮かぶ感覚だけを感覚と捉え、考える事を辞めた筈の脳がそれを拾う。
彼奴らは全員死んだのかな
誰がどうとかでは無い。仲間や家族はあの後全員が死んだのだろうかとそれだけ思う。
「・・・・・・・・・」
仲間や家族の事を考えたからなのだろうか、ただそう思った事で自身の変化を突然感じる。
それはまるで、冷たく凍り付いていた氷か徐々に溶けていく様な、身体を陽の光に晒し、太陽の熱を身体中に感じ光合成をしていると実感するかの様な、雪遊びをした後で家に帰り直ぐにストーブに当たり翳した手がジンジンとして熱を発するかの様に、徐々に何か暖かいものを何となく上から感じる。
「・・・・・・・・・」
それが感じられると、身体そのものを動かしているのか、感覚だけを其方に向けているのかは分からないが、今度は下の方から無視する事の出来ない何かを感じる様になる。
何だろう?
もう気になって仕方が無かった。上から感じた暖かさなどこの時には既に俺の中では忘れてしまっていたが、その暖かさよりも巨大な何かは俺の心をまるで絡み取るかの様にスルりと自然に俺の中に入って来ていた。
俺の中心と絡み合う何かは、鎖を象っており、俺に絡み付き離さず、下へと引っ張ろうとする。
何も抵抗出来ず、鎖が闇の奥、深淵へと引き摺り込もうとする事に、この頃になって焦りを感じ始めるが、一切の抵抗が出来ずにより深くへと堕ちて行った。
何故抵抗しているのかは自分でも分からなかったが、深い所は行ってはいけないと、子供が親に理由も分からずあそこに行っては行けません、あれをしてはいけませんと言われていた事を思い出してから焦って必死に足掻くかの様に俺は抵抗するが、身体が動いているとは感じない。
そもそも俺は今、どんな状態なのだろうか?
あの絶望を感じた瞬間からその後がよく分からない。今こうして闇の中を漂っていると認識するまでの事が分からない。
俺は死んだのか?
死後がどんな所なのか、どういう状態になるのか、そんな事は結局死なないと分からないが、死後の世界がこんな感じだと言うなら納得出来た。
深淵へと急激に引き込まれて行く中、俺は思考を加速させる。
きっと俺は死んでいない
どう言う状況かは分からなかったが、身体は動かないが今は考える事は出来る。
時間を感じる事が出来ないと言う表現が正しいかどうかは分からないが、たっぷりと時間はある。そんな気がしているので、俺はその考えにて身を委ねる事にした。
「―――まだ残っていたのか」
突然聞こえて来た声に俺は考える事を止めてその声がする方へと意識を向ける。
それは闇の底の更に底の方から聞こえて来た気がして更に何とも言えない不安感を覚える。
誰だ
俺は声が出なかったので心の中でそう問い掛ける。
「―――まさか幻幽体への干渉まで可能とは思わなかったぞ」
幻幽体・・・?
まさか・・・
「―――しかし、物質体と分離していた幻幽体を同時に双方に干渉するとなは・・・まぁ、お前は物質体に干渉していると思い込んでいた様だが」
「――ィ―――ス」
「―――完全に支配したと思っていたが、咄嗟に切り離したのか?器用な事をするな。だが、もう手遅れだがな」
「フェイクスッ!!!!」
「ハハハハハハッ!どうであった!?楽しい夢を見れたであろう!?本当の絶望を知る事が出来て良かったではないか!」
俺を掌握したのかッ!?
いやッ、まだだ!
「・・・返して貰うぞッ」
どうやったのかは分からないが、フェイクスは幻幽体と物質体を分離していたと言っていた。
それが意味するところも、俺が逆にこうして掌握されそうな事、どう言う方法で等殆ど分からないが、俺の一番大事な、根幹、魂と言う方が正しい気がするが、兎も角それは奪わせていない。
「やってみると良い」
遠くからとも近くからとも取れる距離で聞こえてくるフェイクスの声に惑わされる事無く、俺は一点に集中する。
コソコソ隠れてんじゃねぇよッ
俺が俺の意志を持ってフェイクスを認識すると、段々とその輪郭が朧気ながら見えてくる。
ハハッ
俺は思わず笑ってしまった。
「・・・何を笑っている、この状況が理解出来ないのか?」
「いや、別に。ただ思っちまったんだよ―――」
今完全にその姿を表したフェイクスは人の姿をして居らず、黒い羽根を必死に羽ばたかせ、まるで自分を大きく見せようと必死な烏の姿をしていた。
「―――滑稽だなってな」
「何だと?」
これは俺が勝手にイメージしているだけの姿なのかどうかは分からないが、フェイクスの姿は烏に見えるのだ。
サイズも普通から少し大き目程度。
なんと言うか、闇の深淵に鎮座する悪魔の真の姿は馬鹿デカい蛇や気持ち悪い蜘蛛の様なものを勝手に想像していたので、完全に拍子抜けした。
それに俺は唐突に理解する。
今この場と言うか状況は、きっと時間と言う概念を逸脱した場所、または概念上で展開されている。
何故分かるのか理由を説明しろと言われても無理だがそうだと今は確信している。
きっと、あの時最後に見た光景は、このクソ烏が見せた幻影だ。
現実と言っていいかは分からないが、そこにいる仲間たちは無事である可能性が有り、そうならばと思うと笑いが止まらなかった。
「俺はさ、仲間を、家族を信じてるんだ。彼奴らは頼りになるんだぜ?」
「フンッ、お前を完全に掌握してしまえばそれで終わりだろう!」
「いや、そうはならないさ。ほら―――」
そう言って俺は上の方を仰ぎ見る。
釣られてフェイクスも其方に顔を向ける。まぁ、烏なんだが。
暖かな光が差し込む様な、その光を身体に浴びてまるで昇天するかの様な感覚を覚えつつ、俺は自分が悪魔になったのでは無いかと錯覚するくらいの邪悪な笑みをフェイクスに向けた。
「―――お迎えが来た。じゃあな」
俺はそう言って、上からの光に手を伸ばす。
その伸ばした手が直ぐに掴まれる感覚がすると、直ぐに視界が暗転して、五感全てを急激に取り戻す感覚に捕らわれる。
「――ウッ」
「気付いたかッ!?」
俺の呻き声に直ぐに反応したアリシエーゼの声が俺の耳元で聞こえて来たので、其方に顔を向けて目を開ける。
「暖くんッ!?」
「ハルッ!大丈夫か!?」
アリシエーゼの心配そうな顔を見詰めていると、反対から明莉とファイの声が聞こえて来たので俺は立ち上がり、二人の顔を確認する。
うん、やっぱり生きてたな
俺はそれを確認して密かに安堵すると、外套の裾が引っ張られた。
なんだ?と思い顔を向けると、そこには心配そうな表情を浮かべるユーリーが立っていた。
「やっぱりユーリーが引き戻してくれたのか」
「・・・ウン」
そうだろうなと思っていたが、ユーリーの返事を聞いて俺はやはりなと納得した。
さて、第二ラウンド開始だ
0
お気に入りに追加
50
あなたにおすすめの小説
ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話
ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。
異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。
「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」
異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第三章フェレスト王国エルフ編

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜
EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」
優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。
傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。
そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。
次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。
最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。
しかし、運命がそれを許さない。
一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか?
※他サイトにも掲載中

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

クラスまるごと異世界転移
八神
ファンタジー
二年生に進級してもうすぐ5月になろうとしていたある日。
ソレは突然訪れた。
『君たちに力を授けよう。その力で世界を救うのだ』
そんな自分勝手な事を言うと自称『神』は俺を含めたクラス全員を異世界へと放り込んだ。
…そして俺たちが神に与えられた力とやらは『固有スキル』なるものだった。
どうやらその能力については本人以外には分からないようになっているらしい。
…大した情報を与えられてもいないのに世界を救えと言われても…
そんな突然異世界へと送られた高校生達の物語。

加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません

のほほん異世界暮らし
みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。
それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる