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第4章:偽りの聖女編
第166話:登場
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「アルアレッッ!!」
魔術を行使したアルアレの前に一つの巨大な光がの剣が構築されて行き、それは正しく聖剣であり、敵を斬り裂く必殺の剣であると同時に、アルアレの命を確実に奪い取る諸刃の剣でもあった。
「無駄よ。もう止められないわ」
いつの間にか俺の隣に移動して来たイリアがアルアレを見ながらそう言った。
「クソッ、何でだよ!」
「何でってアンタ達を護りたかったに決まってるじゃない」
イリアの悲しそうな表情を見て俺は自分自身を呪った。同時にどうしようも無く、やり場の無い怒りが溢れ出て来る。
「んなの分かってんだ!」
俺はイリアに八つ当たりしてイーグを見る。
まだファイ達は殺られてはいない。が、殺ろうと思えば今のイーグなら直ぐに可能だろう。
アルアレが生命賭けたんだ
これは絶対に成功させるッ!!
何とかアルアレをサポート出来る様に立ち回ってやると、直ぐにその場を駆け出した。
「あッ!?ちょっと待ちなさいよ!」
イリアの静止を振り切り俺は少し回り込む形でイーグへと接近し、左側面から攻撃を再開させる。
「だからお前は見てろって言っただろうが」
イーグは俺の接近に気付き、左手を薙ぐ。
それを頭を下げて回避した俺は右拳をイーグの左脇腹に叩き入れる。
障壁を壊す感触は伝わるが、本体まで届いていない。すぐ様バックステップで距離を取ると今居た場所にイーグが右アッパーを行いそれが空を切る。
やっぱり!
イーグは対人格闘術に意味は無いと言っていたが、そんな事は無く、もしかしたらこう見えて物理的に脳みそ、筋肉、関節等は存在していないのかも知れないが、それらが存在している様な動きは確実にしている!
つまりは俺にとってはそう言った筋肉や関節の微細な動き、更には眼球の動きまでも俺の攻撃予測に使えると言う事で、それらを駆使すれば此方から攻撃によるダメージは与えられないにしても、イーグの攻撃を予測する事は可能な為、回避も可能なのだ。
ヒットアンドアウェイでこっちに集中させる
俺はその一念でイーグを相手取り、攻撃を当てては回避を行い注意を此方に向けさせた。
俺に続いて、ファイとダグラスも攻撃に参加するが、攻撃が効いている素振りは無い。
どうすればダメージを与えられるのか本当に分からなくなってくるが、今はそれで良いと集中した。
「ぐぁッ!?」
俺とは違い、攻撃を精密に予測出来ないファイとダグラスはノーダメージを良い事に行われる、攻撃と同時に繰り出される反撃を避け切れずに被弾する。
ファイは袈裟斬りから右斬上を連続して行うが、同時に繰り出された単なる右手の振り下ろしを避け切れずに左肩に反撃を喰らって声を上げた。
何とか攻撃直後に残心を行わずに身体を捻っていた為、肩口から上腕あたりまで肉を削がれるだけで済んだが、ファイが怯みそこをイーグに狙われ追撃される。
「ハァッ!!」
そのタイミングでダグラスがイーグにシールドバッシュをぶち当てて何とかファイを後方に下げさせるが、代わりにダグラスがあのイーグの不可視の魔法の様なものを喰らう。
「うごぉぁッ!?」
シールドバッシュを喰らいながらも左の手のひらを自分とダグラスの身体の間に入れ込んでいたイーグは掌から何かを放出し、ダグラスは胃の内容物が吐瀉されそうな程の呻き声を上げて、身体をくの字に曲げながら後方に吹き飛ばされる。
身体だけは屈強そうなダグラスがほんの一撃かよ・・・
たぶんだが、イーグのあの不可視の攻撃は、人間からしたら魔法と言う事なのだろうと思った。
イーグ自身は魔法を発動していると言う訳では無く、手を振るう、腕を突き出す。その動作一つ一つが人間で言う所の魔法となるとかそんなところかと推察したが、結局は厄介である事には変わりは無い。
それでも俺は止まる訳には行かない。アルアレの最後の魔法がイーグを捉えるその瞬間までは全力で足止めをする。
ファイとダグラスが下がった為俺が前に出る。
「明莉!イリア!頼むッ」
傷の治療は二人に任せておけば大丈夫であろう。
イーグにフェイントを交えつつ近付き、一発当てては直ぐに下がり、追って来れば迎撃して、追って来なければまた近付き、追い討ちをする。
安全マージンを取り行動するが、たぶんイーグが少し本気を出せば俺など一瞬で殺されそうだと内心ヒヤヒヤした。
「俺には時間がねぇんだから大人しく見てろって言ってんだけどな」
「はい、そうですかと俺が大人しくなるとでも思ってんのか?」
「まぁ思ってねぇな」
お互い鼻で笑いながらそんな無駄口を叩いていると、ファイとダグラスが復活して戦線に復帰をして来た。
「やっぱりあの娘の力邪魔になるな」
「行かせると思ってんのか、馬鹿が」
「お前こそ雑魚の癖によくそんな口が聞けるな」
明莉達の元に行かせる訳には行かないと俺は注意を引き付けようと試みるが、イーグは俺と話してはいるのだが、目は明莉の方に向いている。
と言うか、アルアレも視界に入っている筈なのにあの魔術の事などについては一切触れないのが気になった。
大して気にしてない?
取るに足らないと思っているのか?
「余所見してんじゃねぇ!」
俺はイーグの鳩尾目掛けて体重を乗せて、右のボディフックを放つが、直後に後頭部に凄まじい衝撃を感じて、前のめりに倒れそうになった。
「――ぃッ!?」
後頭部を抑えながら後ろを振り返るとイーグが立っており、瞬時に俺の後ろへ移動して左肘を俺の後頭部にぶち当てたのだと気付く。
いつの間に!?
俺が態勢を整えている間にイーグは明莉達に向けて走り出した。
「ッ!?ファイ!止めろッ!!」
イーグの突進を止めようとダグラスが先ずは動く。
シールドを突き出し、雄叫びを上げながらイーグと正面からぶつかり合う形となるが、イーグは走りながら左腕を薙いだ。
「ぐぉぅッ!?」
ドンッと言う腹に響く音が鳴ったかと思うと、ダグラスの盾が装着している左腕毎右にずらされ、態勢を崩した所にイーグがダグラスの顔面に飛び膝蹴りをぶち当てた。
「―――ぷッぁ」
グシャリと鈍い音が響き、ダグラスの顔面が潰れる。
膝蹴りを喰らったダグラスは白目を剥きその場に崩れ落ち、簡単に突破されてしまった。
「チッ!」
俺はその時漸く後を置い始めるが、正直間に合いそうも無い。
決定打が無い状態で使いたく無かったが・・・
仕方が無いと俺は影移動の準備に入る。出来る事なら、イーグに攻撃が通じる状態で不意打ちと言う形で使いたかったと恨み節の様な事を心の中でボヤくが直ぐに諦めた。
「神速剣!烈骸断!!」
ファイが神速剣の技を繰り出すとイーグは脚を止めた。
流石にこの技は避け切れ無いのか、それとも確りと受け無いとならないのか等と思っていると、イーグは笑いながら言った。
「さっきから神速とか言ってるけどよぉ―――」
ファイはその場でイーグの正面から斬り付けた。六度も。
左斬上から唐竹、右薙から流れる様に左薙、右斬上から最後に逆袈裟と目にも止まらぬ速さで連続斬りを行う。
剣閃がまるでハニカム構造の様に見えたが、イーグには通用しなかった。
別に障壁を突破出来なかったとかそう言う事では無い、全ての斬撃が躱されたのだ。
「な・・・にッ!?」
「こんな速さ、神や俺達の領域に手を掛けてすらいねぇよ」
俺がやられた様に、いつの間にかファイの後ろに回り込んでいたイーグはその場で後ろ回し蹴りをファイの顔面にぶち当てた。
嫌な音が鳴り響き、ファイが横に吹き飛ぶ。
「ファイッ!?」
俺はイーグに向かいながらファイの状態を確認するが、ファイの首は明らかに異様に曲がっており、身体は時折痙攣していてマズい状態だ。
イーグは俺を一瞥してからまた踵を返して明莉達の元に向かう。
その前にアルアレがいるのだがイーグはアルアレには一切見向きもせずにその横を通り過ぎる。
ッ!?
どうなってる!?
アルアレもピクリとも反応しない事に違和感しか無かった。
アルアレの目の前には光り輝く光の剣が刃を上にして宙を漂っており、既に魔術自体は何時でも発射可能な様に見えるが、まだ準備段階と言う事であろうか?
一体どう言う状態なのか訳が分からず混乱して来るが今は明莉達だ!
「クソッ!」
俺は悪態を付きながら影移動を発動してイーグよりも先に明莉達の前に移動した。
「ハルくん!?」
「ちょッ!?いきなり現れないでよッ」
明莉とイリアの驚きには反応せずにイーグを迎え撃つ様に俺はその場で少し腰を落とした。
正直厳しい・・・
迎撃出来るか・・・?
俺の焦りとは裏腹に此方に向かって来るイーグは笑い声を上げて、嬉々とした表情であったがそれに一々ムカついている暇さえ無かったが、俺はありったけの力を全身に込め、手甲の障壁も全開にした。
「ウワハハハハハッッ!!死ねぇええ!!!」
もう止まらない。止められない。
俺は覚悟をして、何としてもこの場を死守すると覚悟を決めて負けじと声を上げた。
「アアアアアアッッッ!!!掛かって来いやぁぁ!!」
「ギャーハハハハハッ!!!!死ぬのはテメェらだがなぁああッ!!」
イーグが目の前に迫り、そして右手を振り上げる。俺はその腕を往なしてカウンターをぶち当てる言葉だけを考え極限まで集中力を高めた。
この行動はタイミングが全てだ。一瞬たりともタイミングは外せず、力んでもダメだ。そんな事を思いつつ、口から息をゆっくりと吐き出してそして止める。
今だ―――
「―――死ぬのはお主じゃがな」
「へ?」
とても懐かしく感じる声を間近で突然聞いた事で俺の集中は完全に形骸した。
が、同時に目の前で激しい閃光が発生して、その後直ぐにバチンッとまるで太いゴムが切れた様な音がしたと思ったら、イーグが真横に吹き飛ばされていた。
「お、おまッ―――」
「遅くなってしまったわい」
アリシエーゼ!!!
コイツ!待たせやが・・・・・・・・・って?
完璧なタイミングで現れたアリシエーゼはいつもの様に腰に手を当ててふんぞり返っていた。真っ裸で。
な、何で真っ裸・・・?
魔術を行使したアルアレの前に一つの巨大な光がの剣が構築されて行き、それは正しく聖剣であり、敵を斬り裂く必殺の剣であると同時に、アルアレの命を確実に奪い取る諸刃の剣でもあった。
「無駄よ。もう止められないわ」
いつの間にか俺の隣に移動して来たイリアがアルアレを見ながらそう言った。
「クソッ、何でだよ!」
「何でってアンタ達を護りたかったに決まってるじゃない」
イリアの悲しそうな表情を見て俺は自分自身を呪った。同時にどうしようも無く、やり場の無い怒りが溢れ出て来る。
「んなの分かってんだ!」
俺はイリアに八つ当たりしてイーグを見る。
まだファイ達は殺られてはいない。が、殺ろうと思えば今のイーグなら直ぐに可能だろう。
アルアレが生命賭けたんだ
これは絶対に成功させるッ!!
何とかアルアレをサポート出来る様に立ち回ってやると、直ぐにその場を駆け出した。
「あッ!?ちょっと待ちなさいよ!」
イリアの静止を振り切り俺は少し回り込む形でイーグへと接近し、左側面から攻撃を再開させる。
「だからお前は見てろって言っただろうが」
イーグは俺の接近に気付き、左手を薙ぐ。
それを頭を下げて回避した俺は右拳をイーグの左脇腹に叩き入れる。
障壁を壊す感触は伝わるが、本体まで届いていない。すぐ様バックステップで距離を取ると今居た場所にイーグが右アッパーを行いそれが空を切る。
やっぱり!
イーグは対人格闘術に意味は無いと言っていたが、そんな事は無く、もしかしたらこう見えて物理的に脳みそ、筋肉、関節等は存在していないのかも知れないが、それらが存在している様な動きは確実にしている!
つまりは俺にとってはそう言った筋肉や関節の微細な動き、更には眼球の動きまでも俺の攻撃予測に使えると言う事で、それらを駆使すれば此方から攻撃によるダメージは与えられないにしても、イーグの攻撃を予測する事は可能な為、回避も可能なのだ。
ヒットアンドアウェイでこっちに集中させる
俺はその一念でイーグを相手取り、攻撃を当てては回避を行い注意を此方に向けさせた。
俺に続いて、ファイとダグラスも攻撃に参加するが、攻撃が効いている素振りは無い。
どうすればダメージを与えられるのか本当に分からなくなってくるが、今はそれで良いと集中した。
「ぐぁッ!?」
俺とは違い、攻撃を精密に予測出来ないファイとダグラスはノーダメージを良い事に行われる、攻撃と同時に繰り出される反撃を避け切れずに被弾する。
ファイは袈裟斬りから右斬上を連続して行うが、同時に繰り出された単なる右手の振り下ろしを避け切れずに左肩に反撃を喰らって声を上げた。
何とか攻撃直後に残心を行わずに身体を捻っていた為、肩口から上腕あたりまで肉を削がれるだけで済んだが、ファイが怯みそこをイーグに狙われ追撃される。
「ハァッ!!」
そのタイミングでダグラスがイーグにシールドバッシュをぶち当てて何とかファイを後方に下げさせるが、代わりにダグラスがあのイーグの不可視の魔法の様なものを喰らう。
「うごぉぁッ!?」
シールドバッシュを喰らいながらも左の手のひらを自分とダグラスの身体の間に入れ込んでいたイーグは掌から何かを放出し、ダグラスは胃の内容物が吐瀉されそうな程の呻き声を上げて、身体をくの字に曲げながら後方に吹き飛ばされる。
身体だけは屈強そうなダグラスがほんの一撃かよ・・・
たぶんだが、イーグのあの不可視の攻撃は、人間からしたら魔法と言う事なのだろうと思った。
イーグ自身は魔法を発動していると言う訳では無く、手を振るう、腕を突き出す。その動作一つ一つが人間で言う所の魔法となるとかそんなところかと推察したが、結局は厄介である事には変わりは無い。
それでも俺は止まる訳には行かない。アルアレの最後の魔法がイーグを捉えるその瞬間までは全力で足止めをする。
ファイとダグラスが下がった為俺が前に出る。
「明莉!イリア!頼むッ」
傷の治療は二人に任せておけば大丈夫であろう。
イーグにフェイントを交えつつ近付き、一発当てては直ぐに下がり、追って来れば迎撃して、追って来なければまた近付き、追い討ちをする。
安全マージンを取り行動するが、たぶんイーグが少し本気を出せば俺など一瞬で殺されそうだと内心ヒヤヒヤした。
「俺には時間がねぇんだから大人しく見てろって言ってんだけどな」
「はい、そうですかと俺が大人しくなるとでも思ってんのか?」
「まぁ思ってねぇな」
お互い鼻で笑いながらそんな無駄口を叩いていると、ファイとダグラスが復活して戦線に復帰をして来た。
「やっぱりあの娘の力邪魔になるな」
「行かせると思ってんのか、馬鹿が」
「お前こそ雑魚の癖によくそんな口が聞けるな」
明莉達の元に行かせる訳には行かないと俺は注意を引き付けようと試みるが、イーグは俺と話してはいるのだが、目は明莉の方に向いている。
と言うか、アルアレも視界に入っている筈なのにあの魔術の事などについては一切触れないのが気になった。
大して気にしてない?
取るに足らないと思っているのか?
「余所見してんじゃねぇ!」
俺はイーグの鳩尾目掛けて体重を乗せて、右のボディフックを放つが、直後に後頭部に凄まじい衝撃を感じて、前のめりに倒れそうになった。
「――ぃッ!?」
後頭部を抑えながら後ろを振り返るとイーグが立っており、瞬時に俺の後ろへ移動して左肘を俺の後頭部にぶち当てたのだと気付く。
いつの間に!?
俺が態勢を整えている間にイーグは明莉達に向けて走り出した。
「ッ!?ファイ!止めろッ!!」
イーグの突進を止めようとダグラスが先ずは動く。
シールドを突き出し、雄叫びを上げながらイーグと正面からぶつかり合う形となるが、イーグは走りながら左腕を薙いだ。
「ぐぉぅッ!?」
ドンッと言う腹に響く音が鳴ったかと思うと、ダグラスの盾が装着している左腕毎右にずらされ、態勢を崩した所にイーグがダグラスの顔面に飛び膝蹴りをぶち当てた。
「―――ぷッぁ」
グシャリと鈍い音が響き、ダグラスの顔面が潰れる。
膝蹴りを喰らったダグラスは白目を剥きその場に崩れ落ち、簡単に突破されてしまった。
「チッ!」
俺はその時漸く後を置い始めるが、正直間に合いそうも無い。
決定打が無い状態で使いたく無かったが・・・
仕方が無いと俺は影移動の準備に入る。出来る事なら、イーグに攻撃が通じる状態で不意打ちと言う形で使いたかったと恨み節の様な事を心の中でボヤくが直ぐに諦めた。
「神速剣!烈骸断!!」
ファイが神速剣の技を繰り出すとイーグは脚を止めた。
流石にこの技は避け切れ無いのか、それとも確りと受け無いとならないのか等と思っていると、イーグは笑いながら言った。
「さっきから神速とか言ってるけどよぉ―――」
ファイはその場でイーグの正面から斬り付けた。六度も。
左斬上から唐竹、右薙から流れる様に左薙、右斬上から最後に逆袈裟と目にも止まらぬ速さで連続斬りを行う。
剣閃がまるでハニカム構造の様に見えたが、イーグには通用しなかった。
別に障壁を突破出来なかったとかそう言う事では無い、全ての斬撃が躱されたのだ。
「な・・・にッ!?」
「こんな速さ、神や俺達の領域に手を掛けてすらいねぇよ」
俺がやられた様に、いつの間にかファイの後ろに回り込んでいたイーグはその場で後ろ回し蹴りをファイの顔面にぶち当てた。
嫌な音が鳴り響き、ファイが横に吹き飛ぶ。
「ファイッ!?」
俺はイーグに向かいながらファイの状態を確認するが、ファイの首は明らかに異様に曲がっており、身体は時折痙攣していてマズい状態だ。
イーグは俺を一瞥してからまた踵を返して明莉達の元に向かう。
その前にアルアレがいるのだがイーグはアルアレには一切見向きもせずにその横を通り過ぎる。
ッ!?
どうなってる!?
アルアレもピクリとも反応しない事に違和感しか無かった。
アルアレの目の前には光り輝く光の剣が刃を上にして宙を漂っており、既に魔術自体は何時でも発射可能な様に見えるが、まだ準備段階と言う事であろうか?
一体どう言う状態なのか訳が分からず混乱して来るが今は明莉達だ!
「クソッ!」
俺は悪態を付きながら影移動を発動してイーグよりも先に明莉達の前に移動した。
「ハルくん!?」
「ちょッ!?いきなり現れないでよッ」
明莉とイリアの驚きには反応せずにイーグを迎え撃つ様に俺はその場で少し腰を落とした。
正直厳しい・・・
迎撃出来るか・・・?
俺の焦りとは裏腹に此方に向かって来るイーグは笑い声を上げて、嬉々とした表情であったがそれに一々ムカついている暇さえ無かったが、俺はありったけの力を全身に込め、手甲の障壁も全開にした。
「ウワハハハハハッッ!!死ねぇええ!!!」
もう止まらない。止められない。
俺は覚悟をして、何としてもこの場を死守すると覚悟を決めて負けじと声を上げた。
「アアアアアアッッッ!!!掛かって来いやぁぁ!!」
「ギャーハハハハハッ!!!!死ぬのはテメェらだがなぁああッ!!」
イーグが目の前に迫り、そして右手を振り上げる。俺はその腕を往なしてカウンターをぶち当てる言葉だけを考え極限まで集中力を高めた。
この行動はタイミングが全てだ。一瞬たりともタイミングは外せず、力んでもダメだ。そんな事を思いつつ、口から息をゆっくりと吐き出してそして止める。
今だ―――
「―――死ぬのはお主じゃがな」
「へ?」
とても懐かしく感じる声を間近で突然聞いた事で俺の集中は完全に形骸した。
が、同時に目の前で激しい閃光が発生して、その後直ぐにバチンッとまるで太いゴムが切れた様な音がしたと思ったら、イーグが真横に吹き飛ばされていた。
「お、おまッ―――」
「遅くなってしまったわい」
アリシエーゼ!!!
コイツ!待たせやが・・・・・・・・・って?
完璧なタイミングで現れたアリシエーゼはいつもの様に腰に手を当ててふんぞり返っていた。真っ裸で。
な、何で真っ裸・・・?
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